ファクトリーツアー

カナダを代表するルシアー、ジョージ・ファーラネット氏と四名のスタッフにより、完全ハンドメイドで製作されるF-bassの楽器は、マイク・ポーカロ(TOTO)やアラン・カーロン(UZEB)、マーカス・ミラー等の使用により、まだ数年前までは「知る人ぞ知る」ハイエンド・ベースとして、一部のプレイヤーのみが知る存在でしたが、最近では、トム・ハミルトン(エアロスミス)やキング(シャカラビッツ)等、ロック・ベーシストの使用もあり、ジャンルを超えて様々なプレイヤーに支持されるブランドとなりました。

良質な素材のみを使用し、人の手によって組み上げられるF-bassの楽
器が完成してゆく様子を皆様にもご紹介させて頂きます。


   
■工房潜入  
`04/10/19
 東京から飛行機で(乗り継ぎも含め)約15時間の長旅の末、カナダはオンタリオ州ハミルトン市にあるF-bass工房に到着。はやる気持ちを抑えつつ、遂に工房内に潜入!
   

工房内に入ってすぐの所が受け付け、兼事務所で、その壁の掲示板にはF-bass使用アーティスト等のポスターや雑誌のレビューなどがギッシリと貼られており、その中に、私も初めて見る、恐らく初期の頃に作られたであろう、ナチュラルカラーのAC6の写真を発見!

 
■作業場
 その奥には作業場があり、ここでF-bassのボディー、ネックの成形、塗装まで、セットアップ以外のほとんどの作業が行われています。大手楽器メーカーのような、コンピューター制御の近代的な設備はなく、まるで町工場のような、どこか暖かみのある風景が広がっていました。



右の写真のこの人物こそがF-bassの創始者、
ジョージ・ファーラネット氏です。
   
 木の持つ自然の美しさを活かしたF-bassの楽器は、コントロール・ノブやP.Uカバーもまた、このように木を削り出して作られています。
   

 ネック、ボディーなどに使用するため、ある程度のサイズに切り出されたメイプル、アッシュ、エボニー等の木材が自然乾燥されています。
写真上(右)のジョージが手にしている材は、最近、ベースの指板に使えるサイズのものが数枚だけ入手できたという、レアな柾目のハカランダ材(ブラジリアン・ローズウッド)です!

 私ももちろん、ただ工房を見に来たわけではありません!、、というわけで今回、当店より3本限定で“Brazillian LTD”モデルをオーダーすることに決定!このモデルの詳細はこのページの下のほうでお伝えします。

   
■ボディー、ネックの加工
 ボディー、ネックの成形に必要な、様々な工具や機械が所狭しと置かれた工房内では、職人達がそれぞれの作業を行っていました。
   
 上写真(左)`03年に入社したばかりという新鋭のダンがボディーのカービングをしている様子。後ろのテーブルに積み上げられたボディーは、この状態で表面を1セ ンチほどスライスされ、ボディー裏側のコントロール・パネルも作られます。

 上写真(右)は、F-bassのカタログにも登場しているシニア・ウッドワーカーのポールが、フレットレス・モデルの指板にラインを入れているところ。F-bassにおける彼の貢献度は大きく、楽器を製作する上で最も重要なポイントでもある、ネックグリップや指板面の処理などはジョージ以外では彼が手掛けています。
 
■塗装
 ここ数年で、仕上げが以前よりも格段に良くなったと評判のF-bassですが、見ていて思わず手にしたくなる、この美しい塗装もまた、楽器を選ぶ上で非常に重要な要素の一つといえるでしょう。鮮やかで深みのあるシースルー・カラーは、色によっては、塗装/サンディング(ヤスリがけ)の作業を8~9回程度繰り返すこともあるそうです。
 ナチュラル・フィニッシュのボディーをサンディングしているのは、塗装担当のサイモン。
上写真(右)はクリアを吹く前のナチュラル・カラー用のボディー。アッシュ材は導管が太く、塗装の際にデコボコになってしまうため、ラッカーを吹く前に目止めをして表面を平らにしますが、ここではわざと、グリーン・フィラーと呼ばれる黒っぽい緑色(カラーによっては白)の目止め剤を擦り込むことで、セルース等の独特なフィニッシュが生まれます。
   
 「塗装ブース内も是非撮影したい!」とジョージにお願いしたところ、快くOK!幸運にも塗装中の生々しい写真も撮ることができました。写真(右)は、これまでに色んなカラーが吹き付けられてきたブース内の壁。気持ち悪い、、(失礼)
   
 F-bassでバイト中(?)の岡崎。ラッキーなことに、こんなことまでやらせてもらえました!もちろんこの後、サイモンの仕事を一つ増やしてしまったのは言うまでもありませんが、、。協力してくれたジョージとサイモンには本当に感謝しています。
上写真(右)は、塗装後のボディー。この中にはアラン・カーロン本人の所有機のボディーもありました。
   
■セットアップ
 塗装後のネック、ボディーは、工房2Fにあるこの部屋で、ピックアップやプリアンプ、ブリッジ等、全てのアッセンブリーが組込まれ、最終チェックの後、出荷されます。
 上写真(右)のナットを製作しているのは、F-bass工房の紅一点、サラ。
ジョージ以外では、彼女がナット製作やアッセンブリーなど全てのセットアップを担当しています。ケースから取り出し、弦をはじいた瞬間に伝わってくるF-bassの抜群のプレイフィールは、彼女の抜群のセッティングによるものです。

 こうして完成したベース達は、ジョージの厳しいチェックを経て、アメリカや日本など世界各国へ送り出されます。写真(右)のベースは、リチャード・ボナの為に製作されたピッコロ仕様のBN4だそうです。ちなみに右端に写っているのは、現在売り出し中の12弦ミニギター「HammerTone12st」。

■最後に、、

 いかがでしたでしょうか。
F-bassの楽器はこのように人の手によって丁寧に組み上げられ、海を渡り、皆様の手に渡るのです。今回、F-bassの製作工程を直に見ることで、「ハンドメイド」という言葉の本当の意味を再確認することができました。
ファクトリーツアーに最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございます。

また、ご協力頂いたジョージ・ファーラネット氏や工房の皆様に、心より感謝いたします。

   
■イケベ30thアニバーサリー
“Brazillian LTD”が出来るまで
 皆様、F-bassファクトリーツアーはお楽しみ頂けましたでしょうか。
このレポートを機に、この楽器に一人でも多くの方が興味を持って頂ければ幸いです。

 また今回、F-BASS工房を直接訪れることにより、普段では決して見る事のできない、 貴重な製作現場を写真に収めてくることができただけでも充分な収穫でしたが、もちろんただそれだけで帰ってきたわけではありません!
工房で運良く入手することができた、貴重な柾目のブラジリアン・ローズウッド材を使用して、なんとイケベ30周年を記念するスペシャルモデル、F-bass版“Brazillian LTD”をオーダーして参りました!!

 今回のオーダーは、私個人も以前よりずっと探し続けていた「フェンダーのフィーリングを持った多弦ベース」というコンセプトを基に、シンプルな5弦モデルと、ゴージャスな5弦、6弦のデラックスモデルをそれぞれ1本ずつ、計3本のみの限定オーダーとなりました。

 最近のF-bassのラインナップは非常にシンプルで、アラン・カーロンのシグニチャーモデルを除いては、フレッテッドのBN5、6とフレットレス専用モデルBNF5、6のみ、基本となる木材も、ボディーはアッシュ材、メイプル・ネックにメイプルまたはエボニーの指板のみという潔さ。もちろん25年に渡るジョージ・ファーラネット氏の経験から厳選されたF-bassの楽器にとってベストな組み合わせなのでしょう。

 では楽器の指板材で最も使用されているローズウッドは、なぜここでは使用されないのでしょう?
実はローズウッドも以前に使用されていたことがあったのですが、5弦以上の多弦ベースのローB弦の音像をクリアに再生するためには、ローズでは柔らかく、少し埋もれがちになってしまうため、現在ではメイプルかエボニーのみを使用しているのだそうです。

 ただ、同じローズでもブラジリアン・ローズの場合は、ローズウッド特有のサウンドを持ちつつも、ローBの音像を再生するのに充分な硬さを持っているため、多弦ベースでも安心して使用できるわけです!(インディアンローズがダメなわけではありませんが、、)とはいえ、大変希少で入手困難な木材ゆえ、いつでも確保できるわけではありません。今回、ベース3本分もの大きな柾目材をゲットできたのは本当にラッキーだったと思います。

これが今回のオーダー品に使われる
柾目のハカランダ材です。

 まず、3本のみという限られた本数でどんなモデルを作ろうかと考えたところ、まずはフェンダーライクな、ストレートなサウンドの5弦を1本作ってみようと思い、BN5を1ピース・ネックで作りたいとジョージに相談してみたところ、大変興味深く、かつ意外な答えが帰ってきました。

 「多弦モデルの場合、1ピース・ネック/2ピース・ボディーではなく、3ピース・ネック/1ピース・ボディーにしたほうがローBはよりタイトに、そしてサウンドはよりオープンなものになる」というのです。これまたラッキーなことに、ちょうどストックで置いてあったベースの中にまさにこの仕様のものがあり、早速弾かせてもらったのですが、弾いた瞬間に一発OK!他の2本もこの仕様で作ることになりました。

 さらに今回、普段ではオーダーすることのできないスペシャルなものをということで、BNよりも一回り大きなボディーで、(ジョージいわく)「Pベースのようなビッグなサウンド」の、“Studio”という、現在は生産されていないモデルで特別に作ってくれることになりました!さらに、70年代のJBのようにリアP.Uの位置を少しブリッジ寄りにすることで、タイトかつ図太い5弦JBサウンドを狙ってみました!

 次に、もう一本の5弦はエキゾチック・ウッドTOPのBN5にしようと決めていた為、早速ストックの中から物色させて頂きました。エキゾチック・ウッドのストック棚には、スポルテッド・メイプルやバックアイなど様々な材がありましたが、その中で「アンブロジア」という珍しい材を発見!さんざん悩んだあげく、BN5はこの材に決定しました。


スポルテッド・メイプル

バックアイ・バール
   
今回オーダーしたBN5に使われる
アンブロジア
   

 最後に最も悩んだのが6弦(BN6)のTOP材でした。シンプル系、エキゾチック系とくれば残りはデラックス・モデルか、、ということで、ここはあえてメイプルTOPで上品に仕上げることにしました。

 やはりここでも同じく、フレイムやキルトなど何枚もの材を見せて頂いたのですが、最後に奥から引っ張り出してきて頂いた角材を見た瞬間、これに決定!嫌みのない上品なフレイム・メイプルでした。さらに嬉しいことに、ジョージ自らがその場で角材をスライスして見せてくれました。このモデルは、ヘッドTOPにも同じ材を貼り合わせ、フィニッシュは写真(右下)のAuburn(赤褐色)と呼ばれる、美しいサンバーストでお願いしました。


フレイムのブロック

TOP材をスライス
   

TOP材のカンナ掛け

BN6テンプレート
   

ヘッドのテンプレート

Auburnフィニッシュ
 

イケベ30thアニバーサリー・オーダーモデル “Brazillian LTD”

Studio-Custom 5 (Charchol Burst) ¥SOLD!


BN5 / Annbrojia-TOP (Natural) ¥SOLD!


BN6 / Flame Maple-TOP (Auburn) ¥SOLD!

 



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