【Breedlove Factory Tour 2015 in Oregon,USA】

2015年10月。アメリカの雄大な自然が広がるオレゴン州のベンドという街にあるアコースティックギターブランド「Breedlove~ブリードラブ~」のファクトリーへ、ハートマンギターズ・スタッフ小林が行ってまいりました!日本のショップによるBreedlove工場訪問はおそらく今回が初めてのこととなります。このレポートではBreedloveのギターが完成するまでの製作工程やそのこだわり、直接訪問したからこそ選定することができた極上のトーンウッドとカスタムオーダーの様子を写真と動画を交えてご紹介!「観て、聴いて」楽しんで頂ければ幸いです。

Breedloveというブランドについて

2015年で創業25周年を迎えたBreedloveは、1990年に当時Taylor Guitarsに勤務していた「ラリー・ブリードラブ」と「スティーブ・ヘンダーソン」によって設立。立ち上げ時は木材やパーツ、製作機材などの供給をTaylor社から受けるなど、多大なる支援があっての船出となったそうです。

その後ラリーの兄「キム・ブリードラブ」が合流。これによりBreedloveの基盤が完成しました。キムはギターやマンドリン、バンジョーなどのプレイヤーでもありながら、インレイ職人としてのキャリアも積んでいたことで、その美しいインレイワークがBreedloveの象徴の一つとして確立したのです。その後しばらくしてラリーは再びテイラー社へと戻り、スティーブもメーカーを離れることになりましたが、キムのビルダーとしての才能が開花したことで、今日の成功を収めるに至りました。ここ日本においてもフィンガーピッカーから絶大な支持を集めるグラミー賞受賞アコースティック・ギタリスト「エド・ガーハード」を筆頭に、あの「マドンナ」や「サミー・ヘイガー」といった超大物ミュージシャンらが使用するなど、アメリカ本土で不動の人気を得るブランドへと成長したのです。

そして2010年頃からは、現在のブランドオーナーである「トム・ベデル氏」が興した会社「Two Old Hippies」との協力体制を開始。規模を拡大したことでラインナップの充実化と製作技術の向上を実現し、ヨーロッパ各国やここ日本においても人気・知名度共に急上昇中となっております。

その大きな要因として、ブランドを傘下に収めながらもその独立性と経営理念を尊重しスタッフも入れ替えることなく、Breedloveの魅力をさらに引き出したトム社長の存在が挙げられると思います。それは今回の訪問で確信に変わり、自身の名を冠したギターブランドも持ちながら、Breedloveへのリスペクトを忘れない社長の寛大な人柄に触れることができました。そのトム社長から日本の皆様へのメッセージを頂く事ができましたので、「クラフトマン・インタビュー」にて是非ご覧ください!

工場見学編

成田空港からサンフランシスコ空港を経由して飛行機を乗り継ぐこと約10時間。オレゴン州のレッドモンド空港に降り立ちました。

[空港内にて]

[空港内にて]

[空港内には様々なオブジェが展示してありました]

[空港内には様々なオブジェが展示してありました]

[落ち着いた雰囲気のレッドモンド空港]

[落ち着いた雰囲気のレッドモンド空港]

[鷲のオブジェと青空]

[鷲のオブジェと青空]

サンフランシスコのような都会と違い、ここはアメリカの田舎街!日本の比ではない広大な大地が広がっておりました。私、アメリカ本土は今回が初めてでしたので、飛行機移動の疲れも忘れこの時点でテンション上がり気味です!ウェスタンな雰囲気を感じる空港を出るとアメリカの象徴「鷲」を象ったオブジェがお出迎え。そしてこの快晴!爽快ですね!が、浮かれてばかりはいられません。今回はお仕事で来ています。今回は・・・。

しばらく待つとBreedloveのインターナショナルブランドマネージャーを務めるデヴィン氏が迎えに来てくれました。今日から3日間ツアーをサポートしてくれるナイスガイです。レッドモンド空港から工場のある街ベンドへは車で南へ20分ほど走ったところにあります。田舎街なのであまり信号がなく、高い建物も無いのでホントに空が広かったです。

[ベンドへと向かう車内にて]

[ベンドへと向かう車内にて]

[オレゴンの雄大な大地]

[オレゴンの雄大な大地]

[レッドモンドからベンドへと向かう道中]

[レッドモンドからベンドへと向かう道中]

[ベンドのダウンタウンに到着]

[ベンドのダウンタウンに到着]

このとき既に夕方4時を過ぎておりましたので、このままホテルに直行。チェックインして翌日からの工場見学に備えて体力温存とタイムスケジュールの最終確認を兼ねたミーティングを行い1日目は終了しました。

2日目の今日はいよいよ待ちに待ったBreedlove工場への訪問です!

ホテルから車で約10分。工場の敷地内へ入ると親会社「Two Old Hippies」の看板がありました!Breedloveの文字もしっかりありますね!ここで恒例の記念撮影です。同社ではBreedloveの他に2ブランドを傘下に収めております。

[Two Old Hippeis社の看板と小林]

[Two Old Hippeis社の看板と小林]

[同社エントランスへの入り口]

[同社エントランスへの入り口]

[生産工場兼倉庫の建物です]

[生産工場兼倉庫の建物です]

[コンテナには楽器用の木材が入っているそうです]

[コンテナには楽器用の木材が入っているそうです]

エントランスに入ると記念すべきBreedlove一号機の展示がありました!ラベルに1991年製造という表記が確認できますね。これは創業者の「ラリー・ブリードラブ氏」の作品です。

今では細かな仕様変更こそありますが、このとき既にBreedloveの独創的なデザインがほぼ完成していることがわかります!一号機を手に満面の笑みを浮かべているのはデヴィン氏と共にツアーをサポートしてくれるコリン氏。子供時代に日本で生活していたことがあるそうですよ。彼も陽気なナイスガイです!

[エントランスに展示してある記念モデル]

[エントランスに展示してある記念モデル]

[記念すべき第一号機とBreedloveスタッフのコリン氏]

[記念すべき第一号機とBreedloveスタッフのコリン氏]

[1991年製造の1本目。このとき工場はタマロという街にあったそうです]

[1991年製造の1本目。このとき工場はタマロという街にあったそうです]

[バックは3ピース構造、ネックはウォルナットで製作されているとのこと]

[バックは3ピース構造、ネックはウォルナットで製作されているとのこと]

そしてこちらは記念すべき1万本目のギター!極上フィギャードコアをボディに配し、サウンドホールから指板に至るまで蛇のインレイが施されております。記念モデルに相応しい超ゴージャスな一本ですね!こちらは「キム・ブリードラブ氏」が製作に携わった一本ですね。なんとハイレベルなインレイワークでしょう。

[記念モデルとコリン氏]

[記念モデルとコリン氏]

[蛇のインレイ]

[蛇のインレイ]

[1万本目を示すラベル]

[1万本目を示すラベル]

[極上のフィギャード・コアで製作されております!]

[極上のフィギャード・コアで製作されております!]

まず案内されたのが徒歩一分圏内の、楽器製作に使用される木材をストックしている倉庫兼工場の建物です。関係者以外立ち入り禁止のこちらの建物は、カスタムオーダーやミーティングを行う際の応接室も設けられており、既存モデルやカスタムオーダーされたギターがずらりと展示されておりました。また、オーダーに必要な指板インレイのデザインサンプルやサウンドホールロゼッタのデザインサンプルなどが展示してあります。

[木材の倉庫兼工場がある建物]

[木材の倉庫兼工場がある建物]

[カスタムモデルや既製品がずらり!]

[カスタムモデルや既製品がずらり!]

[指板に施すインレイのサンプル]

[指板に施すインレイのサンプル]

[ロゼッタデザインのサンプル]

[ロゼッタデザインのサンプル]

奥へ進むと、シーズニングが完了し楽器用に加工される前の木材がストックされている倉庫があります。ボディ材をはじめ、ネック材、指板材、ブリッジ材など、様々な形と大きさの材料がずらりと並んでおりますね!ギター用の他、マンドリン用の材もストックされております。

[これから製作に使用される木材の山]

[これから製作に使用される木材の山]

[ネックに使用される角材]

[ネックに使用される角材]

[マンドリン用のトップ材]

[マンドリン用のトップ材]

[良質な材料の山!]

[良質な材料の山!]

倉庫および工場内は温度約20~22度、湿度約40~45%を維持しているとのこと。ここは一年を通して非常に空気が乾燥している地域で、湿度は平均で約20%前後しかないそう!その為、工場内は程よく加湿する必要があるそうです。また、その環境から木材を強制乾燥させる機械は必要ないとのこと。すごいですね。確かに帰国する頃には唇がカサカサになってましたよ。

木材の種類、また、楽器の種類別にキレイに陳列された棚の中にはなんとブラジリアン・ローズウッドだらけの棚がありました!楽器用木材の中では最高峰の高級材であるブラジリアン・ローズウッドは、廃墟となった古い教会や家具などから切り出したものだそうです。

[ブラジリアン・ローズウッドだらけ!]

[ブラジリアン・ローズウッドだらけ!]

[ブラジリアン・ローズウッドの豊富なストック!]

[ブラジリアン・ローズウッドの豊富なストック!]

[ブリッジ用に加工されたブラジリアン・ローズウッド!]

[ブリッジ用に加工されたブラジリアン・ローズウッド!]

[ブラジリアン・ローズウッドの指板用でしょうか]

[ブラジリアン・ローズウッドの指板用でしょうか]

ふと、奥に目を向けると旧ロゴの看板が置いてありました!「Breedlove Guitar Company」とありますね!創業当時の物なのでしょうか。

[Breedlove Guitar Company]

[Breedlove Guitar Company]

倉庫の隣の部屋が加工場になっております。板がキレイに並べられておりますね。ここは隣の倉庫から加工する材を移動し種類別に分けておいておき、その日の計画に沿ってこの棚から必要分だけ持ち出すそうです。モデルやサイズがわかりやすいようにラベルが貼られておりますね。これで何に使用する材か一目瞭然です!

[キレイにわかりやすく陳列された木材]

[キレイにわかりやすく陳列された木材]

[サイズ毎にならべられたネック材]

[サイズ毎にならべられたネック材]

[トップ用のスプルース材]

[トップ用のスプルース材]

[アディロンダック・スプルースのブレーシング材がありました!]

[アディロンダック・スプルースのブレーシング材がありました!]

こちらのマシンはトップ材の厚みを調整する機械だそうです。Breedloveの一部機種のトップ材は「Graduated Top~グラデュエーテッド・トップ~」と呼ばれる加工が施されております。これは低音弦側から高音弦側に行くにつれて僅かに厚みが増していく形状で、これによりふくよかで豊かな低音と煌びやかで美しい高音の両立を図り、豊かな音量とバランスのいいトーンを実現しております。これがBreedloveサウンドを確立している要素のひとつです!

[グラデュエーテッド・トップ加工をするためのマシン]

[グラデュエーテッド・トップ加工をするためのマシン]

[グラデュエーテッド・トップ加工をするためのマシン]

[グラデュエーテッド・トップ加工をするためのマシン]

加工前と加工後のネックです。向かって右側のような角材が左の見慣れたネック形状へと加工されます。

[加工前と加工後のネック]

[加工前と加工後のネック]

[加工前と加工後のネック]

[加工前と加工後のネック]

[加工を待つ材料たち]

[加工を待つ材料たち]

[加工前のネック材]

[加工前のネック材]

こちらのCNCルーターではネックやヘッドの形状を加工しております。担当のマイク氏です。四角い板がBreedloveの美しい形状のヘッドへと変貌するわけです!この工場ではCNCルーターの所有台数がなんと6台と他のメーカーからみてもかなり多いほうだそうです。なぜそこまでの台数があるのかというと、主には職人の手作業によって製作されるのですが、大まかな形状造りや製作精度が必要とされるブリッジの製作など、一度に早くたくさんの製作が必要なものや均等な精度が必要な部分は機械の力を使ってクオリティを統一させているということなんですね。また、他メーカーではルーターのプログラミングを外注業者に依頼することが多いのに対し、こちらではプログラムをあるスタッフがすべて行ってしまうそうです!そのスタッフこそがマイク氏なんです!すごいですね!

[ネックや指板、ヘッドの加工をするCNCルーターと担当のマイク氏。この方がルーターのプログラムもやっているそうです!]

[ネックや指板、ヘッドの加工をするCNCルーターと担当のマイク氏。この方がルーターのプログラムもやっているそうです!]

[CNCルーターの内部]

[CNCルーターの内部]

[ヘッドの加工を行うところ]

[ヘッドの加工を行うところ]

[加工が行われたエボニー指板とメイプルネック]

[加工が行われたエボニー指板とメイプルネック]

こちらはブリッジの加工を行っているルーターです。Breedloveではピンレスタイプのブリッジを採用しておりますが、その加工は実際どうやっているのかとても気になっておりました。これもやはり均等な精度が必要とされる大事なパーツですので、すべてルーターで製作しております。写真の右側が加工前、左がブリッジに加工されたエボニー材です。形状は新たに採用されたデルタタイプのブリッジですね。

[ブリッジを製作しているCNCルーター。台座の上面と側面にもセットされているのがわかります]

[ブリッジを製作しているCNCルーター。台座の上面と側面にもセットされているのがわかります]

[弦を通す穴を開けている様子]

[弦を通す穴を開けている様子]

[加工前と加工後のエボニーブリッジ]

[加工前と加工後のエボニーブリッジ]

[完成したブリッジ。ルーター一台で完了してしまいます]

[完成したブリッジ。ルーター一台で完了してしまいます]

【ここがポイント!】
■ベンドでは一年を通して乾燥しており、木材のストックには非常に適している!
■Breedloveでは良質な木材のストックが豊富で、レア材も多いことからカスタムオーダーにフレキシブルに対応している!
■ギター工場の中でも多い、6台のCNCルーターを所持!職人の手作業とマシンを使った均一な作業精度とのバランスが優れている!
■ルーターのプログラミングをスタッフ自らが行っていることで、トラブル時にも素早い対応が可能!

この建物では、ギターパーツの大まかな加工作業が行われておりました。その後、Breedlove一号機が展示してある建物へと運ばれ、いよいよ楽器の形に組み立てられるセクションへと移ります。

こちらがボディを作るセクションです。写真手前にあるハンドルのついた機器は、サイド材をプレスして曲げるためのものです。サイド材を曲げる作業は大きく分けて2パターンあり、この機器でプレスして曲げる方法、そして職人の手によって慎重に曲げられる方法です。前者はオレゴンシリーズとプレミアーシリーズに使用されるそうです。そしてハイクラスに括られるレガシーシリーズ、マスタークラスシリーズ、そしてエキゾチックシリーズ用のサイド材は職人の手曲げによって行われるそうです。ハイクラスにもなると、より厳選された材料を使用したり希少なエキゾチックウッドを使用したりすることから、手作業で慎重に行われるということですね。ここはまさに機械ではできない人の手が作り上げている部分です。

[大まかに形になった木材を楽器の形へと製作するセクション]

[大まかに形になった木材を楽器の形へと製作するセクション]

[大まかに形になった木材を楽器の形へと製作するセクション]

[大まかに形になった木材を楽器の形へと製作するセクション]

[なにやらボディ材に何かをメモしてますね]

[なにやらボディ材に何かをメモしてますね]

[Breedloveの最もポピュラーなコンサートサイズ用の型]

[Breedloveの最もポピュラーなコンサートサイズ用の型]

この時ちょうどクラフトマンによる手曲げ作業が行われておりました。しかもブラジリアン・ローズウッドのサイド材を曲げているところでした!クラフトマンの目も真剣そのものです。

[ブラジリアン・ローズウッドのサイド材を手曲げしている様子]

[ブラジリアン・ローズウッドのサイド材を手曲げしている様子]

[きれいに曲げられておりますね。カッタウェイ部分ですね]

[きれいに曲げられておりますね。カッタウェイ部分ですね]

いよいよボディが形になる時です。それぞれパーツとして完成したボディ材を一つにまとめます。型にはめ込まれたサイド材に、厚みが調整されブレーシングが接着されたトップ材とバック材を、前後同時に接着するそうです。

[トップ材の接着について説明するデヴィン氏]

[トップ材の接着について説明するデヴィン氏]

[どうやらパーラーギター用のボディを製作しているところのようです]

[どうやらパーラーギター用のボディを製作しているところのようです]

[バック材がおいてあります]

[バック材がおいてあります]

[トップ材とバック材の接着前の様子]

[トップ材とバック材の接着前の様子]

アコースティックギターはその形状から通称“フラットトップ”とも呼ばれていますよね?確かにトップ形状はフラットなのですが、ほとんどのメーカーにおいて実は僅かにアーチが付けられているんです。「フラットトップなのにトップが盛り上がっている」といったご相談を受ける事が多くございますが、アコギの構造上、弦の張力などによって少なからずトップは盛り上がります。ただそれが、正常な範囲なのか否か、ということです。アコギは弦振動から木材を振動させ、内部で反響させることで音を出しておりますが、トップ材に僅かなアーチをつけることで、より豊かな生鳴りが得られるように工夫されているのです。大手G社でもこの方法は採用されており、僅かなアーチは異常ではございませんので安心してくださいね!

[「トップの僅かなアーチがわかるかい?」とデヴィン氏]

[「トップの僅かなアーチがわかるかい?」とデヴィン氏]

[トップの僅かなアーチに併せ、接着面のライニング材にも僅かに傾斜をつけるそうです]

[トップの僅かなアーチに併せ、接着面のライニング材にも僅かに傾斜をつけるそうです]

トップとバック材が接着されたボディは、このプレス機器で約45分、接着剤の硬化を待ちます。こちらはオレゴンシリーズのコンサートボディでしょうか。サイド材とバック材はオレゴン特産のマートルウッドですね!美しい!

[形になったボディ。コンサートシェイプですね]

[形になったボディ。コンサートシェイプですね]

[オレゴン特産のマートルウッドを使用しております]

[オレゴン特産のマートルウッドを使用しております]

接着が完了したボディは、バインディングを巻く作業に移ります。その前に、バインディングを巻く分のクリアランスを設けるため、余分な部分をこの台において削るそうです。床には木屑が大量に散乱していました。

[バインディングを巻く作業]

[バインディングを巻く作業]

形になったボディにバインディングを巻くセクションです。プラスチックや木材などで作られたバインディング材をクラフトマンが丁寧に接着していきます。細かい作業ですが、僅かなタワミも許されない重要なセクションです。さすが慣れた手つきでバインディングを巻いておりました。バインディングはボディの角を保護する役割があると思いますが、それ以外にもルックスを左右する重要なデザイン要素でもありますね。

[バインディングを巻き始めたところのようですね]

[バインディングを巻き始めたところのようですね]

[こちらはコア材で作られたバインディングです。マスタークラスなどのハイクラスシリーズに使用されます]

[こちらはコア材で作られたバインディングです。マスタークラスなどのハイクラスシリーズに使用されます]

[バインディングが巻かれ、見慣れた形になっていたボディを発見!これは間違いなくマスタークラスのC26CEですね。ハイグレードなフィギャード・マートルウッドを使用しています]

[バインディングが巻かれ、見慣れた形になっていたボディを発見!これは間違いなくマスタークラスのC26CEですね。ハイグレードなフィギャード・マートルウッドを使用しています]

[バインディングを巻き終えるとこうなります。テープでしっかり固定されております]

[バインディングを巻き終えるとこうなります。テープでしっかり固定されております]

こちらはネック材に指板材を接着して仕上げているセクションです。ネック側に穴が開けられそこに指板がはまる仕組みになっております。これにより作業効率はとても上がりますね。あいている隙間はバインディング分の幅とナット分の幅だそうです。

[ネックの加工を行っているセクション]

[ネックの加工を行っているセクション]

[ネック材に指板材を接着して仕上げているセクション]

[ネック材に指板材を接着して仕上げているセクション]

[ネック材に指板材を接着して仕上げているセクション]

[ネック材に指板材を接着して仕上げているセクション]

[ネック材に指板材を接着して仕上げているセクション]

[ネック材に指板材を接着して仕上げているセクション]

バインディングが巻かれた後、ネック材とのギャップをきれいにするためにサンディング作業を行っているところです。加工後のネックを触らせてもらいましたが非常になめらかに仕上げられておりました!

[サンディング作業]

[サンディング作業]

[サンディング作業]

[サンディング作業]

その奥ではネックのシェイピングを行っているところでした。ネックはルーターで大まかな形を造りますが、演奏性に直結する最終仕上げは熟練の職人の手で行われます。ここも機械ではできないセクションですね。Breedloveのネックシェイプは比較的薄めに仕上げられており、手に馴染む運指のしやすいネックです。手の小さめな日本人にもこれは大きなポイントになるのではないでしょうか?

[やすりで形を整えます。熟練された職人の技が光ります]

[やすりで形を整えます。熟練された職人の技が光ります]

[やすりで形を整えます。熟練された職人の技が光ります]

[やすりで形を整えます。熟練された職人の技が光ります]

扉で仕切られた隣は塗装セクションです。ボディのサンディングを行っていました。Breedloveでは鏡面仕上げにするフルグロスと、半艶消しのセミグロス仕上げの2通りの仕上げ方があります。セミグロスは手触りが滑らかでネックでは滑りがいいのでポジションチェンジがとてもしやすいのです。

[サンディング作業を行っていました]

[サンディング作業を行っていました]

[サンディングが完了したボディとネックでしょうか。オレゴンシリーズのモデルですね]

[サンディングが完了したボディとネックでしょうか。オレゴンシリーズのモデルですね]

[マートルウッドを使用したコンサートサイズです]

[マートルウッドを使用したコンサートサイズです]

[研磨を待つボディでしょうか]

[研磨を待つボディでしょうか]

フルグロス仕上げに必要な丸い布が高速回転するバフ掛けのマシンです。このマシンは計4台あり、それぞれ粗さが異なり徐々に細かくしてキレイな鏡面仕上げを作り出しております。Breedloveではポリウレタン塗料を採用しています。デリケートなラッカー塗装に比べると耐久性があり、作業効率も高い塗料ではありますが、この作業とても大変なんですよ!ムラ無く均等に仕上げるにはやはり経験が必要です。それに高速回転している布に持っていかれてボディを落とすリスクも伴います。私?落とした経験者です、はぃ・・・。

[塗料が吹かれたボディ達。赤色の木材はココボロですね。左利き用のボディも確認できます]

[塗料が吹かれたボディ達。赤色の木材はココボロですね。左利き用のボディも確認できます]

[鏡面仕上げの研磨中です]

[鏡面仕上げの研磨中です]

[バフマシンです。これが計4台ありました]

[バフマシンです。これが計4台ありました]

[こうして回転している布にあてて磨きます]

[こうして回転している布にあてて磨きます]

ボディに塗料を吹いているところも見学できました。今ではコンピューター制御されたマシンで塗装を施すメーカーもありますが、Breedloveは職人の手によって行われております。きれいにサンバーストカラーを吹いていますね。腕にはまるで自分にも塗装したのかと思うほどカラフルな刺青が入っています(笑)

[塗装中]

[塗装中]

[サンバースト塗装が吹かれたボディ]

[サンバースト塗装が吹かれたボディ]

【ここがポイント!】
■レガシーシリーズ以上のハイクラスシリーズのボディサイド材は、クラフトマンの手で時間と手間を掛けて曲げられる!
■それ以下のスタンダードクラスはプレス器具にて曲げられ生産効率を高めている!
■Breedloveのギターのトップはより豊かな生鳴りを実現するため僅かにアーチが付けられている!
■Breedloveの塗装はポリウレタンを使用し、クラフトマンの手で丁寧に仕上げられている!
■ボディとネックを別々で仕上げ、ボルトオンジョイントで組み込まれている!
■グロスフィニッシュには布目の粗さが違う4台のバフマシンで仕上げられる!

そして、ボディ、ネックの塗装作業が完了すると、いよいよ組み込みです。Breedloveでは塗装前と後の2回仮組み込みを行うそうです。そうすることで僅かな誤差を修正しながら精度を高めているそうです。ボルトオンジョイントを採用しているため、マッチング精度も求められますが、ボディとネックを別で仕上げられる為、効率よく製作することも可能なわけですね。壁には、ネックを接合しブリッジを貼り付けクランプで固定したギターが掛けられておりました。

[ネックを接合しブリッジを貼り付けクランプで固定したギター]

[ネックを接合しブリッジを貼り付けクランプで固定したギター]

さて!ここまできていよいよ!Breedloveの最大の特長でもある「BBT~Breedlove Bridge Truss~システム」のインストールが行われます!「BBT」とはボディエンドからブリッジ下部までを特殊な器具で繋くシステムのことをいいます。これはBreedloveの独自のサウンドを決定付ける大きなポイントです。

[ブリッジに器具をネジ止めしているところ]

[ブリッジに器具をネジ止めしているところ]

[スクリューをねじ込んで固定します]

[スクリューをねじ込んで固定します]

[ブリッジのネジ穴を埋めるためのエボニー材]

[ブリッジのネジ穴を埋めるためのエボニー材]

[BBTシステムとピックアップのインストール作業を実演していただきました]

[BBTシステムとピックアップのインストール作業を実演していただきました]

その機能をご説明しましょう。アコギは弦が張られることで、ボディトップに大きなストレスが掛かります。テンションというやつですね。012-053のライトゲージ弦では約60~70kg前後のテンションがトップ材には掛かっております。大人の男性一人分の負荷が掛かっていると考えると相当なストレスですよね。このストレスは時にトップ材の変形やブリッジ剥がれなどのトラブルを引き起こします。それを防ぐための補強としてブレーシングがあるわけですが、補強だけではなくサウンドメイクにも重要な役割を果たしているため、何パターンかのブレーシング形状が採用されているわけなのですが、この補強にも限度があります。トップが変形してしまうぎりぎりまで材を薄くし、少しでも鳴りを良くしようとすることがあるのですが、従来の方法では中々難しい課題でした。そこで考案されたのがこのシステムです。この器具でトップ材をサポートすることでトップ材に掛かるストレスが緩和され、より複雑なトップ材加工やブレーシング材を薄く仕上げることに成功したのです。また、補強材としての役割だけでなく、弦振動をロスなくボディに伝える役割も果たしているため、効率よくボディを鳴らすことにも繋がったんですね。これこそがエアー感がありダイナミックレンジ豊かなBreedloveサウンドの最大のポイントなのです!

このセクションで組み込みを担当しているベテランクラフトマンのゲーリー氏によるデモンストレーションを見せていただくことができましたので、動画でお楽しみください。

そしてもう一つ忘れてならないのが、Breedloveを象徴する大事な要素。インレイワークです。元々はインレイ職人でもあるキム・ブリードラブが中心となり製作されておりましたが、今では規模も大きくなり、また、技術が発達したことでキム氏以外にもその技術を受け継ぐ職人が作業を行っております。その作業風景も見学させて頂きました。CADでデザインされたインレイのデータをルーターに送り、削り出しの作業をするブースです。

[写真左の人物がインレイ作業を行っているオーウェン氏]

[写真左の人物がインレイ作業を行っているオーウェン氏]

[サンプルデザインが入力されております]

[サンプルデザインが入力されております]

[このデータをルーターに送り削ります]

[このデータをルーターに送り削ります]

[これがインレイを削るルーターです]

[これがインレイを削るルーターです]

[インレイのサンプルです。芸術的なデザインですね!]

[インレイのサンプルです。芸術的なデザインですね!]

[きれいなインレイデザインですね!]

[きれいなインレイデザインですね!]

[豊富な素材!]

[豊富な素材!]

[インレイ作業のデモの様子]

[インレイ作業のデモの様子]

こうしていくつもの工程を経て完成したギターは最終の検品セクションを通過して初めてケースに収められ、各地に出荷されていきます。ここまでくる間に何度もチェックを行っているのですが、こうした徹底した管理システムこそが、お客様の手元に安定した品質の楽器をお届けできる理由の一つですね。確かにBreedloveのギターは、お店に入荷してからの検品の際、コンディションの個体差が少ないように感じます。もちろん、日本において輸入代理店での検品作業を通過しての入荷ではあるのですが、その代理店のリペアマンも認めるほどの安定した品質です。また、完成から3ヶ月以上経過した在庫品が出荷されることになった場合、もう一度同じ検品作業を行い、コンディションに狂いが無ければ晴れて出荷となるとのことでした。Breedloveの品質管理システムに脱帽です。

[完成品がならべられておりました。この後ケースへと収められます]

[完成品がならべられておりました。この後ケースへと収められます]

[出荷前の楽器達]

[出荷前の楽器達]

[ケースに収められ出荷を待つギター達]

[ケースに収められ出荷を待つギター達]

[最終の検品セクションです。厳しいチェックをクリアしたものが出荷されていきます]

[最終の検品セクションです。厳しいチェックをクリアしたものが出荷されていきます]

【ここがポイント!】
■最終的な組み込みに至るまで塗装前と塗装後の2回、仮組みおよび細部の修正が行われる!
■Breedloveの最大の特長である「BBTシステム」はボディとネックの組み込み、ブリッジの接着が完了したのちに手作業で行われる!
■種類が豊富で美しいインレイデザインはマシンとクラフトマンの技術がうまく融合することで生み出され、キム・ブリードラブの技術がしっかり継承されている!
■完成した後も徹底した検品作業を行うことで、安定した確かな品質を保ち続けている!

ここまでが、ギターが完成するまでの工程となります。うまくお伝えできていない部分もあるかもしれませんが、Breedloveの品質管理の徹底ぶりが伝われば幸いです!

いかがでしたでしょうか?現在では月に約250本前後の生産数があるとのことですが、ブランドのオリジナリティを大切にし、むやみな量産体制をとらず、機械と人との良い所をうまく融合することで二つと無い個性を確立しているBreedlove。「良い楽器を作るためにこだわった製作工程はこの工場全体がカスタムショップといっても過言ではないクオリティを持っている」とトム社長が言っていました。私も同感です。いちBreedloveユーザーとしても今回のツアーはとても実りあるものとなりました。同時にますますBreedloveファンになったことは言うまでもありません。これをキッカケに一人でも多くの皆さんとBreedloveの魅力を共感し、また実際にお手にとって楽器のポテンシャルを体感して頂けると幸いです。

最後に、温かく迎えてくださったトム社長をはじめとするTwo Old Hippiesの皆さん、丁寧なご対応でツアーをエスコートしてくださったデヴィン氏とコリン氏、そして関係者の皆さん本当にありがとうございました。

[ツアーをエスコートしてくださったデヴィン氏(左)、コリン氏(右)と記念撮影。記念に頂いたシャツのサイズが合っていないのはご愛嬌]

ハートマンギターズ/小林

お問い合わせ

ハートマンギターズ

店舗詳細ページ>>