1963年、当時のGibson（ギブソン）社の社長Theodore McCarty（セオドア・マッカーティ）の友人でカーデザイナーのRay Dietrich（レイ・ディートリッヒ）によりデザインされた『Firebird（ファイアーバード）』シリーズが登場しました。右側のカットが長い非対称のボディは「リバースシェイプ」と呼ばれ、1965年頃の仕様変更後もたびたびリイシューモデルが登場し、2ミニハムバッカー仕様のVersion V（ヴァージョン5）は、長い間カタログラインナップされていた人気モデルです。

こちらは、ゴールドハードウェア仕様／ミニハムバッカー3基搭載のファイアーバード最上位機種となる『Firebird VII（ファイアーバード 7）』。世界的人気バンドのギタリストが使用していたこともあり、人気機種として日本でも時々お目にかかりますが、記録によると1963～65年の発売中に出荷された本数は193本＋α（1965年の出荷本数110本はノンリバースシェイプと合計のため不確定）となっており、世界的にみるとやはりレアなアイテムであることが伺い知れます。今回入荷はサンバーストカラーの1964年出荷ものとなります。

【ボディ】
全体重量は約3.9kg。オフセットの魅力的なボディシェイプにサンバーストカラーが渋さを醸し出します。細かなウェザーチェック、打痕やベルトバックル等の使用感、ゴールドハードウェアの剥げやくすみがみられ、ヴィンテージらしい雰囲気ながら比較的きれいなコンディションをキープしております。ピックガードにスタンプされた赤いファイアーバードはほぼ消えかけていますが痕跡がしっかり残ります。ピックアップリング止めねじが数点交換されています。

【ネック】
この時期特有の9ピースマホガニーのスルーネック構造もヴィンテージギターファンには嬉しいポイントでしょう。トラスロッドカバー上部ねじ付近の欠けがみられます。チューナーはおなじみバンジョースタイル、巻きの固さにそれほどバラつきもなくしっかりと機能します。フレット／ナットはいちど交換済みで、若干の減りはみられるものの極端な音詰まりもなくプレイアビリティは良好です。ナット幅42.4mm。しっかりと厚みはありつつも比較的握りやすいネックシェイプではないでしょうか。

【電装系】
3基のミニハムバッカーと3wayトグルスイッチは、ギブソン伝統の【ネック（フロント）／ミドル＋ブリッジ（ミドル＋リア）／ブリッジ（リア）】といった動きとなります。ファイアーバード用に開発されたこのミニハムバッカーは、ハムノイズを軽減させながらもシングルコイルのようなクリスピーでクリアーなサウンドが魅力。ギターの鳴りと相まってレスポンスも秀逸で、リアポジションのパリッとしたスピード感のあるサウンド、フロントの抜けの良い艶やかなトーンがメイン。ミドル＋リアは逆位相のアウトオブフェイズサウンドとなりますが、1960年代当時はきっとサーフ系の音楽などで重宝したのでしょう。

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