ヤマハさん、確信犯です・・・! ~reface最速レビュー!~


先日より、様々な憶測を呼ぶティーザー広告で、世界中の電子楽器愛好家をザワつかせていたヤマハの新商品「reface(リフェイス)」。本日、遂にその全貌が明らかになりました!

「reface(リフェイス)」は、一つの製品ではなく、4種類の小型電子鍵盤楽器のシリーズ名。様々なスタイル、様々な音源方式のハードウェアシンセが全盛期を誇った百花繚乱の80年代~90年代を体験したキーボーディストに、もう一度この時代のシンセ&キーボードに向き合って(reface)欲しいという願いが込められた楽器たち。

ヤマハが音楽史に誇る偉大な資産である4カテゴリーの鍵盤楽器が、現代に通用するスペックと機能を携えて今、蘇ります。

実は先日、発表前のreface実機をチェックする機会を頂きました。
都内某所にて話題の新製品refaceをいち早く、ディープにチェックしたレビュー、是非ご覧下さい!


まずは、シリーズ共通の特徴から。








■妥協の無い本格的な音質
小さいのはサイズだけ。音源・音質面に関してはベテラン・キーボーディストも納得のガチ音源。出力端子もミニジャックではなく1/4"フォーンジャック×2、DAコンバーターもフルサイズのシンセサイザーと同等の質の高いものを搭載しています。是非内蔵スピーカーではなく、ちゃんとしたモニタースピーカーで聴いて頂きたい音の良さですね。


■新開発のコンパクト鍵盤『HQ Mini』
refaceのために完全新設計されたコンパクト鍵盤『HQ(High Quality) Mini』。いわゆる「ミニ鍵盤」サイズとはいえ、そこは創業128年を迎える楽器メーカー。『HQ Mini』は、「ちゃんと演奏できる」楽器としての要件を満たした自信作。白鍵/黒鍵共に支点は奥の方に設定されており、付け根付近でも充分なストロークを確保。これ、重要です。そしてベロシティセンサーの検出精度も高く、思い通りに強弱が付けられるのは気持ち良いですね!

コンパクトな鍵盤といえば、先に発売されている「アレ」との違いも気になりますよね。何と、イケベスタッフの私物、新ARP ODYSSEYが偶然その場にあったので(笑)、鍵盤サイズを比較してみました。新ODYSSEYよりもちょっとだけ小さいです!

開発者によれば、目指したのは「KX5」のような鍵盤なのだとか。名作ショルダー・キーボードKX5は奥行きの短い特殊サイズ鍵盤ながら、考え抜かれたストロークや支点の位置等による弾き易さで、未だ評価の高い製品です。「小さくても。演奏性は犠牲にしない」・・・これぞ「弾き心地」にこだわるヤマハの楽器。納得です!

■気軽に手に取れるサイズ感
3オクターブのコンパクト鍵盤から導き出された、幅530mm×奥行き175mmという絶妙なサイズ感。意外にずっしり感じる約1.9kgという重量は、楽器としての高級感だけでなく演奏時の安定感にも貢献します。電源はACアダプターの他、単3電池×6本での駆動にも対応します!スピーカーも内臓されており、ベッドサイドでもPCの前でも手軽に演奏を楽めそうなパッケージですね。

■USB MIDI
もちろん、CUBASE等のDAWとの連携はUSBケーブル1本でOK。USB MIDIにより演奏データはもちろん、各パラメーターの情報が双方向でやり取り可能(※オーディオデータの送受信はできません)、一部モデルはタブレットやPC用のエディターも用意されています。
今では使用頻度がすっかり減ってしまったMIDI端子は、小さなMINI DIN端子に集約されており、付属のブレイクアウトケーブルにてMIDIケーブルが接続できます。これにより、スタジオやライブハウス備え付けの鍵盤を繋いで、refaceを音源として使うことももちろん可能です。


■この小ささならば・・・
まだ3Dプリンタで出力しただけの試作品ですが、ストラップピンが付いたこんなオプションも用意されているみたいです。キーボーディストにも機動力を!




では、いよいよ個々のrefaceをチェック!
まずは9月に発売予定のシンセ2機種から。



これはもう、誰がどう見てもDX!濃い茶色の筐体、独特の色遣いのボタン類、そしてミニ鍵盤。今ではある意味DX7よりも人気の高い名作DX100の再来?とも思えるreface DXは、オリジナルを知る人にとっては感涙の進化を遂げておりました。 まず、何と言っても

データ・エントリーが4つもある!!!!

(ここ、笑うトコです)FMシンセの音作りといえば、ボタンでパラメーターを呼び出して、パネル上に印刷されたアルゴリズム一覧を見ながら小さな液晶ディスプレイでコツコツバリューを設定していく、ある種苦行にも似た地味な作業。徐々に完成形が見えてくる過程はもちろん、突然フィードバックが暴れだして手に負えなくなる予測不能な感じこそ、FM音源の音作りの醍醐味かもしれません。

reface DXは、そんなFMシンセならではのロジカルな音作りのインターフェイスを継承しながらも、これまでは一つのスライダー(とINC/DECボタン)で行っていた数値入力作業を、タッチパネル式の4系統のデータ・エントリーにリプレイス。タップしたりフリックしたり、まるでスマホのような操作感で、複数のパラメーターを同時にコントロール可能になりました。
これ、予想以上に凄いです!アルゴリズムを選んだら、4基のオペレーターの周波数、レベル、フィードバックを個別にコントロールできる操作感は感涙モノ。効率良い音作りには勿論、狂気じみたライブパフォーマンスでも本領を発揮します。


エフェクト内蔵!!!
(ここも笑うトコです?)鍵盤付きDXシリーズとしては、遂に、待望の、念願のエフェクターが内蔵されました。あのキラキラしたエレピが、ベルが、外部のエフェクターが無くてもフワッとコーラスで広げたり、リバーブで奥行きが生まれたり・・・。たまらんですね。DXも遂にここまで来たか・・・(遠い目)

LOOPER搭載!
新しい機能としては、演奏情報をどんどん重ねていけるLOOPER機能。オーディオベースのルーパーとは違い、パラメーターの変化が即、音に反映されます。DAW等とMIDIクロック同期させれば、面白いパフォーマンスが行えそうです。

音源自体は4オペレーターのFM音源。4オペですが、昔の4オペとは違います!全オペレーターに波形をノコギリ波、矩形波へとフェードできるフィードバックを搭載。6オペを超える幅広い音作りが可能・・・言うならば『「6オペ必要ない」進化したFM音源』です!!

あと、ピッチベンドは縦方向のレバーなのですが、設定次第で方向を反転させることが可能です。手前に引いてピッチUPの設定で、懐かしのオーバーハイム的な操作感が楽しめますね(ごく一部の方へ強烈アピール)!






真っ白なボディにズラリと並ぶスライダー。色こそ違いますが、モチーフは勿論チック・コリアのライブパフォーマンス等でベテランキーボーディストにはお馴染み「CS-01」ですね。
reface CSは、そんなヤマハのアナログシンセCSシリーズへのオマージュを散りばめた、アナログ・モデリングシンセです。

■ディスプレイ要らず!
DXとは対照的、CSにはディスプレイが一切無く、全てスライダー&スライドスイッチのみという思い切ったインターフェイスとなっています。ライブ中など、「押した?押せてない?」と焦ることも多いボタンすら存在しません。これはもう使い込んでマスターして、パネルを見ただけで出音がイメージできるレベルに到達したくなりますね!


■シンプル、多機能、必要充分
ポリとモノの切り替え→ポルタメント、波形切り替えに留まらないオシレータータイプ選択、それにより役割が変わる2つのスライダー。ADSRフル装備のエンベロープがフィルター/音量に与えるバランスをコントロールするFEG/AEGスライダーなど、少ないパラメーターで複雑な音作りを実現するインターフェイスは秀逸です。オシレーターシンクのコントロールがLFOだけでなく、エンベロープやピッチベンドで行えたら更に良かったかな、と思いますが、定番なのから凶悪なのまで、このパネルでこれだけの音作りの触れ幅があるのは凄いです。
出音の密度感も高く、ベクトルこと違いますが往年の名作AN1xにも通じる良い音です。ルーパーやエフェクターの操作感も直感的。派手に発振するディレイの壊れっぷりはヤマハという優等生的ブランドのイメージを覆すには充分でしょう。 ライバルの多いカテゴリですが、この出音、この操作性でこのプライスは非常に魅力的です!


続いて、オルガン&エレピ!





YCですよワイシー!あの真っ赤でツルツルな名作コンボオルガンが小さくなって突如復活です。しかも自社のレジェンド復活に留まらず、アレもコレも内包した、正にコンボオルガン見本市!な一台です!

■コンボオルガン見本市!
オルガンといえば欠かせない、「H」があるのは基本ですね。ハートに火が点く「V」、トマトケチャップ皇帝がビェーっと響く「F」、70年代GSには欠かせない国産オルガン両巨頭「A」と「Y(YAMAHA YC)」を搭載!もちろん、波形を選ぶだけじゃなく、9本のスライダーとコーラス/ビブラート、パーカッションやエフェクトによる音作りもフル対応。ロータリースピーカーだってもちろん再現しています。


■泣かせるデザイン!
真っ赤なパネル、カラフルなロッカースイッチとスライダーキャップ。当時を知る方には懐かしく、そうでない方にとっても新鮮なデザイン。コレは所有欲をくすぐります!


とにかくシンプルで、定番コンボオルガンの音色を網羅したreface YC。ディストーションを深く掛けたり、パーカッションだけで弾いたり・・・オルガンならではのあんな音、こんな音。レガート時のパーカッションの発音など、シンセのプリセットではなかなか再現しづらいオルガンならではの振る舞いは、やっぱり専用機が一番ですね。
音を聴くだけであんな曲やこんな曲が浮かんでくる・・・オルガンが持つ魅力が詰まった魅惑の一台です!






最後はエレピ。このモデルは特に、refaceの鍵盤が持つダイナミクスコントロールのポテンシャルを存分に堪能できる一台です。こちらはステージピアノの定番機、最新ヤマハCPシリーズのSCM音源を搭載しています!

■アコピもFMエレピも入ってません。
あくまで「エレピ」ですから、普通のアコピの音は入っておりません。あえて、入っておりません。更に、ヤマハが誇る「DXエレピ」も入っておりません。そこはまぁ、reface DXがありますから。


■意外な音色、これがなかなかの・・・!
音源タイプは全6種類。エレピの代名詞「R」は柔らかな「MkI」と鋭いアタックの「MkII」を網羅。大工さんsなバラードやブリブリR&Rが弾きたくなる「W」ももちろん搭載。更に、黒鍵パラディドル上等なクラヴィネット。そして80年代なステージに欠かせない、オリジナルCP!アコピのようでちょっと違う、低音源のソリッドな響きは「言葉にならない」ですね・・・!

そして、まさかの音色「トイピアノ(!)」。最初は頭の中が「?」で一杯でしたが(笑)、これ、ヤバいです・・・。その理由は次の項で。

■充実のエフェクト
パネルの大部分を占めるのがエフェクト関連。エレピ/クラビ系に欠かせないモジュレーション系/空間系を網羅したエフェクトは、これもヤマハCPシリーズ譲りのクオリティの高さ。トレモロのタイプも、R系とW系とではちゃんと切り替えられますからご安心を。
更に、reface CPのディレイも攻めてます。エレピをエレピとして使うのであれば、こんな可変幅、フィードバック量要らないんですが・・・、これはもう、確信犯ですね(笑)。このディレイとリバーブが生むアンビエント感といったら!特にトイピアノ音色の持つ、アルミパイプの「キン!」というアタックをディレイで飛ばしてみた日にはもう・・・!「トイピアノ」なんてお子様向けな音色を装っていますが、これはそんなチャチなものじゃあ、断じてない・・・病的な高域が脳に直接響いてくるような・・・もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気がします・・・!
とにかく、CP直系の隙のないエレピとしてはもちろん、ちょっとツマミをひねると顔を現す裏の顔・・・。
もう一度言います。ヤマハさん、確信犯です。





かつてのキーボード少年にあの頃の情熱を呼び起こす。ヤマハというブランドが持つ、往年の4つの楽器へのリスペクト。流行りの懐古趣味、お手軽ガジェットを装ってはいますが、refaceにはそれだけでは説明できない何かがあります。歴史ある楽器メーカーだからこそ為しえた手堅い完成度と、開発者の音楽的センスと遊び心がせめぎあった奇跡のシリーズ「reface」。ご期待下さい!!!



お問い合わせ
池部楽器店 鍵盤堂
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kenbando@ikebe.co.jp




Author Kenbando, Ikebe Musical Instruments, May 2015