今月のコレクションは、そんなエレクトリックベースならではの魅力が凝縮されたフレットレスの名機、Pedulla
"BUZZ"モデルをご紹介致します。
"エルゴノミクス"(人間工学)デザインを取り入れたメイプル製のコンパクトなボディウィング、トラスロッドの両脇に鋼鉄の補強バーが埋め込まれた薄く頑丈なネックのコンストラクションによって生み出される、どっしりと重みのあるスルーネックならではのサスティーンと、それとは相反するはずの豊かな鳴り感が絶妙な割合で共存した秀逸な鳴りは、バルトリーニ特注による、PJスタイルのオリジナル・ピックアップとプリアンプによって増幅されることで、ペデュラ特有の適度な芯を残した、太く甘い、上質のフレットレス・サウンドに仕上げられます。
ピックアップは、フロントのPだけでも十分に楽器として成立するほど、色気のある太く枯れたサウンドを聞かせてくれますが、さらにリアのJをミックスすれば、Pの太さに音の芯を加えた、さらに重厚で均整のとれたサウンドになり、また逆にリア単体にしてローとミッドをたっぷりと足し、トレブルを抑えれば、現代のアンプやDIを用いたフラットな再生環境においても、まるでジャコのように大音量でスピーカーをドライブさせているかのような、図太く芳醇なトーンを紡ぎ出すことも決して不可能ではありません。 
また、フレットレス指板に施されたコーティングも"BUZZ"モデルの特徴のひとつに挙げられるものですが、今回はそれを承知であえてコーティング無しでオーダーし、エボニー指板の素材の感触を活かすことにしました。
立ち上がりの際にラウンド弦と木が擦れることで生まれるアタックのバズ音は、コーティングの表面に対するバズとはまた違った質感になっており、力強い鳴りの中に奏者の感情と共鳴するかのような抒情的な響きを与え、ペデュラのサウンドをさらに音楽的で繊細なものに感じさせます。フレッテッドのサブとして置いておくにはあまりに惜しい、きわめて高い実用性と豊かな感情表現を可能にした、全ての演奏家にとってメインに成り得る実力をもった楽器です。
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