■はじめに

鬼才John Suhr、その飽くなきサウンド探求。

高い完成度を誇り、数多くのミュージシャンから絶大な信頼を寄せられるSuhr Guitars。
常にトップ・ブランドとして楽器業界を牽引するJohn Suhr氏の活躍は、ご存知の通りギター製作という枠だけには留まらず、アンプ、エフェクターといた周辺機器に至るまでそのハイクオリティな作りから、高い評価と信頼を得ています。

その中でもエレクトリックギターの生鳴りをアンプへと伝える、まさに心臓部とも言える”ピックアップ”。
最も重要なパーツであるからこそ、John Suhr氏の情熱と妥協なき姿勢で製作されるピックアップは、他のリプレイスメント・ピックアップとは一線を画す高いクオリティを誇ります。

今回の特集では、John Suhr氏が製作したピックアップに焦点を当て、スペックや商品説明だけでは伝わらない魅力的なサウンドをお届けする為に動画もご用意致しました。

最前線を駆け抜ける、氏の生み出したピックアップに触れ、その魅力をご堪能下さい。


■Suhr Pickupsとはなにか?

Fender Custom Shopのシニアマスタービルダーを経たジョン・サー(以下:ジョン)とパートナーのスティーヴ・スミスが設立したSuhr Guitars。ギター/ベース、アンプ、そしてピックアップに至るまで、すべてをカリフォルニアの自社工場で厳密なクオリティ・コントロールの下、製作しています。
Suhr Pickupsの歴史は、ジョンがFender Custom Shopに在籍していたときにまで遡(さかのぼ)ります。1994年にFender Custom Shopのマスタービルダーに就任したジョンは、最初の仕事としてジャズベース用ピックアップの開発を手がけ、その後は50~60年代のヴィンテージ・シングルコイル・サウンドのR&Dに没頭。エリック・クラプトンの使用で有名な「Vintage Noiseless」ピックアップ開発にも携わりました。
ジョンの作るピックアップには、ヴィンテージを基本にしながらも現代の音楽に求められる様々な要素が詰め込まれています。例えば、現代には50~60年代には考えられなかったハイゲインのアンプやクリアな空間系エフェクター、デジタル・レコーディングなど、ヴィンテージそのものをコピーしただけのピックアップではミスマッチになってしまう環境が存在します。
ジョンは、ヴィンテージに敬意を払いつつも、そうした「今、必要とされるもの」を追求したピックアップ作りを行っているのです。こうして作られたピックアップは、Suhrのギターのみならず、FenderやGibsonといったヴィンテージ系のギターに載せることで楽器の良さをさらに引き出すだけでなく、ワンランク上の奥行きを感じさせる、素晴らしいサウンドをアウトプットします。

マグネットについて

Suhr Pickupsに使用されているマグネットは、1960年代にFender社が使用していたものと同じ会社、同じ製法で作られているものです。
現在、Suhr以外にこのマグネットを使用しているメーカーはありません。 非常に高価ですが、現在一般的に流通しているアルニコ5とは異なる成分を含んでおり、詳細は企業秘密ですがオールド・ピックアップのレスポンス、アタック感を再現するうえで欠かすことのできないフィーリングを持っています。


画像左 :コイルを巻き終えて、次なる工程を待つピックアップたち。ワイヤーのゲージやターン数は企業秘密です。
画像中・右:TANAC社製のワインダーでワイヤーを巻いているところ。
ピックアップごとに異なる手巻きパターン、テンションなどを細かくプログラムすることが出来ます。
手巻きではなく敢えてこのような最新機材を使用するのは、ジョンの「個体ごとの出来上がりのムラをなくし、いつでも最高の製品を世に送り出したい」という願いからです。