「進化を続けるTALBO」

激動のエレキギターの歴史の中で、異端児と見られているTALBOの生い立ちと今に至る紆余曲折を紐解き、更なる進化を遂げようと蠢いている、まるで「モスラ」の様な?!その動向をお伝えいたします!

'83当時の東海楽器はマーティン、グレッチ、アンペグの世界の3大ブランドの日本総代理店を行っておりました。
輸入をすれば、アフターサービスを行わなければなりません。自ずと歴史のあるギターメーカーの製造ノウハウを吸収していき、それを当時の自社ブランドへ反映させ、当時のスタッフの探求心と相まって驚くべき技術力でF社、G社のコピーモデルやCat's Eye'sブランドのアコースティックギターへと昇華させて行きました。
そのような時代を背景に、TALBOは産声をあげたのです。



それでは初めて世に放たれた'83年と現在までの比較とストーリーをどうぞ。



TALBOは鋳造(ちゅうぞう)と言う方法で、砂型に800℃以上のドロドロに溶けたアルミを流し込み、ちょうどエンジンやアルミホイールを製作するのと同じ方法で製作されます。
'83年当時は2プライ構造で、お弁当のフタをする様に上下に重ね、合わせ目を溶接し、バリなどを研磨して中空のボディを製作、余分な残響を防ぐために中の空間にボディの穴(下画像:83年ボディ 発砲ウレタン注入口)から発砲ウレタン(極めて軽量)を注入していました。

'94年にTALBO Secret FACTORYのスタッフが100台程の'83年製のボディの山を発見し、TOKAIロゴ、指板Rの変更を行い限定にて発売をしましたが、間もなく完売となりました。
その後'83年当時からの開発願望であった1ピースボディの原型を工場の製造責任者であったT氏が鋳造部署との連携で創り上げました。

この最初のサンプル原型ではボディ内部の空洞のために残響が多すぎ、楽器としての使用には適さなかったのですが、TALBO Secret FACTORYスタッフの要請によって、ウレタンフォーム(スポンジ状)を下の画像(05年ウレタン)の様に正確に切り出し挿入することで実用化の運びとなりました。

アルミボディの肉厚は平均2.5mm、トップ面とバック面での厚みの均一性は製作現場の技術の高さを垣間見ることが出来ます。この辺りの技術は、後にマグネシウム1ピースボディーのTALBO BASS製作へと発展していきます。
また、現在のTALBOは改造大好き人間には堪らない素材となっています
ピックガード部分が大きく開いている事で、改造などを行う際、ウレタン部分を削除して改造パーツを装着する事が容易なのです。「TALBO自慢コンテスト」では、皆さんの様々なアイディアのつまった改造TALBO写真が寄せられています。

シェイプに関しては、'83は丸く、現在はややシャープな印象を受けます。マニアの意見の分かれるところですが、こちらは趣向の問題ではないでしょうか。


05年ボディ

05年ウレタン

83年ボディ

83年ボディ
発砲ウレタン注入口
       


'11 5.11 New!

TALBOの経年変化!

木材ではないアルミ鋳造ボディーの「TALBO」は、弾き込む事や経年変化での鳴りとは無関係な、冷たいギターだと思われておりましたが、ナント!'97以降の復活TALBOではボディ内に装填するウレタンが経年変化をして、当初の柔らかなものから徐々に弾力性が失われ、結果ボディ内での残響が変化をしてギターサウンドへも変化がある事に気付きました!
これは、「GLAY ARENA TOUR'97~HIT THE WORLD~」から使用しているHISASHI/GLAYのPlatinum Blue TALBO "LFO Jet Speeder"を調製している時に、新品のTALBOと比べると明らかに鳴っているのと、配線等をチェックする為にピックガードを外すと、ウレタンの感触が違っている事に気付きました。

今回、特別に了解を頂き"LFO Jet Speeder"のピックガード内のウレタン画像を公開致します!
ライブの勲章とするキズの多さもありますが、ピックガード留めビス径の違いや搭載される基板と、経年変化して色合いも変化したウレタンが確認できると思います。
又、鳴っているもう一つの理由は、ツアーでの使用はリハ~本番と鳴らす時間が多い為ネックも含めて、同じ弦振動でもボディ&ネック全体の振幅が大きくなるのではないでしょうか?
TALBOユーザーは益々タルボを弾いてあげて下さい。
更に鳴るTALBOが産れると思います。


↓おまけ:歴史を物語る塗装の剥げ痕です。







当時はボディ側とネック側で正確にハの字で溝を切り、ナットをネックに埋め込み、2点留めで経年変化も見据えた対策を施し生産されていました。G社LPのネックジョイントやマーティンの構造研究から、ネックジョイントの方式がサウンドに大きく影響を与えることが明らかになっています。後のF社セットネックシリーズがハの字でジョイントしていた事も、興味深い事実として存在致します。
但し20年以上経過した2点留めTALBOを確認すると、致し方ないことではありますが、殆んどが左右どちらかへ傾いております。

現在の生産では1ピース仕様とウレタンを使用する関係でボディが若干重くなる為、ネックポケット部分にも対策が施されています。4点式に変更されてからは、さすがに左右の傾きは発生しておりませんが、未だ10年の歴史ですので、20年後の状態を見守りたいところですね。

05年ネックポケット(4点止め)

83年ネックポケット(2点止め)

05年ジョイント

83年ジョイント

05年ネックポケット

83年ネックポケット




スケールは324mmで変更はありませんが、指板RはTALBO Secret FACTORYの指示で280Rから350Rへと変更、'83年のローズ指板はラウンドボード、メイプルネックは1ピース仕様ですが、'94年以降のローズ指板はスラブボードでメイプルはスラブ貼り仕様となります、又操作性向上のために、'94年以降のトラスロッドはGotohのSATが標準装着となっています。

ネックグリップは'83年の丸めなUシェイプに対し'94以降はややシャープなUシェイプとなります。

05年ネックエンド

83年
ネックエンド

05年ネックエンド

83年
ネックエンド

05年フィンガーボード

83年フィンガーボード


【 # 1 】
【 # 2 】
【 # 3 】
【 # 4 】
【 # 5 】
TALBOの流転のストーリーを物語る様に、ヘッドロゴも涙無くては語れないストーリーが隠されています。

・'83年からTOKAI BLAZING FIREが標準装着されておりますが、一時生産休止を経て'94年までの非公式な生産に於いてはF社スタイルの輸出品に貼付していた筆記体のものと、F社STスタイルに貼付していたGOLDSTAR SOUNDバージョンがあります。
【 # 1 】

・'94のTALBO Secret FACTORYのオリジナル初期限定生産は、'83のネック2点留め2ピース溶接BODYを使い、センターゴールドのGOLDSTAR SOUNDロゴを採用致しました。
【 # 2 】

・'96からの1ピースBODYは途中からセンターシルバーのTOKAI BLAZING FIREロゴが復刻致します。
【 # 3 】

・'03前後はヘッド面からロゴは無くなりますが、仔TALBO同様ヘッドバックにTOKAI guitarsと入ります。【 # 4 】

・TALBO Secret FACTORYではない、'06からのレギュラー品番のヘッドロゴはTalboとなります。
【 # 5 】

注) 【 # 4 】 はマウスカーソルを当てますとヘッド裏の画像もご覧いただけます。




'83年は多様なボディカラーと共にTALBOロゴはホワイト、ブラック、ゴールドなどがシルク印刷されていました。中にはゴールドのピカピカしたフィルムを貼り、その上にクリアー塗装を施したゴージャスなものも見受けられます。
'94年以降はシルク印刷でのホワイト、ブラック、ゴールドが基本、後に限定モデルや特別な意味合いを持たせたモデルにはレッド、ブルーが使用されています。

05年

83年
シルク印刷ロゴ

83年
ゴールドフィルムロゴ




'83年はトレモロの有無にかかわらず、バックキャビティのカバーはアルミ製で2つのツメ状の出っ張りがあり、ボルト1本で留めるタイプ。スプリングハンガーを留めるボルトはブラスの四角いナットで固定されていました。
'94年からは塩化ビニール製のプレートを6本のビスで留める方式となり、スプリングハンガーは2本のボルトでボディに直接打ち込まれています。

05年バックパネル


83年バックパネル


05年スプリングハンガー

83年スプリングハンガー




'83年は2点支持のブラスサドルのシンクロタイプとトレモロレスがあり、生産が中断する寸前はFRTタイプやナットがケーラースタイルのものなど、時代を反映するトレモロが搭載されていました。

'94年からはタケウチのシンクロタイプ、'96からWilkinsonが搭載開始されます。
レアな仕様では、TALBO Secret FACTORYのスタッフが図面を起こしたトレモロレスも少数ながら生産されていました。

00年
トレモロレス

05年Wilkinson

83年トレモロレス

83年 トレモロレス

83年 シンクロアーム




'83年はシングルコイル仕様はヴィンテージスタイルを継承しつつ、さらに高域を強調する為共振コイルを経由しておりますが、それでもノイズを抑えられたのは全身がアルミ製であったためです。ハムバッカーはピックアップカバーにTALBOロゴが刻印された上品なサウンドのものでした。

'94年からのシングルコイルはGotoh GS-1、ハムバッカーはヴィンテージホットを採用。アルミボディの特性を理解した上で、あらゆるジャンルに対応可能なサウンドを目指すためのチョイスです。 その後EMGを搭載した限定モデルや、Bill Lawrence L-250やL-500をFERNANDES-SustainerやRoland-GKとマッチングさせて搭載したモデルなどはミュージシャンにも好評を博し、PCを使ったDTMなどにも充分威力を発揮、自宅で愛用している方も多いモデルとなりました。

83年ピックガード裏

83年
3S

83年2H

05年
SSH GK&SUSTAINER




'83年当時は基本的にサーフェーサー(下地)の上に塗装する方法で非常に密着も良く、過激な衝撃以外で塗装に問題が発生することはありませんでした。
'94年以降のTALBO Secret FACTORYのアルミクリアー、プラチナカラーはハンドバフでピカピカに磨いたボディにクリアーやシースルー塗装をする為、時として密着が悪く剥げ易い事があります。が、剥げた部分の下地のアルミがキラリと光るなどプラスの要素として受け止め、単なるキズではなくその存在感の証として捕らえている方もいらっしゃるようです。

多くのエレキギターが模倣的な方向に向かっている中、よりオリジナルに、よりアバンギャルドに存在感を発揮するTALBOを愛して止まないミュージシャンが多い理由は、そんなところにもあるのかもしれません。



近年の特殊ボディコーティングが、TALBO好きマニアに混乱と誤解を招いている様ですので、ここで明らかにいたします。

Alumi Clear:

'83オリジナルには存在しない仕上げで、アルミ職人がハンドバフを掛けてピカピカに磨き上げ、クリアー塗装をしてミラーピックガードで武装したミュージシャン御用達のTALBO Secret FACTORYの代表仕上げです。

ボディーに目を近づけて良く見ると、磨いた方向のバフ目が筋となっております。

撮影時はミラーピックガードが写り込む為、カメラマンを苦しめます。

Nickel Plated:


レギュラー品番でNPと記載される、ニッケルメッキ仕上げです。
砂型に高温の溶けたアルミを流し込む時にできる、専門用語で”(す)”と言うボツボツの小さな凹みを目立たなくする為に、砂を強く当てて、更に小さなボツボツ・ザラザラにした上で、ニッケルメッキをする仕上げです。

色合いも若干アンバー的な色調で、手垢などを附けたままにしておくと酸化して綺麗に拭き取る事が難しくなります。

但し均一に経年変化したNPは上品なシブさを醸しだします。やや離れて照明を当てて撮影すると、意外と美しく撮れる為アルミクリアーと間違える方が多々いらっしゃいますが、お気を付け下さい。
Chrome Plated:

文字通りクロームメッキですが、こちらはNPで採用した砂は当てずに、ボツボツの”(す)”があってもそのまま仕上げた為、大胆なボツボツが見受けられます。

また、面が鏡状の為、周りの風景を全て反射致しますので、管楽器などと同様、撮影時にはカメラマン泣かせとなる仕上げです。

TALBOとして出荷されたのは少数です。




NECK SET
ネックポケット部分のネックを厚くしました。


かねてより「次世代のTALBOを!」と言うリクエストが多く寄せられています。クリーントーンの響きと爆音状態での自然な鳴りを求め、セットアップが2005/7月生産より変更となります。 自ずとトレモロ部分もセットアップ変更を余儀なくされます。 アルミからのアプローチではありますが、ギターサウンドの真髄により近付きつつあります。 TALBOジャンキーのヘヴィユーザーに感謝の意をこめた、2006年に向けてのプレゼンテーションです。
実は先行発売のTARBOSAURUSは既に変更となっております。
ピッキングに自在に対応するナチュラルな響きは、購入されたギタリストから絶賛されております。
又ハイレベルなギタリストには新たな発見をもたらすことでしょう。




12.18 NEW!
●2010年モデル フレット形状を変更!!
2009年モデルに採用されたフレットは、テクニカル系ギタリストが愛用するやや高め目で太いフレットを、2010年モデルは少しスリムにした214Hという、こちらも技巧派のギタリストから情感を込めたフレーズを放つ、先進のギタリストに絶賛されるフレットです!

ボディーレスポンスが高感度なTALBOはピックアップやトレモロなど、音に関するパーツの反応が良い為今回フレットを変更して、更に上質なサウンドを目指します。
<2009>
<2010>
フレット形状とサイズの違いが判ります。


TALBO 2009 Limitedが「Upgrade」致します!


「LFO JET SPEEDER」、「FRT-Sustainer」、「Cloth Wrap」と斬新なアイディアとサウンドを追求するTALBO Secret FACTORYが、2009年生産レギュラーモデルの更なる進化を遂行中!

2006年にネックセットを3mm変更して鳴りを一段進化させて、生音のグレードが上がる事でストリングガイドによる、2弦と3弦のニュアンスの違いから来る、コードバランスとサスティーンの違いを「Upgrade」致します!
画像で確認できますが、進化形はナット位置が高い為弦巻きとの角度があります。

旧タイプはF社を継承していた為、弦の細い1~2弦はストリングガイドでテンションを掛けてバランスを取っておりましたが、2009年の新型は1弦~6弦まで均一に近いテンションが得られ、世のミュージシャンが認めるブランドのギターと同様にストリングガイドが無く自然な鳴りを獲得致しました!
開放弦をポーンと鳴らすと手とお腹で自然な鳴りが実感出来ます!
どのギターも構造上ナットやブリッジに弦が乗りますが、真っ直ぐ引っ張るのと何かに掛けて角度がついて引っ張るのでは、弦振動のロスが違います。

ギター製作の偉人達が考えたヘッド形状はブリッジからナットを経た弦は、真っ直ぐに進み弦巻きに収まります。
全体のデザインからヘッド角または左右に角度がある構造は、歴代の名器が証明する様に良い悪いではなく好みの範疇ですので、必ずしも垂直な弦の張り方が良いとは限りませんが、純粋に弦振動の立ち上がりから減衰時間経過は異なります。
出荷時にはストリングガイドが装着されておりませんが、同梱されておりますので後日装着も可能です。

先ずはお試し下さい。
<2008>
<2009>



今回ご紹介致しましたのは、進化を続けるTALBOの一部分です。
更なる進化の糧となるのは、愛用されているギタリストの生の声です。
ご意見、ご要望はTALBO Secret FACTORYへお寄せ下さい!
TALBOの歴史を創るのはあなたです!

工場の製作現場をご覧になる方はコチラへどうぞ


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