こんにちは。Bass Collectionベースフィッタの岡崎です。
一口に“ハイエンド”とは言っても、何をもって“ハイエンド”とするか。明確な定義などありませんが、ただむやみに高額な商品を総称してそう呼んでいるわけでは勿論ありません。素材、品質、デザイン、個性、サウンド、その全てにおいて上質の極みを目指し造られた特別な存在感を持つ楽器のことをそう呼ぶのであれば、その定義はおのずと導き出されるはずです。今月のコレクションは、それら全ての条件において圧倒的な存在感を放つ“ハイエンド”の最高峰「Alembic」の5弦モデルをご紹介致します。 ![]() 主に高級家具などで使用されるココボロ材が持つ本来の美しさ、高級感を、楽器の中にこれほどまで上品に引き出すことが出来るのは、恐らくこのブランドをおいて他には無いでしょう。上質のココボロ材をトップ&バックに配した“BalanceK”ボディを採用した本機は、数ある同社のボディシェイプの中でも、立奏時、座奏時共に最も優れたバランスを誇り、また、ホロウ構造のボディと強固な7ピース・ネックとの組み合わせによるスルーネックならではの“一体感”と豊かなサスティーンが心地よく、さらにホロウ・ボディならではのエアー感が重厚な鳴りの中に音楽的な"響き"を与えています。
そして、この楽器の最大の魅力であり、アレンビック・サウンドの核となるエレクトロニクスには「SeriesII」サーキットが内蔵され、ジミー・ジョンソンなどのプレイで聞かれる有無を言わせぬ強力なサウンドを生み出しているだけでなく、フィルタートーンの“Q”をノブで自在に設定可能な「SeriesII」唯一の“Continuously Variable-Q”コントロールにより、パッシヴトーンにも似た緩やかな補正から、ワウのような大胆な音色設定までを可能にしています。
![]()
また、現行機では、ミニSWによりフォンジャック出力のステレオ/モノ切り替えも可能になり、楽器からダイレクトに出力することも可能ですが、5PINの専用ジャックからパワーサプライを経由し出力することでさらに音圧、ヘッドルームの許容を増したフルスペックのサウンドは、もはや“アクティヴ・ベース”などという枠に収めることの出来ない「Alembic」唯一のものであり、70年代初頭にエレクトロニクスの錬金術師が完成させた唯一無二のサウンドは、30年以上経った今なお少しも色褪せることはありません。
![]() Text by Kenji Okazaki, Bass Fitter / Bass Collection Shibuya |