Brand: Dumble
Model: Winterland #0003
Dumble Winterland #0003
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Alexander (Howard) Dumble 自身が敬意を表するプレイヤーにのみワンオフで製作されるため、そのひとつひとつが全て異なる表情を持つといわれるダンブル・アンプは、スティーヴィー・レイ・ボーン、ラリー・カールトン、ロベン・フォードを始め、数々の名ギタリストに愛され、またその希少性から現在最も高額で取引されるブティックアンプとして知られています。

1968年頃、ベーシスト Michael Husser の為に製作されたというこのアンプは、本人のものと思しき記述によれば、その少し前にサンフランシスコの Winterland で行われたジェファーソン・エアプレインのコンサートで、ジャック・キャサディーが使用していた Sunn の 200S のサウンドと、広いコンサートホールでも埋もれないアンプのパワフルさに感銘を受け、自身も使用している旨をダンブルに伝えたところ、このアンプの製作に着手したという逸話があり、故に「Winterland」の名が付されたと云われています。

フラワームーブメントと時を同じくして、モンタレーを発端に音楽フェスの文化が花開いた1967年以降、Marshall Major や Ampeg SVT、Sunn 2000S 等、オールチューブで 200W ~ 300W 相当の高出力を可能にしたモンスターアンプが続々と登場したのもこの頃で、4本の 6550管(オリジナルはKT88管)と、巨大な DYNACO製 のアウトプットトランスを搭載したこの Winterland (オールチューブ/200W)もまた、そんな時代を象徴する仕様となっています。

サウンドについては、ローB弦でも難なく再生可能なレンジの広さ、音の速さは流石で、現状プリチューブの特性からかややクリップのポイントが早いため、50’s PBやブラックボビンのヴィンテージJBなど、ローゲインなシングルコイルとの相性が特に素晴らしく、60~70年代のロックを演るのにこれ以上の贅沢はないでしょう。

さらに特筆すべきは、そのパワー部の驚異的なヘッドルームとリニアなボリューム・カーブで、ボリュームを上げていけばそれこそフル(10)のポジションまで到達してもなおリミットがかかることなく、ポットの稼動域が許す限りどこまでもクリアなまま音量が上がっていきそうなほどです。

現在流通していると思われるダンブルのベースアンプとしては、この時に製作された2台のうち本機 #0003 が唯一の個体といっても過言ではなく、希少性の観点でいえば最もレアなモデルのひとつといえます。当店の10周年を迎えるにあたり、これ以上ない逸品をご紹介させていただける機会に恵まれたことに感謝したいと思います。

Text by Kenji Okazaki, Bass Fitter / Bass Collection