【James Tyler Guitars Japan Factory Tour 2015】

長野県松本市にある、James Tyler Guitars Japan(以下.JTGJ)を製造している飛鳥工場へ、USA製品取扱い店舗ギターズステーション/鈴木とJapan製品取扱い店舗ロックハウスイケベ池袋/西岡が訪問。ジェイムス・タイラー氏を唸らせた製作現場を視察レポートいたします。

飛鳥工場ではさまざまなハイエンド・ブランドの楽器を製造。工場写真中央の後姿は、飛鳥ギター・ファクトリーの代表を務める八塚悟氏。その八塚氏を中心に、各工程のプロフェッショナルで構成されたチームがオーダーメイド等の様々なブランドを製作しております。JTGJはその優れたクラフトマンによって生み出されております。工場入り口にはアコースティック用のサイド材、フレイム・マホガニー材が入荷しておりました。ここまで全体に綺麗にトラ杢の入ったマホガニーは貴重だそうです。

最初に案内して頂いたのは、ネックを製作しているセクション。飛鳥の製作方針から、NCルーターでネックを製作はせず、USA製品から採寸して製作したジグ用いて加工が行なわれる。加工はピンルーターにてハンドメイドで削りだされます。

外周が削りだされた後、ネックシェイプの仮グリップ加工、トラスロッド溝加工を行ないながら、ネック完成まで"削る→乾燥→削る"を繰り返すことで安定したネックを製作。
勿論、ネックの乾燥には専用のスペースを設けており、湿度管理された中で繰り返し調整が行われ、完成後の狂いを無くしていきます。
この時点では指板は接着していない状態で、数十本のネックが保管されていました。

ボディ加工のセクションではギターデザインの心臓部にあたる精度の高い3Dキャドデータから削りだされたTylerのみが使用するボディーマテリアル「MAMYWO」を発見。そこで私達が驚いたのは、Mamywo材が青く変色しているものが混ざっているのです。
八塚氏に伺ったところ、削りだす時点では通常の白い状態のようですが、湿度や様々な影響から加工後に青く変色する物があるそうです。こういった木材はソリッドカラーやブルー系のモデルに使用しているとの事です。
またボディに空いている数箇所の下穴は、ボディのバック材であるMAMYWOの特性上、ブリッジスタッドを固定する際には更に強度を確保する為にダボを埋める必要がある為に開けられたジグ穴です。
この後トップにはメイプルが貼られるので隠れてしまいますし、ソリッドカラーでは塗装の下に隠れてしまいますので、木材の状態で確認するからこそ分かる特長の一つです。このダボ加工はUSA製品も同様の加工をしているようです。

木材のストックルームにはJTGJ専用に確保された、素晴らしいクウォーターソン(柾目)・メイプル材を多数ストック。柾目は丸太の状態から切り出せる量が少なく、ましてやJTGJで使用している年輪の詰まった木材は簡単には手に入りませんが、飛鳥工場でこそ実現できるウッドマテリアルといえるでしょう。

ネックシェイプの仕上げセクションでは、USA製のグリップを元に製作された、仕上げ時に使用するサンプルのネックが用意されています。国内販売のネックシェイプはEX THINですが、USAへの出荷モデル用は肉厚なグリップシェイプで製作されておりました。現在、このネックシェイプは国内での販売予定は未定です。
サンプルネックにはサイド・スキャロップなどの細かい指定も記載され、安定したネックが完成するのです。
私個人としては、現在の日本向けに生産されているEX THINシェイプが好みですが、ネックグリップ厚を太くしたモデルもオーダーできるようになれば試したいシェイプです。

塗装場では様々なサンプルカラーのボディなどに並び、初お披露目の「Burning Water Finish」を発見!!訪問時にはまだ発売されていなかった為、当店スタッフが訪問したこの日が初対面となりました。本家USA製品を取り扱う、ギターズステーション/鈴木も絶賛の仕上がり。現行のバーニングウォーターの感じとはまた違う細かく赤と黒の色味が混ざる独特の仕上がりは、数年前のイメージに近いルックスです。
そして、なんと言っても驚きなのが、オリジナルのフィニッシュ方法を教わらずにこれを実現してしまった事!! フィニッシュを担当している深田氏本人が好きなことから完成したという、研究心と思い入れがなければ完成できないであろう匠の技です。ジェイムス・タイラー氏にお見せした際も、驚きと同時に「どうやったんだ!?」と逆に聞かれたほどプロトタイプで絶賛されたようです。
この後、八塚氏と深田氏はJames Tyler Guitarの工場に訪問し、フィニッシュ工程のレクチャーを受けたそうです。 乾燥室内は、温度と湿度が非常に高く設定されており、塗装の乾燥を24時間管理された状態で行なわれております。中に入っているだけで空気が重く、サウナのように長く入られないほどです。

乾燥室の向かいのブースでは、細かい仕上げ作業が行われております。James Tyler Guitars特徴の一つ、ヘッドロゴはここでレタリングされます。カラーバリエーションはブラック、ホワイト、シルバー、ゴールドとマッチングヘッドなどに対応して用意されています。この一枚もなかなかいいお値段するそうです・・・。
そして、そのフロア内にはJim BurstフィニッシュのUSA製STUDIO ELITEモデルが保管されており、このギターをサンプルに塗装やレタリングが施されるようです。
Tylerの特徴であるオリジナリティーあふれるカラーリングは、使用される照明によっても見え方が変わってしまいます。 これをオリジナルの色味を出来る限り再現する為にも、同じ照明下で色味を確認する必要があるのです。

組み込みブースでは完成が待たれるJTGJのギターのボディ等がストック。画像の一本はSTUDIO ELITEのLPBカラーですが、ネック&ミドルポジションはUSAオリジナル同様のJTOピックアップのダミーコイルをマウント出来る様にこの様な大きなザグリが施されております。
また、ブリッジピックアップのルーティングは、シングルコイル~ストレート&タイラーならではのスラントハムバッカーもマウントできるようにネック方向には少し角度の付いた独特の形状で空けられます。
Studio Elite HDスペックでも、USAと同じボディールートが施される事で、同様のサウンドニュアンスを得られるのです。
またG2RVのブリッジは全て飛鳥で組み上げられているのですが、オリジナルのこだわりであるブリッジ本体、サドル、弦高調整のポイントネジと全て別に納品されている為、ばらしながら汲み上げて行くと言う中々手の掛かる作業です。 ブリッジには並々ならぬこだわりを持つTylerの真骨頂であり、ここまでやらなければ、オリジナルに迫れないと言う事を分かっているからこそ出来る作業でしょう。
ブース内にはUSA製のClassic ModelとSTUDIO ELITE Modelがサンプルが保管されていました。これは、USAオリジナルのサンプルを見ながら組み込みとセッティングが行う為。これによりUSAと違わないレベルの仕上げができるのです。 各セクションでUSAモデルをサンプル品として支給していることも、輸入代理店/キタハラ楽器さんのJAMES TYLERへの愛情を感じずにはいられません。
こういった積み重ねが最高のクオリティを保ったJapanモデルを生み出しているのです。

ギターズステーション/鈴木もJTGJに使用しているパーツに興味津々。JTGJがUSAと同様のパーツを使用しているおり、年式による仕様、パーツメーカーの話などマニアックな会話が飛び交います。ブルーのパーツは、ミッドブーストON-OFFを行う為のPush-Pushスイッチパーツ。続いてブラックのノブ、円柱のブラックパーツは、ミッドブースト・コントロールノブとブーストON-OFFのスイッチノブ。保管されている袋には、ブラックパーツ仕様のDann Haff用に用意された記載がされていますね。

鈴木が手にしているのは、JTGJの配線に使用されている配線材。この配線材は国内では中々入手できないのでもちろんUSAから支給して頂いており、このリード線一つもUSAと違わない仕様となっております。
その証拠に、ワイヤーを巻きつけた本体部のカスタマー欄には「JAMES TYLER GUITARS」宛となっています。ミッドブースト回路は配線された状態でストック。ピックガード裏面には銅板を貼ることでアース処理を行っており、この銅板の貼り方もオリジナルと同様。この銅板見ていただくと分かりますが、横幅がかなり太い一枚の物をピックアップ部と、コントロール部で繋ぎ合わせています。これもUSAと同様のサイズを特注で製作しています。Push-Pushスイッチを固定する台座の木材はUSAから支給されているようです。勿論、台座や銅板の加工は飛鳥スタッフが行っております。写真画像は配線前ですが、組み込み時にはピックアップ部とコントロール部の銅板の境目に、USAと同様の位置にハンダでの接続処理が施されます。本来は貼り合わされていれば導通しますが、より強固にショートさせる為にあえてハンダを行うオリジナルと同様の作業を行っています。

組み込みブースの後、飛鳥の使用するレーザーカッターとNCルーターを拝見させて頂きました。そこではまさに、JTGJ用のパーツが削りだされている最中でした。削りだされた円柱パーツは、ボディ製作のセクションで説明いたしましたボディへ打ち込むダボ材です。素材はメイプルで削りだされ、マムヨボディへ打ち込み、ブリッジがマウントされるのです。
JTGJのボディ製作時に使用する、NCルーター用のジグもモデルごとに使い分けます。

工場外には木材の管理の肝となる、シーズニングを行なうマシンがありました。
工場内には多種多様の材を豊富にストックしていますが、これまでの工程で材の品質を左右する乾燥工程に力を入れているのは知って頂けたと思います。木材はその品種や部位などによって特性が異なり、通常の乾燥方法では中心部分までの乾燥がなかなか進まない。木材の中で起こるこれらの収縮・乾燥の差が、材の反りやネジレ、割れの原因になるため、工場では材の十分な強度と安定性を保つために、自然乾燥と人工乾燥を組み合わせた独自の乾燥システムを採用。このBOXは乾燥しにくい木材を短時間で楽器製作で使用できるレベルにまで乾燥を進める事ができるそうです。コンピューター管理でコントロールされることで安定した品質の木材が手に入り、素材や特性に応じた湿度や温度、時間を綿密に管理した乾燥方法を実現しています。

ファクトリーツアー後にはジェイムス・タイラー氏から頂いたサンプル機を拝見させて頂きました。 このサンプル機はNCルーターで加工したそのままのボディとなっており、八塚氏はNCルーターでの加工方法を削りながら教わったそうです。
ボディの質感は削りっぱなしと言うことで、ルーターの刃の削り痕は残りざらつきのある触り心地ではありますが、ほぼボディーの形状までこの工程で製作されている事には、八塚氏も驚かれたそうです。
ギターのボディーやヘッド等は、ほんの少しのアウトラインの違いでも異なる物に見えてしまうことがありますので、NCルーターや、ルーターの刃の使い方等もUSAオリジナルを再現する事で高い完成度をが得られています。仕上げ前のUSAモデルを見て触れる機会はここにしかないでしょう。

貴重な木材をストックしたミーティングスペース。独特な木目で人気のバックアイ、コリーナ材やブラジリアンローズなど素晴らしい木材がストックされています。このミーティングスペースでSTUDIO ELITEのオーダーをする事に。ボディトップには勿論、極上のキルトメイプルトップをセレクト。八塚氏にお手伝い頂き、削りだされた十数枚の木材から極上の4枚を選定。塗装後の状態をイメージする為、ボディ外周のジグを使い、太陽の光を反射させながら厳選いたしました。

厳選したキルトメイプルにジグを合わせながら、一番木目が美しい切り出し場所をグランディ&ジャングル/西岡が指定。その指定した位置を、八塚氏に外周ラインを書いて頂きました。 選定した木材はそれぞれ異なった仕様でオーダー。

八塚悟氏

■八塚 悟氏
八塚氏は、現在、工場の技術部長を務める日本屈指のビルダー、百瀬恭夫氏にギター製作を師事し、豊富な知識と技術を吸収。20 代半ばにして工場長に就任し、近年ではプロミュージシャンからのカスタムオーダーや、国内外のハイエンド・ブランドのサンプル製作など、高い技術と柔軟性が求められる特殊製作も手がけている。 

お問い合わせ

ロックハウスイケベ池袋
担当 / 西岡(ニシオカ)

TEL : 03-3989-0069

E-mail : rockhouse@ikebe.co.jp

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グランディ&ジャングル
担当 / 大久保(オオクボ)

TEL : 03-3464-2750

E-mail : grandey-jungle@ikebe.co.jp

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ギターズステーション
担当 / 鈴木(スズキ)

TEL : 03-3477-0089

E-mail : guitars_station@ikebe.co.jp

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