コンプレッサーの基本。モダン・レコーディングの歴史。
音楽史に燦然と輝く、永遠の名機。
スタジオのブース内にマイクを立てて、レコーダーを回してアーティストの名演を記録する。
エレクトロニクス技術の進歩によって、我々人類は一流の演奏家の奏でる音楽を、いつでも楽しむことが可能になりました。これは文化的な面で、人類にとって画期的な事件と言えるでしょう。
そして、それら黎明期の録音の影に、録音機材を生み出し、操作したエンジニアの存在があります。
コンピューターも、デジタル回路も無い時代。当然スペック的な性能で語れば、最新のレコーディング機器が優れていることは自明です。しかし、いにしえのレコーディング機器の中には、真空管やトランスフォーマー、コイルといったクラシックなコンポーネンツの特性を魔法の様に緻密に制御し、素晴らしく音楽的なサウンドにチューニングされた名機が存在します。
LA-2Aは、1960年代の中期にTeletronixのJim Lawrenceによりデザインされた、斬新な光学式ゲインコントロール回路を持つコンプレッサーです。光学式ならではのクイックで歪みを生まないクリアなサウンド、そしてフラットな周波数特性、そして優れたS/N比といった優秀な性能により、瞬く間に商業スタジオのスタンダードとなり、数多くの名盤を生み出しました。そして、Teletronixはビル・パットナム氏のUREI(Universal Audio)に吸収され、後に同機をソリッドステート化したコンプレッサーLA-3Aの源流となります。
Universal AudioのLA-2Aは、そうした往年の「コンプレッサーの基本」LA-2Aを当時の仕様のまま忠実に復刻された製品です。完全ブラックボックス化した現代のレコーディング機器とは異なり、ラックにマウントした状態でも内部へのアクセスが容易なフロントパネル下のヒンジ構造(とはいえ、現代の厳しい基準を満たす品質ですから、頻繁な調整は必要ありません)、背面パネルに露出した真空管、そしてターミナル式の入出力端子(加えて、現代的なXLR端子も用意されていますからご安心ください)など、往時のままのクラシックな特徴を引き継いでいます。プリント基板よりも手間は掛かるが音質的に優れたポイントtoポイントのハンドワイヤード仕様は、オーディオ機器に詳しい方ほどニヤリとされることでしょう。
もちろん、そのナチュラルでクラシックなコンプレッションサウンドは「これぞ基本」と思える永遠のリファレンス。シンプルなコントロールで確実な効果。即戦力のモダン・ヴィンテージです。