ギタリストを翻弄し続け、旅の終わりを決して許さないファズの世界。
そんな魑魅魍魎のペダルがひしめく底沼にBOSSが示した一つの答え。
それがFZ-1wです。

BOSSのアナログファズの歴史は、TB-2wに遡ぼります。前社長の池上氏がロンドンに店を構える伝説的楽器店「Macari’s」を訪れたことが開発のきっかけでした。彼らがプロデュースするSola Soundから1960年半ばにリリースされたTone Bender。そのシリーズの中からマスターピースと呼ばれる「MKII #500」をベースに研究が始まり、数年の開発期間を経て、コラボ製品として発表されたのがTB-2wでした。確保できたゲルマニウム・トランジスタの量に限りがあり、世界限定3,000台販売で瞬く間に市場から姿を消してしまいました。

ところが、その完売から間も無く華々しくデビューしたのがFZ-1wでした。心臓部であるトランジスタをシリコンに変更したことでTB-2wでは実現できなかった安定供給を可能にし、更に特別な意味を持つ「1」という型番が使用されていたことにも驚きでした。余談ですが、BOSSは新商品を発表する際、新しいモデルにも関わらず「2」という数字を使用することが多々あります。TB-2wやBD-2も例に漏れず「2」が使われています。

FZ-2からFZ-3、FZ-5、そして、このTB-2wからFZ-1wの系譜がファズにおけるBOSSの試行錯誤の証しであり、また、アナログファズの2機種を「技 WAZA CRAFT」という設計・製造の全工程をMade in Japanで行う、このシリーズから発表していることからもBOSSが魂と誇りを持ってこのペダルを世に出したことが伺えます。

短期間にこれだけの開発を推し進めたこと、そして、ファズという世界において、「1」の型番を用い、太鼓判を押した決定打とも言えるFZ-1wを投入したBOSSという会社の組織力とその姿勢を思うと胸が高鳴るのは僕だけでしょうか。

ペダルの使用感についてですが、系統としてはFuzz Faceっぽさがあり、切り替えられる2つのモード共に音量が大きく、ヴィンテージモードではノイズが少ないヴィンテージサウンド、モダンモードではゲインが高くサスティンが伸び、どちらのモードも使いやすく、多くのジャンルにマッチするオススメのペダルです!

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