Occhio 022 HISASHI CUSTOM製作工程徹底紹介!

ギター製作を志した方も、あまり構造的な事に関心が無い方も、是非ご覧下さい。(画像をクリックすると大きく表示されます)
製作機械が無くとも、良いギターを造りたいという情熱と体力があれば、ミュージシャンを感動させるギターが造れる事を見せてくれます。

指板整形

HISASHIとの打ち合わせでチョイスした指板の幅を加工。
ナットの幅は、ゼマイティスと同じになる予定。
バンドソー(自動の帯ノコギリ機)で切断後、両わきを整形。
エンド側もカットして、整形しました。
バインディングの貼り付け。
エボニーに、紫の薄板を接着し、バインディング材を作ります。
指板の両わきに、バインディングを接着。
クランプで、がっちり固定して放置します。
エンド側も、バインディングを接着。斜めにカットしておいて、ピッタリ付けます。
うまくいきました。
指板の底面にも紫を貼って、大まかに整形しました。
この底面の紫は、指板とグリップとの境のラインになります。
サイド・ポジションマークの埋め込み。

ネック材接着

ネック材は、ホンジュラスマホガニーとメイプルのラミネート構造になっています。
木目の方向は、指板接着面が、柾目になるようにしています。そうすることで、反りに強いネックができます。
ネック材となるホンジュラスマホガニーの板を用意。
材料に、ネックの横向き断面の絵を書いて、切断。今回の材料は、10年前の2005年8月31日に買っておいた3枚のうち、使わずにとっておいた最後の1枚です。10年経ってもネジレや反りが全くありませんでした。
10年というと偶然ですが、なんだか、ますますドームに間に合わせなきゃと、思っています。こういう安定した良材は、加工がとても楽です。ギターになった後でも、安定していると思います。
メインの厚いマホガニーと、薄いメイプル、そのメイプルに、薄いマホガニーを挟みます。メイプルの部分が、グリップのストライプになります。
今回のネックは特にHISASHIが所有するゼマイティスにならって薄いですが、こうしてメイプルを挟むことで、ヘッド折れなどに対して、強度が上がりますし、反りにくいネックになります。
それらを一気に接着。
余分な接着剤をグリグリ押して追い出し、クランプでがっちり拘束します。
一晩放置してクランプを外すとこうなっています。

ネック加工

今回のネックは特別に、ナットのあたりに補強のメイプルを埋めています。
まず、接着したネック材の指板接着面と、ヘッドの面を平らにします。
トラスロッドの溝を掘ります。
ヘッドの角度が付く部分に、補強のメイプルを埋めました。
(メイプルを入れる為の溝を掘ったところ)
(メイプルを埋めたところ)
Vita Guitala'sのネックは、元々メイプルを通しているのでネック折れには強いのですが、今回はネックが薄い為、念のために入れました。
トラスロッドを入れます。
次にヘッド表面に化粧板を貼りますが、ヘッドに貼る前に、あらかじめ、積層させた板を作っておきます。
(ついでにロッドカバー分も用意して接着しました)
接着剤を塗ります。おのおの積層して、がっちり接着しておきます。
表面にトラ杢のメイプル(マッチングカラーに塗装)その下にエボニー、さらにその下に紫の3枚。紫の下が、ネック材(マホガニー)になります。
打ち合わせで、「ヘッドにエボニーを貼ると、強度も音もイイ」と話しましたが、マッチングヘッドカラーをご希望なので、ボディと同じメイプルを表に貼る事になるのですが、よく考えたら、メイプルの下にエボニーをサンドイッチすれば両方解決することを思いつきました。
ネックをヘッドの形を大まかに切り出します。
接着剤を塗ります。
積層した板を、クランプでがっちり接着します。この作業をするといつも、エイリアンの幼虫が顔にひっついたシーンを思い出します。
乾燥後、キレイに整形すると、こんな感じになります。
トラスロッドを回す為の、メンテナンスハッチを開けます。トリマーという機械をセットします。
開けると、こんな感じです。
ペグの穴も、開けてしまいます。
キレイに真っ直ぐ並んで開きました。

ポジションマーク・ネック加工

ポジションマークはVita Guitala'sのオリジナルではなく、マーチンの1930年代くらいの物のレプリカです。 (最近のマーチンでも、高級機種はコレかもしれません)
今回のヘッドは、初期マーチンの「ヨハン・シュタウファー」ヘッドに似せているので、このマークなら、ギターの歴史的にもツジツマが合うと思いました。因みに、オッキオのボディのスクロールは1920年代くらまで作られていたギブソンのスタイル-Oをアレンジしてて、ボディのジャック部分は、ニューヨークのジャズギター個人作家「ディ・アンジェリコ」の「ティアドロップ」というギターの一部をアレンジしています。ボディ・トップの外周の凹みはモズライトのジャーマンカーブを参考にしています。
Vita Guitala'sは新しいデザインという位置づけですが、パーツ以外は、どっちかというとレトロ指向です。
メールにて打ち合わせしたダイヤ型のポジションマークを指板に置いてみたところです。
マークの厚さは約1.5ミリ。12フレット部分を拡大します。
24フレット部分の拡大。
位置を決めて、ポジションマーク型の穴を掘ります。
穴の深さは、ポジションマークの厚みより、ちょっと浅い(深さ1.35ミリくらい)かんじです。拡大鏡を着けて、だいたい機械で堀り、刃物で修正しつつ穴を掘ります。
大きなメーカーでは、レーザーとかの機械掘りですがVita Guitala'sではいつも、こうしています。
掘り終わって仮置きです。
指板と同じ色に調合したエポキシ接着剤を穴に充填し、がっちり接着し、1日以上放置します。
次に、指板とネックの接着。
ネック材と指板の、おのおのの中心をピッタリ合わせて接着。
ちなみにフェンダー初期「メイプル・ネック」はネック材に直接フレットを打ってしまい、ヘッドの板や、指板の接着も無ければ、塗装のマスキングもしない、という、…ギターを作るようになって、レオ・フェンダーさんの凄まじさを思い、あらためて尊敬してしまっています。ゼマイティスさんとフェンダーさんは対極ですが、私はお二人とも、とても尊敬しています。
グリップの粗削り。
木材は、…特にネックのような長物は、削ると反る事が多いのです。なので、一気に仕上げ寸法まで追い込まず、大まかに削ってからしばらく放置し、木の狂いが出きってから、仕上げ寸法に持って行きます。(大まかに削ったところ)
ホンデュラス・マホガニーは木の肌が特に美しく、カンナがけが楽しいです。

ボディ加工-1

バックのホンジュラスマホガニーを用意します。
最初に、ネックポケットのザグリをします。
コントロール・キャビティと、チャンバー(空洞部分)を掘ります。
掘り終わりました。
電動のノコギリでボディの形に切断します。
コントロールキャビティに台形のカタマリが残っていますが、次の、裏フタの穴あけできれいに抜けてしまいます。
キャビティ内に、外来ノイズを防止する為の導電塗料を塗ります。これは以前、機材スタッフさんにノイズの問い合わせをした件です。
チャンバー壁面には、ラッカーを塗布しておきます。
一晩置いて、ネックを仮組してみます。隙間なく、ネックとボディとの中心も合っています。
オッキオのネック×ボディの構造(断面)はネックを、トップ板の下まで噛みこませるようになっています。
なので、トップを接着する前に、ネックポケットを掘るようにしています。
トップのメイプルを用意し、切断します。切断位置は、先日HISASHIさんに型紙を使って選んで頂いた場所です。
トップとバックを並べるとこうなります。フロントピックアップの配線経路に、導電塗料が塗ってあります。トップの残りの面は、接着後に塗ります。
これらを接着。ボンドを出して、伸ばしてトップ、バックおのおのの中心線をぴったり合わせてクランプでがっちり押さえます。
真上から見るとこうなってます。
一晩置いてから外形を整形します。

ボディ加工-2

まずフロントピックアップの穴を開けます。
ネックが入るところにメイプルが残っているので、それを切断します。
きれいに整形すると、ネックが差し込める状態になります。
コントロール類の穴あけ。打ち合わせ通り、下側のスイッチ類はネック側に寄せました。
微調整された穴位置はとても良くて、今後、ピックガード付タイプのデフォルトにしたい感じです。
ネックを差し込めるようになって、ブリッジの正確な位置が決まり、それを基にリアPUの穴を掘りました。
ネック×ボディを止めるボルト穴をあけます。フェンダーが元祖の、一般的な「ネジ止め式」では「木ネジ」が使われていますが、Vita Guitala'sでは「ボルト・ナットの仕組み」で、組み込んでいます。
オッキオの場合、ボディ側にナットを埋め込みます。(埋め込む前の様子)
(埋め込んだ後の様子)
ボディ裏のカドをR(曲面)にして、バインディングの「貼りしろ(段差)」整形に進みます。
特に難しいのはスクロール部分。テンプレートを使って、外周の段差につながる溝を掘ります。同業者からは、「面倒くさくて自分では絶対にやりたくない」と無駄に称賛されています(苦笑)。
テンプレートを外すとこうなっていて・・外周にわたって貼ってあるバインディングを、ハメ込む事になります。
うずまきの頂点に石を埋める穴を掘り、石を仮に置いてみるとこんな感じです。
ジャックの穴あけ。ドリルに、こんな感じでボディをセットします。
ぐりぐり開けます。
ジャック・ソケットを仮置します。
ボディ裏のコンターカット。ざっくりとノコギリで切れ目を入れます。
ノミで叩いて飛ばしたり、
カンナなどで整形すると大まかに整形できます。

ボディ加工-3

平らなトップ板を、アーチ(山なり)にテンプレートを使い削り出します。
削っていくと・こうなって、テンプレートを外すとこうなります。
機械で、階段状というか、段々に削るのです。段の数だけ、テンプレートを差し換えて削って行きます(12段)。
大きな量産工場では、自動の大型加工機で、すごいスピードでしかも、もっと細かい段々にしてしまうようですが・・・
しかし、バイオリンやコントラバスも、こういうアーチになってて、機械の無い300年前でも作っていたので、それよりもずいぶん楽です。
その段々を、特殊な小さいカンナで崩して滑らかにしていきます。けっこう楽しい作業です。
段々を大まかに削り終わると・・・スクロールとツノの所は残っています。
その部分は、まるっきりフリーハンドの彫刻のノリで、ゴリゴリ削っていきます。
ツノの部分も小刀などでも、ガンガン削ります。
こんな方法なので、以前作ったモノとは多少の個体差があります。常に最新版がベストな曲面(形状)、というところを目指して仕上げます。
大まかに削り終わり、バインディングを貼れる状態になりました。

ボディ加工-4

バインディングを用意します。バインディングは木製なので、アイロンであらかじめ曲げておきます。
ちょっとづつ曲げては、スクロールの溝にハマるか外周の曲線に沿うか、接着剤を付けないで、確認していきます。外側のメインの素材、それに挟む、紫、白、黒の4枚をそろえます。
いよいよOKなら接着剤を4枚の両面に塗って付けていきます。
付けながら、輪ゴムでグリグリに拘束。
オッキオのボディには、カドがあるので、一気には接着できません。
1か所貼ったら乾燥させて切り、次のバインディングを貼る時にピッタリ接合させます。
レスポールなどは一気に外周を巻いてしまうのですが、なかなか進みません。
ボディ全周に接着すると、こんな感じで仕上がります。

塗装

ネックにフレットを打ち込むところ。各溝の長さに合わせてフレットを切って用意します。
24フレットから順に打ち込み。(12フレットまで打ったところ)
フレットは、ゼマイティス、ゾディアックJustice/Guiltyと同じサイズにしてあります。
ボディのスクロール・トップに、アメシストを埋め込み。アメシストは、打ち合わせ通りの向き(方向)で埋めました。
ボディを滑らかに仕上げて、塗装直前の様子。
アメシストはマスキングしてあります。
この状態で、バインディングなどにマスキングをして、着色の第一弾をやります。
このやり方は、先日お持ちしたカラーサンプル板を作った時と同じです。
「木地着色」というやり方で、木の木目(杢目)を際立たせる仕上げの時によく使われる方法です。
この材料、実際はバリバリのトラ杢です。(同時に、ネックのヘッドも同じように着色しました)
この着色の後、ボディ・トップ、ネックのヘッド部分は、次の着色の為の下地剤(透明)を8回ほど吹き付けました。
これは、元々は木の細かい凹凸を滑らかにする為の作業ですが、上記の着色と、この後の着色との間に、この下地剤の透明な部分を挟むことで、仕上がった色や木目の見え方に、奥行き・深みが出ます。
次に、ボディの裏、ネックのグリップ部分(マホガニー材の部分)の着色をしました。
こちらは木目の見えない(シースルーではない)塗りつぶしの黒ですが、前回の打ち合わせで決めた、紫色の「目止め材」をすり込むという工程を入れます。木が生きていた時に水や養分を運んでいた「導管(ストローみたいなもの)」に、「塗料の吸い込み止め」をすり込みます。
(マホガニーの場合、この導管が太いので必要ですが、メイプルの場合は導管が細いので、この作業は必要ありません。
すり込み作業は、写真のように、けっこう大胆にいきます。
で、キレイに拭き取るとこんな感じで、凹んだ部分(導管)にだけ、色が残ります。
「黒の塗りつぶし」ですが、微妙に木材感が出ています。(写真がうまく撮れてないので、わかりにくいですが・・・)また、少し離れて見ると、ほぼ真っ黒ボディに見えます。
ちなみに、ゼマイティスのマホガニー部分には、こげ茶色の目止め材が入っているようでした。一般的にレスポールなども、こげ茶色です。
次に、ボディ・トップ、ネック・ヘッドの第二弾の着色。
サンプル板で打ち合わせした通りの色、シースルーの深紫に、黒のバースト(帯)を吹き付けました。シースルーなのでトラ杢も見えます。
それから、クリアのラッカーを吹き重ね、最後のクリア吹き作業が終了しました。現在、乾燥中です。
ボディ・トップは、真正面から見ると黒帯の深紫に角度によって真っ黒に見えます。

組み込み完成!

ボディ・トップ、ヘッドの表裏を、細かい紙やすり(#1500)で磨き、さらにコンパウンドでピカピカにします。その後、ブリッジ・テールピースの穴をあけます。
コントロールのキャビティ内に、ノイズ遮断用の導電性塗料を塗ります。
ネックのフレットを「すり合わせ(高さを揃える作業)」をします。
ペグ装着。
ナットの溝切り。
配線。
ロッドカバー製作。
完成!
ピックアップのエスカッション、ピックガードをエボニーで自作したので、グッと締まった感じになっています。
ボリューム、トーンのツマミも打ち合わせ通り、頂上のボタンを自作しました。
ボディの色は、光の具合で、真っ黒にも紫にも見えます。光の反射具合によっては、こう見えます。
ボディの裏はブラックに、紫の目止め材。
ボディの表は、良く見るとメイプルの木目が透けて見えます。
ヘッドの表裏も、ボディと同時に同じ色で着色しています。

Occhio 022 HISASHI CUSTOM 仕様書

Neck Head Style 6-in-line Reverse"F" (Low-E short), Head (マッチングカラー)
Binding ×
Vita g Rogo Inlay White Pearl (白蝶貝貼り付け)
Veneer Curly Maple/Body-matching Headcolor (虎杢メイプル/ヘッドはマッチングカラー)
Rod Cover Ebony/Purple×White-Lime (エボニー/紫・白ツキ板)
Tuning Machine Steinberger Gearless Tuners Gold (スタインバーガー ゴールド)
Neck Style Mahogany/Maple original 5 piece spec (マホガニー/メイプル薄板ラミネート)
Neck Shape/Nut Width カスタム (ゼマイティス参照)
Fingerboard Fingerboard 25" Rosewood (PRSスケール ローズウッド)
Nut タスク 人工象牙
Position Mark Top: ダイヤ・マーチンタイプ / Side: φ2.5㎜ dot ホワイトパール
Fretwire 24F (フレットサイズはゼマイティス同等)
Binding Ebony/Purple-Lime (エボニー/紫ツキ板)
Body Top Wood Curly Maple (虎杢メイプル)
Back Wood Honduras Mahogany 2piece (ホンジュラスマホガニー)
Binding Wood (虎トチ/紫/白/黒 4プライ)
Scroll Top Eye Amethyst (アメシスト/紫水晶)
Rear Cover Plate Ebony (エボニー)
Pickguard Color/Materials Ebony (エボニー/白/紫/メイプル板)
Hardware Neck P.U. ダンカン アルニコII APH-1n (カバー無し)
Bridge P.U. ダンカン '59 SH-1b (4芯・カバー無し) 上下逆向き配置
Mounting Ring Ebony (エボニー) 底面に紫ツキ板
Electronics Control 1 Volume, 1 Tone, 3-Way Toggle SW (ゴールド), Mini SW Coil-Tap (ゴールド)
Control Knob/Color エボニーにポジションマーク (ダイヤ) 埋込みトップ/Black
Bridge/Color GOTOH Ti103B-T-GG/Gold (チューンO、チタンのコマ/ゴールド)
Tailpiece/Color GOTHO 510FA-GG Gold (ゴトーオリジナル/ゴールド)
Jack Color Gold (ゴールド)
Strap Button/Color Normal/Black (ノーマル/黒)
Finish Body Top Seethrough Deep Purple, Black Burst/Lacquer Polish (深紫、黒バースト/ラッカー磨き仕上)
Body Back Black/Lacquer Non-Polish (黒/ラッカー吹きっぱ・サンジングシーラー無)
Neck Black/Lacquer Non-Polish (黒/ラッカー吹きっぱ・サンジングシーラー無)
Note: ヘッド裏もメイプル貼り付け、マッチングカラー塗装。マホガニー部分はブラックで、紫のフィーラー刷込み (サンジングシーラー無しの極薄塗装)
Accessories Strings ghs 0.09~0.46
Case Hardshell Case
以上、Vita Guitala's Occhio 022 HISASHI CUSTOMの詳細な製作工程です。
GRANDEY&JungleではVita Guitala'sを展示開始致しました!珠玉のサウンドを是非お試し下さい。
また、Vita Guitala'sのオーダーも受付致します。見積もり無料!お問い合わせ下さい。

Occhio Version:022 HISASHI CUSTOM

Occhio Version:007 See-Through BlueburstSOLD!

Occhio Version:016 See-Through Redburst

お問い合わせ

池部楽器店 グランディ&ジャングル

tel.03-3464-2750

担当:稲澤(イナザワ)
grandey-jungle@ikebe.co.jp
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