それでは、最後までお付き合い下さい!
 


既に「DEVISER FACTORY REPORT」バナーでもご紹介致しましたこの風景。この有限会社 飛鳥 / DEVISERファクトリー内で、「DEVISER SPECIAL DIVISION」の統括のもと、最高品質のハンドメイド・プロダクトとしてSTR GUITARSの楽器は製作されています。
このファクトリーではSTR以外にも、「Bacchus Hand Made Guitars」、「DEVISER Special Specification」、「MOMOSE」と各ブランドの製品が生産されています。
「STR GUITARS」製品の製作時に用いる仕様書のマテリアルの欄には、全て「最上級グレード」が指定されており、八塚氏を始めとする少数精鋭の職人の手によって一本一本、丁寧に完全ハンドメイドで製作されています。
STR用に厳選された上質な木材は、全て充分な天然乾燥によりシーズニングされた後に、初めて楽器に使用されます。

ちなみに天然乾燥の場合、材を仕入れてから使用できるコンディションになるまでに早いものでも数ヶ月~一年、長いもので数年間寝かせておく材もあるそうで、ある程度の含水率に調整され、木の収縮や反りといった「狂い」を完全に出した状態で初めて加工、という段階を経るため、楽器完成後のネック/ボディの痩せやネジレといった狂いを最小限に抑える事が出来ますが、材を仕入れてから加工に至るまでに多くの時間を要します。
.....が、ディバイザー工場では最近新たな設備を投入!何と、まるでタイムマシーンのような夢の乾燥機の登場です!
その仕組みは、このコンテナのような密閉されたマシーン内部に大型のファンが取り付けられており、内部の湿度を完全コンピュータ(プログラム)制御することで、実際の年月が過ぎたのと同じような複雑なサイクルを作り出し、極めて天然乾燥に近い状態で実際の一年分をわずか数週間~一ヶ月程度に短縮することが出来る装置なのだそうです。しかも、いわゆる強制乾燥とは違い、含水率、シーズニング期間の異なる木材の種類ごとにプログラムされている為、あらゆる材においても常に最適なコンディションにすることが可能とのこと。凄いですねえ。。
とはいえ、やはり木も生き物ですから、基本的にはこのように人の手によって選別、管理がなされています。
こうして充分なシーズニング期間を経た材は、加工され、さらに狂いがなくなるまで寝かされます。

このようにネックひとつとっても、形になるまでには実に多くの時間と労力が注がれているのです。ハンドメイドの良質な楽器ならではの完成度は、料理と同じく素材や製作技術のクオリティだけでなく、こうした目に見えない地道な下準備があってこそといえます。
~ ネック製作 ~
この方こそが、STR GUITARSの塗装、研磨以外のほぼ全ての工程を手がけるマスタービルダー兼、株式会社飛鳥の代表を務める若き実力者、八塚悟氏です。

八塚氏が手にしているのは、柾目のメイプル材を3ピースにラミネートしたネックの原型となるもので、この状態でさらにシーズニングされ、材の反り等の「狂い」を完全に出しきった後に初めて成形されます。
STRのヘッド/ネック・シェイプにカットされた先ほどの材。
まだ分厚く角ばっています。
次に、水平の出ているヘッドTOPに、ボディTOPと同じ材の突板(つきいた)をラミネートします。
STRの楽器はこのように予めボディとネックが「対」で仕込まれており、いわゆる生産性のみを重視したボルトオン構造の楽器とは違い、セットネックやスルーネック構造の楽器同様に、ボルトオンながら高い組み込み精度と豊かな鳴りを実現しています。

ちなみに、右下の写真がヘッドTOP用の突板で、このパールの「STR」ロゴは、なんとレーザーで加工されているのだそうです。
なんと、これがその夢のマシン第二弾、その名も「LASERMATIC」!前述の「STR」ロゴの加工を始め、`06ショー・モデルの美しい鯉のインレイ等といった緻密なデザインも、このマシンにデータを入力することで、寸分の狂いなくカットすることが出来るのです。
くり抜いた薄く細かなピースをはめこむ作業や正確なデータ入力といった気の遠くなるような地道な作業は、やはり結局のところ、人の手によって行われるのです。
表があれば裏もある。
というわけで、お次は八塚氏のこだわりでもあるヘッド裏のボリュートの加工です。

まず、このようにおおまかに成形された木材を圧着します。
次にクランプでしっかりと固定し、ヘッドの厚みに対して自然なカーブが付くよう、余計な部分を削り取ります。
ヘッド裏も綺麗に面が出たところで、ヘッドTOP同様に今度は薄いエボニー(黒檀)の突き板を貼り合わせるのですが、先ほどの完全な平面とは違い、非常に硬くて薄いエボニーの板を曲面に合わせて完全に密着させなければなりません。
一口に言うとそれほど難しくないように聞こえますが、実は結構な手間と高い技術が必要になります。
下の写真は、ラミネートされた後のヘッドストック。この後、さらにサンディングされ、美しい曲線に仕上げられます。
次に、トラスロッドが仕込まれ、指板が接着されます。
手作りの器具にネックを固定し、ベルトサンダーでアールの付いた指板を削り、均一な面を出します。
ちなみに、ネックを固定している台は奥から手前に(ネックに対して横の動き)、左手で動かし調整しながら削ります。
思い通りの物を作るには、作るための道具から作る。物作りの基本は技術の進歩した現在も変わりません。
こうして仕上がった指板に一本一本フレットが打たれた後、さらにネックのサンディング(研磨)へ。
ベルトサンダーを使用しながらも絶妙なネックシェイプに仕上げることが出来るサンディングのプロフェッショナル、牧野氏。
もちろん手作業での仕上げも併せて行われますが、絶妙なネック・グリップはこの時点ですでに完成形と言えるものです。
こうしてSTRの鳴り/サウンドを決める、こだわりのネックがようやく完成です!
~ ボディ / 塗装 ~
ネックが完成したらお次はSTRの「顔」ともいえるボディの製作に移ります。

STRでは、海外モノから日本の材まで、世界中の良質なエキゾチックウッドを仕入れ、こちらもネック同様、充分にシーズニングされた後に加工されます。
ボディ材としては、アルダー、アッシュ、マホガニー、ウォルナットをメインに用意、その上にそれぞれに合ったエキゾチックウッドがラミネートされます。

ボディTOPに使用されるエキゾチックウッドは、現在、メイプル各種、クラロ・ウォルナット、コア、ブビンガ、エボニー、バール・ポプラといった、比較的良く見かける材を始め、ウェンジ、シャムガキ、クロガキ、パープルハートetc…といった、一般には馴染みのうすい、珍しい材も使用されています。
ラミネートされたこれらのボディ材は、この後、P.U.キャビティ等のルーティング後に、こちらの塗装セクションに回されます。

広々としたこの部屋は、オイル/生地着塗装、ラッカー塗装/乾燥、材の目止め(下塗り)など、それぞれのブースに別れており、塗装もまた、それぞれのエキスパートが手掛けています。

それでは、実際にボディの塗装工程を見てみましょう。
この無塗装のボディは、これから「生地着塗装」が施されます。
PRS等のメーカーでも採用されているこの方法は、シーラーで木の導管や凹凸を潰す前に塗料を直接木にすり込むことで、ブラウンや濃いシースルー・レッドといったダークな色合いでも木目の明暗を最大限に引き出すことが出来るため、カラーものでもエキゾチックTOPに負けない強力なルックスに仕上げることが出来るのです。下の写真は塗料を配合しているところです。
こうして手作業で丁寧にすり込んでいきます。
生地着が終わった後、下塗りが行われます。
この下塗り(スプレー)をしている職人さんが、生地着塗装とオイル・フィニッシュを専門に手がける梶田氏です。
目止めが施され(木の導管や凹凸を埋める作業)、木の表面を完全にフラットな状態にした後、最終的にトップコートが吹かれ、塗装が完了となります。
左写真は、ラッカー塗装ブースで着色後のボディにトップコート(上塗り)を施しているところです。

塗装をしているのはラッカー塗装専門のベテラン職人、窪田氏。彼の手によって、STRならではの独特の柔らかな質感に仕上がったボディ、ネックは、湿度管理の充分に行き届いた乾燥室で組み込みの時を待ちます。
~ 組み込み / セットアップ ~
それぞれ対で作られたネック、ボディは、塗装の乾燥後、写真のようにネック・ジョイント部の内側の全ての面が完璧にフィットするよう、ネック・ポケットを少しずつ削り、調整されます。
こうして完全に面同士が接合したネックとボディは、隙間に接着剤を介さなくてはならないセットネックのジョイント以上の高い密着度となり、一度はめ込むと、ボルトの留まっていない状態で手を放してもなんとボディが落ちません!

ここまでくると、本来は量産の為のボルトオン構造も、楽器の一つのスタイルとして完全に確立したと言えますね。
この組み込み精度の高さにより、ボルトオン特有のレスポンスの良さとセットネックばりのサスティーンの両立を実現しています。
こうして完成したボディ&ネックに、アッセンブリー、ナット等の主要パーツを一通り組み込み、スケールを合わせてブリッジをマウントし、ナットの溝切り、弦高調整等を経て、最終セットアップが完了。パーツの組み込み/セットアップを担当しているのは野辺氏。
こうしてSTRの楽器が遂に完成!!
その後、八塚氏のチェックをパスしたものだけが梱包され、当店を始めとする全国のSTR特約店に出荷されます。
一本の楽器が出来上がるまでには、妥協なき職人達の手によって、このように実に多くの時間と手間を掛けて一本一本丁寧に製作されているのです。

.が、やはりその評価は出来上がった楽器次第。

基本的には余計なクセを持たせず、プレイヤーの指の「トーン」と個性豊かな木材のキャラクターを活かしたナチュラルなサウンドですので、十人十色の評価があることでしょう。
ただ、楽器としてのクオリティの高さ、完成度においては、その誰もが認めざるを得ないレベルの楽器だということは間違いありません。
その真価はショップにて是非お確かめ下さい!
 


さて、お送りしてまいりましたSTRファクトリーツアー、いかがでしたでしょうか。
これを機に、STRの楽器に少しでも興味を持って頂ければ幸いです。長らくお付き合い頂きありがとうございました。
完成品はイケベ・ショッピング・ページのほうで是非ご確認下さい。
また、カスタムオーダーでの特注製作が可能なSTRでは、カスタムスペックでのオーダーも随時受け付け中です。
オーダーの御相談、お見積もり/受注は、特約店のベースコレクション/担当:岡崎までお問い合わせ下さい。


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