Fenderギターのフラッグシップモデルの一つ｢Telecaster｣。そのテレキャスターがテレキャスターと名乗るまでの原点として販売されていたのが｢BROADCASTER｣。50年初頭に発表されたのですが、当時ブロードキャスターという名前はグレッチ社にて商標「BroadKaster」登録があった為、急遽モデル名のデカールを切り取り、フェンダーロゴのみで出荷されていたのが通称｢NOCASTER｣という愛称で知られております。

こちらの一本は、多くのシリーズで採用される1952年のTelecasterにて限定生産された一本。Nocaster Blondeカラーで極薄のフラッシュコート・ラッカーフィニッシュされた2ピース・アッシュボディ材は、木目の凹凸が確認出来る程の仕上がり。1ピースのメイプル材はリフトソン(追柾目)を採用し、ネックシェイプは若干ローポジションの厚みを太く調整した57年Vシェイプ仕上げ。V形状なので、Nocasterネック等に比べればスリムネックと言っても良いグリップ感です。
指板ラディアスは、Vintage Customシリーズで採用されている7.25-9.5Rのコンパウンド・ラディアス仕上げ。ローポジションではコードが握りやすく、ハイポジションでのリードプレイにはフラットで弾きやすいRです。弦高をローアクションにも出来る万能な仕様です。フレットには、通常のビンテージサイズより若干高さのあるサイズを採用。ネックグリップ、指板ラディアス、フレットサイズから非常に演奏性の優れたネック。
厳選されたアッシュボディと1ピースネックから奏でられるサウンドは、コード1発鳴らすだけでクリアでハリのある太い鳴りを体感出来ます。塗装面の凹凸から見られる薄さ、バフ仕上げされていない事による自然な響きが良いです。弾き込むことで増幅していくボディ＆ネックの鳴りの成長が、将来のビンテージ・サウンドへ成長してくれる逸品でしょう。

その素晴らしい鳴りを再生するピックアップは、ハンドワウンド・ピックアップを採用。通常の機械巻に比べ、倍音豊かでアコースティックな空気感がアンプから出力される印象。50-51 Blackguard Single Coilピックアップを搭載。初期Fenderトーンでチューニングされたピックアップは、太くドライなテレキャスサウンドを出力してくれます。カスタムショップ製の素晴らしい鳴りによる太さもしっかりと感じられます。
コントロールはビンテージをベースにカスタマイズされた「51 MOD NOCASTER」配線。レバースイッチ毎に異なったサウンドを操作可能となっており、ネックポジションは抵抗を利用したファットなネックPUサウンド、センターポジションではダイナミクス感のあるネックPUのトーンバイパス・サウンド、ブリッジピックアップはブレンダーコントロールを追加したトーンバイパス・サウンドとなります。一般的なミックスが可能なコントロールではなく、更にトーンも非搭載という楽器本来のストレートなトーンが特徴のMod.コントロールです。
ブリッジには、ビンテージスタイルの3wayサドルを装備。ブリッジサドルはもちろんブラス材を使用しており、3wayサドルのノントレモロ構造から得られるサウンドは、ストラトキャスターに比べダイレクトでアコースティックな鳴りが特徴。ストラト以上に太い響きを体感できる鳴りは流石のカスタムショップ製！！
タイムカプセルに入れられ現代に開封された一本を再現したモデル。ダメージ加工の入れられたレリック等とは違い、ハリがある元気なサウンドを感じさせてくれます。ビンテージ・スペックをベースに、これまでと違った角度からモダンな要素を取り入れられたハイブリッドなテレキャスターをお見逃しなく！！

☆Fender Custom Shopとは
フェンダー社が仕入れた木材の中から厳選されたマテリアルを用い、昔ながらのハンドクラフトと高い製作技術でフェンダー・ブランドにおける最上級のギターを製作するために1987年に設立されたセクション。長い歴史を誇るフェンダー社の伝統と技術を受け継いでいるセクションであり、マスタービルダーシリーズのような世界に1本しか存在しないモデルを始めとし、限られたスタッフにより組み上げられたカスタムショップならではのラインナップはまさに最上級であり最高級。
製作に使用される道具の数々は、1950～1960年代当時に使用されていたジグ等を使用。フェンダーギターのノウハウを熟知したスタッフ達の拘りによって生み出される楽器は、弾き手を満足させる極上のクオリティとサウンドを誇り、生涯付きあうことのできる頼もしい相棒となることでしょう。