LED ZEPAGAIN 2015.9.20 六本木EXシアター ライブレポート

Angus Ogawa

Angus Ogawaです。今回取り上げるアーカイブは、僕が10年前にイケベに入社して間もなかった頃に取材させてもらった、レッド・ツェッペリンのギタリスト「ジミー・ペイジ」を完全再現し、今や世界でご活躍されている、ジミー桜井さんのライブの模様です。読み返していて、何かを成し遂げるということは、とても大変だけど、でもだからこそとことん突き詰めてやる価値があると、すごく感じられる体験だったなと振り返ります。非常に読み応えのある内容だと思います!是非ご覧ください。

レッド・ツェッペリンのギタリスト「ジミー・ペイジ」を完全再現する世界的な第一人者、ジミー桜井氏が加入したLED ZEPAGAINの来日公演が開催されました。1975年の「アールズ・コート・ライブ」は、ファンの間ではレッド・ツェッペリンの数あるライブの中でも最高のパフォーマンスだったと云われています。その伝説的パフォーマンスを再現した圧巻のライヴパフォーマンスの模様をレポートいたします。(文責・撮影 小川一)

本家に迫る、究極の“疑似体験”。

現在、オフィシャルで「アールズ・コート・ライブ」の映像を確認できるのは2004年発売の「LED ZEPPELIN DVD」の中に収められている6曲のみとなります。そこに映し出されているギラギラと美しい、ジミーペイジのドラゴンスーツ。忠実に再現されたドラゴンスーツを身に纏い登場したジミー桜井氏。

ブロンド髪と花柄ブラウスという出で立ちに、ワイルドでありながらも伸びのあるハイトーンボイスでロバートプラントさながらのスワン・モントゴメリー氏。
バンドの骨組みを支えるだけでなく、さりげない主張でバンドアンサンブルに色気と旨みを引き立てるジム・ウーテン氏。ベースだけでなくキーボードやマンドリンもこなせるマルチぶりは、まさにジョンポールジョーンズさながらのプレイを披露していました。

そして、8月後半の公演から加入したこだわりの新ドラマー、デレク・スミス氏。ルックス・サウンド共にまるで本物のジョンボーナムがプレイしているのような、重戦車のごとく叩きつける迫力あるドラミングにオーディエンスは魅了されていました。

“生”で体験できる伝説のパフォーマンス

レッドツェッペリンのライヴの特徴といえば、音の迫力はもちろん、ライヴだからこそ成し得ることができる即興から生まれる創造性やスリリングさであったり、メンバー全員がそれぞれが持っている個性がぶつかり合うことで生じる化学反応的な音像とパフォーマンスなど、“これぞロックミュージックの魅力”がふんだんに詰まっています。LED ZEPAGAINは、その伝説といわれるパフォーマンスを現代に蘇らせたといっても過言ではない、ファンを唸らせるステージを繰り広げました。

デレク氏の迫力あるドラムが合図の“ROCK AND ROLL”からスタート。スタートからツェッペリン度全開です。

アクションを決めるジミー桜井氏。まるで若かりし頃のジミーペイジがすぐそこにいるのではないかと錯覚を覚えてしまうほどの説得力あるパフォーマンスを展開していました。

オーディエンスを煽るスワン氏のパフォーマンスには本家同様のセクシーさに溢れていました。また、日本語で茶目っ気のあるMCをしてくれるなど微笑ましい場面もありました。

アコースティックステージでは、“GOING TO CALIFORNIA” “THAT’S THE AWAY” “BRON-Y-AUR-STOMP”の3曲を披露しました。非常に活き活きとしたプレイが印象に残りました。

“NO QUARTER”では、ジム氏による幻想的なピアノソロ。本家の映像でもそのメランコリーな雰囲気が確認できますが、ジム氏のピアノプレイも感情たっぷりでした。

“MOBY DICK”では、デレク氏による圧巻のドラムソロが炸裂しました。その素晴らしさに、曲終了後の場内はスタンディングオベーションと拍手喝采に包まれました。

“DAZED AND CONFUSED”のインプロヴァイゼーションパートにてバイオリンの弓を使ったパフォーマンス。スモークと照明の色が混ざり合い神々しさを感じる雰囲気に包まれました。

ライヴ版“DAZED AND CONFUSED”は静と動がめまぐるしく変わっていく様が魅力と言えます。それを巧みな演奏力でコントロールするLED ZEPAGAIN。

“STAYAWAY TO HEAVEN”にて、天高くGIBSONダブルネックを掲げるジミー桜井氏。

“WHOLE LOTTA LOVE”における見せ場である、テルミンとエコープレックスを駆使したパフォーマンスも完全再現!

最後のアンコール“ACHILES LAST STAND”では、FREEDOM CUSTOM GUITAR RESERCHのRRCに持ち替え、そのサウンドを披露。ストラトキャスターとレスポールの特徴を組み合わせたギターで、多彩な音色をこの一本で表現できるというヴィンテージとは違った魅力があります。本家にはないこうしたサプライズもトリビュートバンドならでは。

ジミー桜井氏使用機材

グラマラスなボディトップのカーヴが美しいGibsonの1959製ヴィンテージレスポールから奏でられるサウンドは、まさにジミーペイジ。徹底的な研究を重ねてきたからこそ生み出すことができる、極上のペイジサウンドでした。ふくらみのあるフロントピックアップとトレブリーなリアピックアップをミックスすることで得られる独特のトーンをリアルに再現しています。

変則チューニングやスライドギターが必要な楽曲で使用しているDanelectro 3021。独特の形状をしたボディやパーツ、リップスティックPUから弾き出される個性的なサウンドは、中期~後期レッドツェッペリンの魅力の一つである“オリエンタル”な楽曲の色づけを担っていました。今回のライブでもシタールを思わせるようなサウンドで会場のオーディエンスを魅了しました。

Gibson EDS-1275。ダブルネックの構造を活かしたネックセレクトや緻密なトーンコントロールによって多彩なサウンドを奏でていました。チューニングを微調整することで揺らぎ効果を出すなど、深いところまでこだわっています。

長時間であることを感じさせない魅力。

LED ZEPAGAINのステージは、4時間30分越えのステージでしたが、その長さを全く感じさせることもありませんでした。縦横無尽にステージを駆け回るジミー桜井氏とスワン氏。抜群の安定感で支えるジム氏のベースプレイと圧倒的音圧で攻めるデレク氏のドラムプレイ。トリビュートバンドは本家の再現はもちろん大切ですが、オーディエンスを“疑似体験”させるという視点で捉えた場合、やはり“再現する”だけでとどまらない、ステージ環境に合わせた機材の調整や、高い演奏技術と幅広い表現力が必要となってくるのであろうと考えられます。本家に迫るための機材の追求、ルックスへのこだわり、ステージパフォーマンスの探求など、様々な角度からアプローチをしているからこそ成し得る、圧倒的なライヴステージでした。

SET LIST
1.ROCK AND ROLL
2.SICK AGAIN
3.OVER THE HILLS AND FARAWAY
4.IN MY TIME OF DYING
5.THE SONG REMAINS THE SAME
6.THE RAIN SONG
7.TENGERINE
~INTER MISSION~
8.GOING TO CALIFORNIA
9.THAT’S THE AWAY
10.BRON-Y-AUR-STOMP
11.KASHMIR
12.TRAMPLED UNDER FOOT
13.NO QUARTER
14.MOBY DICK
15.DAZED AND CONFUSED
16.STAIRWAY TO HEAVEN
EC1.WHOLE LOTTA LOVE
EC2.BLACK DOG
EC3.HEARTBREAKER
EC4.COMMUNICATION BREAKDOWN
EC5.ACHILLES LAST STAND

▼さらにあります!当日の模様をご覧ください。▼

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