Bob Taylor インタビュー!

協力 : ヤマハ ミュージック トレーディング (株)
インタビュアー (イケベスタッフ) : 池部楽器池袋店 峯田斉
イケベスタッフ: この度は、お時間を頂き、ありがとうございます。
まず始めに、日本に対するご感想や印象などございましたら、お聞かせ願えますか?
   
Bob Taylor: 日本は大好きですよ、日本食も好きですし!
来日するのは今回で4回目ですが、日本の方々には大変良くして頂いて感謝しています。もう、みんなファミリーのような感覚ですね(笑)!いつも思うのは、日本にはギターに対して真剣に取り組んでいるお店がとても多い事ですね。今回の来日でも何店かのショップを見てみたいと思っています。
 
「ハイエンドなクラスの中では40%ぐらいのシェアを占めています。」
 
イケベスタッフ:

アメリカでアコースティック販売の中で、Taylorギターの占めるシェアは非常に大きいと伺いましたが、どれ位の規模なのでしょう?

   
Bob Taylor: 私たちTaylorは、安めなモデルでは大きなシェアは有りませんが、ギターリストが求めているハイエンドなクラスの中では40%ぐらいのシェアを占めています。
Martinはミドルクラスでは高いシェアを占めていますね。なぜならDMシリーズなどの私たちが持っていないようなシリーズを持っているからです。このクラスでMartinは35%ぐらいのシェアを占めています。
   
イケベスタッフ: アメリカではどのようなユーザー層に受け入れられているのでしょうか?

   
Bob Taylor: Taylorのユーザーにはプロフェッショナルなプレイヤーや、いわゆるセミプロと呼ばれるような方々が中心になります。コレクターの方よりもプレイヤーの方が多いと思いますよ。もちろん中にはコレクターの方もいらっしゃいますが、その場合でも実際にプレイする方が多いですね。
嬉しい事に、ほとんどのユーザーの方は1本目にTaylorを購入した後、2本目もTaylorを手にしています。そしてその方々は友人たちとクラブや教会などで毎週演奏しているのですよ。プレイする事を楽しんでいるのでしょうね!

   
イケベスタッフ: ボブ テイラーさんはどんなアーティストや曲などに影響を受けましたか?またそれはギター製作を始めたきっかけになりましたか?

   
Bob Taylor: ジョン・フォガティーやニール・ヤング、イーグルスなど、まだ若い頃ですから70年代ですか、やはりこの頃の音楽は良く聞いていました。そんなジョン・フォガティーやニール・ヤング等の昔憧れていたミュージシャンが今ではテイラーを使ってくれているのですよ!今では友人関係にもありますし、ギターを造る励みにもなります。このような状況に非常に満足しています。
最近、私達のギターを使っている若手でジェイソン・ムラードというミュージシャンがいるのですが、アメリカでの人気が高まっており、最近はGAPのCMなどに出演しているのです。サンディエゴ出身の若干22歳で、ジャンルはジャズやロック、R&Bなどを融合させたいわゆるジャズロックと言うのでしょうか、新しいミュージックスタイルのシンガーソングライターです。このような若手のプレイヤーに使ってもらえるのも嬉しい事ですね!彼のプレイはTaylor(USAサイト)でも見ることが出来ますよ。ニューアルバムも素晴らしいですので、是非聞いて見て下さい。
   
「新しいデザインを考える時には頭の中にサウンドイメージを広げながら考えていくのです。」
   
イケベスタッフ グランド オーディトリウムなどの基本的なボディーシェイプはボブ テイラーさんがデザインしたのですか?またデザインを手掛ける時に気を付けている点などございますか?
   
Bob Taylor: グランドオーディトリアムは94年ごろに私がデザインしました。もう20年以上前あたりからプレイヤビリティーやサウンド、テンションなどを考えながらデザインするようにしています。新しいデザインを考える時には頭の中にサウンドイメージを広げながら考えていくのです。自分の中のイマジネーションを広げ、それを徐々に形にしていくのです。さらに重要な点はネック周りで、テンション感や演奏性を色々考えると最終的にはネックに行き着きますから、ネックの握り具合や弦高には気をつけて設計するようにしています。
また、近年では様々なコラボレートから産まれるデザインも有ります。T−5などの素晴らしいデザインもこうして産まれました。

   
イケベスタッフ: TaylorのPUシステムは、シンプルな操作性と革新的な手法でリアルなトーンが出力されると思うのですが、開発に至った経緯やこのシステムのポイントをお聞かせ下さい。
   
Bob Taylor: 幾つかのポイントが有りますが、まずピエゾの音に満足できないことが出発点でした。もちろんその時点で有る既存の上質なPUシステムの入手は容易でもあったのですが、自分のイマジネーションに合うシステムでは無かったのです。ですので、できるだけナチュラルなトーンで生音とAMPを通したサウンドの差を無くし、自然なサウンドを目指してピックアップの開発を始めました。この開発は始め5人のグループから始まりました。私ボブ・テイラーやデイビッド・ハスラーを筆頭に音響の世界では有名なルバート・ニーブ等の5人でスタートしました。
ただ、新しい可能性に挑戦するのは大変な事で、色々なパターンを試しながら試作を重ね、開発には非常に多くの時間と開発費が掛かりました。サウンドホールやネック、ストリングスと音が響くどの位置にPUを取り付けるのがベストなのか?サウンドホール内にマイクを入れてみるのはどうか?などを考えながら、生のサウンドタッチがそのままAMPから出力されるようなサウンドを求めたのです。例えるならばシンガーがマイクで歌った音がそのまま出力されるような、本当にナチュラルでパーフェクトな音が目標でした。
そして完成したのがTaylor Expression Systemです。
このシステムには2つのポイントがあります。
一つはもちろん、まったく新しい良いサウンドのシステムという事。
そしてもう一つは製品の質を高いレベルで保ち供給ができる、Taylor社のハイヤークウォリティーコントロールによって生産されている事です。
   
「ボルトオンジョイント技術の良さはアコースティックの世界でも受け入れられていると思います。」
   
イケベスタッフ 今現在では有る意味スタンダードになったボルトジョイント等の革新的な手法を、伝統的なイメージの強いアコースティックの製作に取り入れる時には、戸惑いや躊躇はございませんでしたか?

   
Bob Taylor: このボルトオンジョイントはTaylorギターを造り始めた30年前から採用している技術です。もちろん最初は心配もありました。しかし、私が最初に造ったボルトオンジョイントのギターは非常にタッチレスポンスに優れ繊細なニュアンスを引き出す事の出来るギターでした。しかもメンテナンス性に優れた構造でしたので、少しずつ改良を重ねていくうちにそのような心配は無くなってきました。
現在、このボルトオンジョイント技術の良さはアコースティックの世界でも受け入れられていると思います。このジョイント部には特殊な木製のシムブロックが入れられており、これを調整することでネックアングルを容易に変えることが出来るのです。それにより弦高の調整なども容易に行うことができます。また、長い年月が経った後の調整なども、他のジョイント方法よりも簡単に行うことができ、非常にタフなギターを製作することができるからです。

   
イケベスタッフ: Taylor工場を見学した色々な方のご意見を伺うと、工場で働く職人のケアが優れていると伺うのですが、この点はやはり昔から気をつけている点でもありますか?

   
Bob Taylor: 工場で働くスタッフは非常に大切に思っています。なぜなら、工場で働くスタッフがより良い環境で働ける事こそ良いギターを造る秘訣だからです。
工場内での作業する時の姿勢なども体調に影響しますので、作業台や工作機械もそのような事を考えながら配置したり設計したりします。また、カイロプラクティスの方にも週に数日来て頂いたりもしていますよ。Taylor社の一番の財産は従業員ですからね!
   
「まずは品質を上げる事です!」
 
イケベスタッフ: 製作本数の増加とクウォリティーの維持は、有る意味相反するところも有ると思うのですが、Taylor社ではどのような対処法を取っているのでしょうか?
   
Bob Taylor: まずは品質を上げる事です!それはギター自体の品質を上げる事はもちろん、工場内の作業工程の品質を上げる事も意味します。そのようにトータル的な品質が上がれば、必然的に生産本数も上がりますので、ある意味簡単な事なのです。
例を上げるとサイド板を曲げるベンディングマシーンでは、昔はシンプルな機械で曲げており、曲げ終わった材のサイドがささくれていたりすると、職人がスムーズに手直ししていたのです。しかし最新の機械ではサイド板を綺麗に仕上げる事ができるので、品質も生産スピードも上がる訳です。昔は10人で一日がかりの仕事だったのが、今では1人のスタッフが4時間ほどで仕上げるのですから。余分な手間を省く事が重要ですね。あと、スタッフの研修も大切です。効率的な研修を多く行う事で、スタッフの技術を向上する事も重要なポイントです。工場内のトータル的な品質を上げる、この簡単とも言える事を地道に行い続ける事が、製作本数の増加とクウォリティーの維持には重要なのです。
   
「複雑な理由により、上質な木材の確保は簡単でもあり大変でもあるのです。」
   
イケベスタッフ: 近年、木材の確保が難しいと言う話を良く聞きますが、Taylor社では如何でしょうか?
   
Bob Taylor: まず、近年でも上質な木材の確保はできると言う事は知っておいて下さい。ただ、複雑な理由により、上質な木材の確保は簡単でもあり大変でもあるのです。
確かに良質な材は年々少なくなっています。特に今、アメリカではギタービジネスが盛んになっている為に、ギター用の木材はその傾向が強いと思います。昔に比べて木材の製材方法も進歩していますので、今では製材時に無駄な部分が少なくなり、より多くの木材を取れるようになって木材を有効活用しております。それでも良質な木材は少なくなっておりますので、その結果、木材の値段が高騰しているのです。例えば、20年前には3ドルで買えたコアの木材が、現在同じ大きさの材を買おうと思えば75ドルにもなっています!このような理由で、木材の入手は簡単なのですが、非常に高くなっている為に大変なのです。
   
イケベスタッフ: 木材のストックやシーズニングなどはどのように行っているのでしょうか?
   
Bob Taylor: 木材は一杯持っていますよ!(笑)
基本的に木材は普通に大きな倉庫でストックをして、気候に合わせて質をキープしながら、古い物から順々に使っていきます。ただ、使い始める6ヶ月ぐらい前から、湿度と温度を一定に保った所にストックします。特に風を当てたり極端に乾燥させたりする訳ではなく、21度ぐらいの室温と47%ぐらいの湿度でストックしております。この数値は木材を扱う方なら誰でも知っているような一般的な事で、特別な事はしていません。安定した気候にとどめる事で木材自身を安定させる為です。

   

「レスポールでもない、ストラトでもない、
ましてや今までのTaylorギターにもない、全く新しいギターを造りたい!」

   
イケベスタッフ: 今年度発表されたT-5シリーズは斬新なギターでもあり、まだ戸惑っているユーザーも居ると思いますので、T-5ギターの製作コンセプトをお聞かせ下さい。
   
Bob Taylor: T-5を造るにあたって、初めに思い浮かんだイマジネーションは、色々な使い方ができるギターでした。次にエレキギターを弾いているのにボディーのバイブレーションが体で感じられるギターを想像しました。そして、レスポールでもない、ストラトでもない、ましてや今までのTaylorギターにもない、全く新しいギターを造りたい!という思いが強くなっていきました。そして試行錯誤を重ねて完成したのがT-5です!
このT-5は非常に多面的であるので一言で語るのは難しいですね。ミュージシャンからの言葉を借りると、先ほどの若手のジェイソン・ムラードなんかは、「何だこのギターは!まさに俺の為のギターじゃないか!」と言っていましたし、プリンスからもらったe-mailには「アコースティックもエレキも、この一本で何でもできちゃうね!」とありました。そんな多面性があり斬新なギターがT-5なのです。
   
イケベスタッフ: T-5を使用している有名なミュージシャンは?また、どのような演奏スタイルのミュージシャンに使用していただきたいですか?

   
Bob Taylor: さきほどのジェイソン・ムラードやプリンスももちろんですが、カントリースターのトビー・キース、デイブ・マシューズやトミー・ショウ、マンハッタン・トランスファーのウェイン・ジョンソンなど、ロックやジャズ、カントリーまで幅広いジャンルのミュージシャンが愛用しています。後はTaylorのWebサイトを見てくださいね!(笑)
今は製造が追いついていないのでミュージシャンに配る事はできないんですが、それでも使ってもらえるとは嬉しい事ですね!そんなミュージシャン達にどのように使ってなんて言えないな!プリンスはプリンスのやりたいようにとしか言えないしね!(笑) やっぱり、こんな使い方じゃないとダメなんて言えないよ!
   
「とにかく2006年はNEWシェイプが目玉ですね!」
   
イケベスタッフ: 今後のNewモデルや新開発しているものがございましたら、できる範囲でかまいませんので、お聞かせ頂けますか?

   
Bob Taylor: 今、新しいアコースティックのボディーシェイプを開発中です。来年のNAMMには発表できると思いますよ。どんなシェイプかと言えば、くびれが上がってボトムが大きい、ファットなミッドレンジとベースの効いたサウンドが特徴のギターですよ!年末ぐらいから話しだせる予定です。また、T-5のバリエーションモデルも考えている所です。まだ先の話になると思いますが、PUの違いを色々と試している所です。まずは、とにかく2006年はNEWシェイプが目玉ですね!
あと、エレクトリックな商品も色々と開発しています。AB-BoxやDI-Boxなどや、自分たちではステルスバージョンのプリアンプと言っているフットコントロールタイプのプリアンプなども開発中です。

   
イケベスタッフ: 最後に日本のTaylorファンに一言お願い致します!
   
Bob Taylor: まず、日本にTaylorギターが在ること事態に感謝しています。日本のギターリストは、ギターに対しての知識が深いですし、とても高いクウォリティーの製品を求めていますからね。日本のユーザーがTaylorギターを選んでくれ認めてくれる事は、とても誇りを感じます!これからも良いギターを造り続けるよう努力しますので、宜しくお願い致します!

   
イケベスタッフ: 本日は、ありがとうございました。
 

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