こんにちは。Bass Collectionベースフィッタの岡崎です。
今月のコレクションは、本格的なアコースティック・ベースのサウンドが楽しめる楽器としては恐らく世界最小となるフレットレス・ベース“Rob Allen Guitars”の「Mouse30」をご紹介致します。
全長約97cm、総重量わずか2.65kg。LPタイプのギターとほぼ同サイズにあたる、その名の通りマウスのように小さくキュートなルックスで人気を集めるこのモデルは、30インチ・ショートスケールを基本に、セミホロウ構造のアルダー・ボディ、1ピースのバーズアイ・メイプル・ネックをデタッチャブル・ジョイントで合わせ、ブリッジ駒下にはピエゾ・ピックアップ、キャビティにFishman製プリアンプとトーン・コントロールを内蔵。ラウンドワウンド弦の表面をナイロンテープで覆うというユニークな構造を持ち、「LaBella」のブラックナイロン弦でセットアップすることで、ソリッドな中にも心地よい弾力があり、さらにショートスケールの柔らかなテンションも手伝って、時にWベースを思わせる“Rob Allen Guitars”ならではのディープなアコースティック・サウンドを獲得しています。
fホールをあしらった美しいフィギュアド・ウォルナット・トップのオプションが見た目に華やかさを添え、さらにエボニー指板を部分的に延長することでサムレストの役割をも兼ねた「Fingerboard/Rest」オプションが、楽器のデザインにアクセントとしてさらなる魅力を加味しています。楽器のサウンド・コンセプトをより明確にしているだけでなく、人々が思わず手にしたくなるような、シンプルで魅力溢れるデザインに仕上げています。
また、ベースとしては異例の2kg台と大変軽量であるにも関わらず、ベースのあるべき位置にサウンドの重心を据え、あくまでベースとしての実用条件を満たしている点は、他社製の同スタイルの楽器との決定的な違いと言えるでしょう。
機能性と美しさを備えた秀逸なデザイン、楽器としての完成度、メーカー独自の個性という点においては、へフナーのヴァイオリンベース、アレンビックのSSBといった往年のショートスケールの名機と比べてもひけをとらない深い魅力を備えた楽器です。

Text by Kenji Okazaki, Bass Fitter / Bass Collection Shibuya