元来はトランペットやトロンボーン等の管楽器から発音形式のアイデアを経て、「一人で同時にいくつもの楽器を演奏すること」の出来る新しい楽器として作られました。
主に黄金期と呼ばれる18世紀~19世紀のヨーロッパで発展していったパイプオルガンですが、最も象徴的なのが、演奏者や音楽家の意見を取り入れ作られていたエピソードです。特にバロック音楽と密接に関わっている音楽家バッハの意見は、パイプオルガン製作者にとって重要であり、より演奏者が快適に演奏出来るようなシステムを、改善点をクリアしながら試行錯誤し、製作を続けていました。

パイプオルガンの設置方法は様々で、昔は壁と離されているタイプが主流でしたが、20世紀になると壁にはめ込む一体型のタイプに移行していきました。
そうなると、音の共鳴までも建物全体の素材に影響し、音の響きを最大限に生かすことのできる建築を考えて行くという壮大なプランになるのです。

演奏できる楽器という面と、建築の中に登場する芸術的作品としての面を兼ね備えたパイプオルガンが次々と作られて行きました。
膨大な費用がかかることもあり、やがて、時代の流れによってパイプオルガンの演奏者や設置場所が減少していきましたが、現代でもその多くはヨーロッパの教会や大聖堂などに見られます。

このコーナーではそのような歴史的背景を持つ伝統的なパイプオルガンを、より身近に楽しく演奏できる現代のデジタルクラシックオルガンについてご案内致します。
今回は各社のクラシックオルガンについて機能や音の比較をしていきたいと思います。

パイプオルガンの最大の魅力は、ピアノやチェンバロとも違う音楽性を持っており、実際に存在しない理想的な音を、パイプの長さや幅を変えて、合成できるところにあります。
その音のモデルとなるのは、主に実際の古楽器となります。各社のデジタルクラシックオルガンにも、いわゆる一般的なオルガン音色と加えて古楽器をモチーフとした音色が搭載されています。

その中でもおすすめの音色は、まず、C-230に搭載の「gemshorn」(ゲムスホルン)です。
15世紀あたりに牛科の動物類「シャモア」という動物等の角を使って作られた楽器で、ほのぼのとした素朴な優しい音がすることから、オカリナの仲間とも言われています。
実際のパイプオルガンにはその音の特徴から、弦とフルートの混合の音色として使われています。

次に、各社のクラシックオルガンに搭載されている「gamba」(ガンバ)です。
元々はヴィオラ・ダ・ガンバのことで、現代でも馴染みのあるヴァイオリンよりも古い楽器です。
実際のパイプオルガンには主に19世紀のシンフォニーオルガンから用いられ、オーケストラ系の壮大な音を出す時にはかかせない重要な音色として使われています。

Roland C-230

「C-230」以前の過去の機種は「持ち運び出来る軽さ」が重視された76鍵盤モデルC-190、61鍵盤モデルC-180などがありますが、今回のクラシックシリーズは本格的サウンドをご自宅でも楽しめるようなモデルへと変化を遂げました。

この「C-230」は先のデジタルチェンバロをメインとしたモデルC-30に一部搭載されていたパイプオルガンサウンドをメインにしたモデルです。
アコースティック楽器で問題となる調律はもちろん、デジタルのため不要です。本物のパイプオルガンと比較して、その大きさは10分の1くらいのサイズまでコンパクトになっています。
省スペースで、インテリアとしても馴染む上品で優雅なパネル、木目を用いたデザインはパイプオルガンのイメージとマッチしています。

音について
過去のモデルと比較すると音の再現性は非常に高くなっています。
特にこのサテライトスピーカーを使うとパイプオルガン特有の「高い所から舞い降りてくる」ような音の再現が可能です。
設置方法は本体のサテライトスピーカーケーブルから裏側に専用のサテライトスピーカー端子がありますが、おすすめは、スピーカースタンド等にセッティングする方法です。
こうすることによって、更に臨場感溢れる荘厳なオルガンの雰囲気を実感出来ます。

オルガンの音は、基音となる「プリンシパル」、基音より8度上の音「オクターヴ」、混合した音「ミクスチュア」の三つから構成されています。
オルガン音色タブレット(右写真)に記載されている用語と数字はパイプオルガンの音色のバリエーションとフィートになります。
タブレットを押すだけで一度に様々な楽器を組み合わせる事が出来ます。

古楽器では他にピアノの元となるフォルテピアノ(左写真)サウンドも搭載されています。
現代のピアノとはまた異なる、味わい深いサウンドをお楽しみ下さい。


♪フリードリヒクーラウ「Op.55,No.1」
ピッチ:440Hz リバーブ:12時の位置

歯切れの良さが非常に目立つ快活な曲ですが、フォルテピアノで演奏すると
印象は柔らかく優雅な響きになります。
その為、あまり強弱を演出しすぎることなく、滑らかに自然に弾くように心がけました。

Viscount Cantorum VI

バイカウントはヨーロッパでクラシックオルガンNo.1のシェアを誇るイタリアのブランドです。
その歴史は1959年にも遡り、パイプオルガンを製作する為の木材にも相当なこだわりを持っています。
バイカウントのショールームの様子はこちら

特典木製手鍵盤仕様のUNICO(ユニコ)シリーズ。
実際に弾いてみましたが、とても自然で滑らかなタッチが特徴的でした。
ナチュラルキーはチェスの駒などに使用される木材黒檀を使用、シャープキーは将棋の駒等にも使用される黄楊(つげ)です。
大型オルガンのストップも機種によって、配置場所、形状など様々です。
マニュアル1、2と別々のペダルに分かれています。
こちらは「CANTICUS」というモデルです。
スピーカーが天板に内蔵されていて、音も非常に柔らかでとても気に入りました。
残念ながら生産完了となってしまったので、ショールームにある1台は貴重な1台ですね。

現代では主に教会などに設置する大型のオルガン(右写真)を開発していますが、その中でもこのカントルムは非常にポータビリティ溢れる魅力的なモデルです。

ローランド「C-230」と比較して違う点は、まず鍵盤部分です。

  • ■Roland C-230
  • ■Viscount Cantorum VI
カントルムは分厚く、演奏の際に指が鍵盤から離れる時まで僅かに時間があり、弾き方もそれによって変わります。
マニュアル1と2というのは上鍵盤と下鍵盤合わせて2段の鍵盤ということを指しています。
その為、実際には61鍵盤ですが、split(音を分割すること)をしてあたかも2段の鍵盤を演奏しているような事が出来ます。
カントルムは他の機種と違い、ベースの音域を広くとっていることによって、より重厚感のある音の構成が可能です。
さらに初心者にも優しい仕様になっており、あらかじめオルガン音色の組み合わせが保存されているので、まずはこのセッティングで演奏をしてみるのも良いでしょう。


Roland C-200

先のモデル「C-230」の76鍵盤モデルです。
基本構造は「C-230」と同様で、鍵盤数を増やした事によって2段鍵盤のようにsplit(音を分割すること)が可能なところが最大の特徴です。
更に76鍵盤で横幅にゆとりができたことによって、足鍵盤を使用することも可能なので、本格的なオルガンを楽しむ事が出来ます。
マニュアル1と2を分けてsplitする際も、1つのボタンを押して選択するだけで簡単に音色を分けることが出来ます。
トレミュラントボタンを押せば、ビブラートをかけて微妙なニュアンスを加えられます。

曲の展開によって、ボタンを押すだけで音色を足したり、引いたりすることが1つの鍵盤で出来てしまうので、ライブでもとても使いやすいですね!
実際にデモ演奏ではイントロからラストまでマニュアル1、2、ベース音域とたっぷり様々な音色の設定で弾いてみました。


♪きよしこの夜
Line入力 / エクスプレッションペダル(Roland EV-5)を使用
ピッチ:465Hz Temperament:Equal

曲の展開に合わせて、音色を組み合わせ、幅広い鍵盤で弾けるのでイントロは静かな雰囲気でスタートして最後にダイナミックになっていく展開で演奏してみました。

♪バッハ「小フーガ ト短調」
ピッチ:392Hz リバーブ:12時の位置(共通設定 / Line入力)

Roland C-230


音色タブレット:PRINICIPAL 4, GEMSHORN 1, TRUMPET 1
Temperament:Werckmeister

Viscount Cantorum VI


音色:プリセット3 + TRUMPET
ピアノと違い、鍵盤を押すのではなくオルガン独特の撫でるような奏法はピアノ経験しかない私にとって難しい手法です。
この曲は特に、レガートの美しさが際立つ曲なので、なめらかに続くよう意識して演奏しました。

♪バッハ「主よ人の望みの喜びを」
ピッチ:415Hz リバーブ:最大(共通設定 / Line入力)

Roland C-230


音色タブレット:TRUMPET, MIXTUR以外の全て

Viscount Cantorum VI


音色:プリセット6

サテライトスピーカーをスタンドにマウントして使用した場合
Roland C-230 / マイク入力

マイクで録音すると、よりスピーカーからの降り注ぐような
音の空気感が伝わってきます。
更に高い位置にセッティングするとそれだけ、臨場感も出ることでしょう。

演奏者プロフィール

担当:ナカヤマ

幼少の頃からクラシックピアノを習い、小・中学校ではオーケストラ部にてファーストヴィオリン兼コンサートマスターを担当。
今現在もクラシックに留まらず、ファンク、ジャズ、テクノ、エレクトロニカまで幅広く鍵盤楽器を演奏する。
鍵盤堂ではクラシックオルガンの他に、鍵盤ハーモニカ、ピアノ、リズム・グルーヴ系を担当。
お気軽にお試しも頂けます!是非、一度お店に足を運んで見て下さい。

お問い合わせ

池部楽器店 鍵盤堂

tel.03-5728-6941

kenbando@ikebe.co.jp
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