ビクター/JVC

オーディオに多少なりとも興味をお持ちの方であれば、『JVC』と聞いて『K2』というキーワード、そしてその『K2テクノロジー』による高品質CD『XRCD』フォーマットを思い浮かべる方も多い事でしょう。

アナログ時代からJVCの一貫したテーマでもある“原音探求”のキーワードの基、クラシック、JAZZを中心とする「名盤」を最上級のサウンド・クオリティーで提供するCDフォーマット『XRCD』。

そして、前回の「匠レポート」にご登場頂いたエンジニア/沢口真生(さわぐち・まさき)さんも以前から数々のJAZZの名盤達に『XRCD』で親しんでいらっしゃいました。

そして、沢口さんがプロデュースする『UNA MAS JAZZ』レーベルのCD第2弾が、沢口さんたっての強い希望により『XRCD』フォーマットでリリースされることとなりました。更に、『XRCD』の中でも、特に素材、作品クオリティーにより制作が限定されているハイグレード・フォーマット『XRCD24』でのリリースであるとのこと。
期待が高まります!

『XRCD』の制作を統括管理しているJVC/ビクタークリエイティブメディア株式会社。
『XRCD』の制作に当たっては、最高品位のデジタル伝送技術『K2テクノロジー』を駆使した最高品位のマスタリングが不可欠です。
今回の『UNA MAS JAZZ』のCD制作においても、JVC/ビクタークリエイティブメディア株式会社が有する『JVCマスタリングスタジオ』での“K2マスタリング”が施されます。

そして『UNA MAS JAZZ』第2弾CD用のマスタリングの際、プロデューサーとして沢口さんが立ち会う折、なんと、当店レコーディング機器担当:沼田も同行させて頂きました!


そして入り口正面に位置する、ゆったりとしたスペースが確保されたスタジオ、
横浜市神奈川区にあるJVC/日本ビクター株式会社、JVC/ビクタークリエイティブメディア株式会社の広大な敷地内。
いくつも立ち並ぶビルの一角、ここに日本有数のマスタリングスタジオ『JVCマスタリングセンター』への入り口があります。


日本屈指のマスタリング・エンジニア/小鐵 徹(こてつ・とおる)さんの専用スタジオです。

専門雑誌、web等をはじめとする各種メディア、そして数々のCD、レコード作品等にその名を刻まれている巨匠中の巨匠、小鐵さん。
今回、匠・沢口真生さんによるミックス音源に、何と、日本の誇るもうひとりの匠・小鐵 徹さんがマスタリングを施します!


まずは、小鐵さんのご紹介から。

時間のある時にはウォーキングを、日々の食事に関してもなるべく偏りの無い食事を心がけていらっしゃる小鐵さん。
「お客様に失礼の無い様」に、自分の“仕事道具”である「聴力」をいつでも平常に保ち、音に対する「集中力」を持続する為、小鐵さんは、日々、自らの健康に気を付けていらっしゃるのです。
それもそのはず、大作アルバムのマスタリングともなると、午後に始まる作業が深夜〜早朝にまで及び、実に半日以上、ひたすら音に集中し続けることも。
そして場合によっては、翌日、また別のアルバムのマスタリングが続くこともあるそうです。
聴力、集中力を要するマスタリング作業は、体力勝負でもあるのです。
そして、小鐵さんに30年近く連れ添っている愛用のモニタースピーカー『JBL 4331A』

「これは、もう私の“目”です。」

様々な最新モニタースピーカーもいろいろ試されていらっしゃるのですが、「自信を持って作り込んだ音をお客様に提示できる事が大切」とのこと、現在のところ、小鐵さんにとって、この慣れ親しんだJBLにかなう製品は無いようです。
「匠」の道具は、決してスペックでは無いのです。
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そして小鐵さんのもうひとつの無くてはならない仕事道具、『JVC Original“Kotetsu Special”コンソール』。

その名の通り、小鐵さんの描く理想のサウンドに調整されたEQ、フィルター、コンプ/リミッター群が、手の届く範囲内に整然とビルトインされています。

小鐵さんの手になじみ、使い込まれたフェーダー群。

このコンソールは、JVC社内の専門職人の方が、小鐵さんの希望を取り入れながら、時間をかけ、調整、カスタムメイドされた世界に2つと無い逸品です。

「こうした道具を作ることが出来る職人がそばにいる事が大切です。我々は恵まれています。」と小鐵さんは語ります。
一人の「匠」の仕事の影に、また一人の「匠」の仕事あり。
良質追求の連鎖がそこにあります。

小鐵さんのマスタリング調整の為のツールは、この“純アナログ”コンソールのみ。
この1枚のコンソールをもって、小鐵さんいわく「音のお化粧」 = 小鐵さんによる超一級のマスタリングの始まりです。

『Peak』上で再生される素材は、オリジナル・サウンドカードからAES/EBU経由で、「K2テクノロジー」機器群に伝送されます。
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今回、沢口さんが持ち込まれたマスター素材は、沢口さんによりMargingTechnology社『Pyramix』に24bit96kHz で録り込まれたトラックを同じく『Pyramix』内で24bit96kHzの2mixファイル化されたもの。
このマスター素材の再生奏置として使用されたのは、Apple社Macintosh内にインストールされたDAWソフトウェア『BIAS Peak』を中心としたシステム。

『Peak』自体にもマスタリング用エフェクトをはじめとするマスタリング用編集機能が搭載されているのですが、小鐵さんが『Peak』で行っていることは、曲頭と曲尾のタイム編集のみ。
そして『Peak』のインストールされたMacには、こちらもJVCオリジナルのサウンドカードが挿入されています。

“専用ルビジウム・クロック”により精緻なクロックを与えられたJVCカスタムメイドによる『K2 24bit DA』『K2 24bit AD』は、『BIAS Prak』と、アナログの『“Kotetsu Special”コンソール』、そしてデジタル・マスターレコーダー『SONY PCM-9000』をダイレクトに、高品位に橋渡しします。
「良い音は源(みなもと)から」と語る小鐵さん。

各機器には、それぞれ専用の“Sinano製電源整合機”が用意され、こちらも高品位な電源ケーブルで接続されています。
『Peak』へのファイル・コピーが終わったところで、早速、作業に入ります。
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少し作業が進んだところで、まずは1曲、『JBL 4331A』の前の特等席に座らせて頂き、試聴させて頂きます。

「今から3種類の素材をお聞かせしますので、お好きなものを選んでください」と小鐵さん。

「“A”を流します。」「続いて“B”流します。」「“C”を流します。」

再度“A,B,C”と聞かせて頂き、沢口さんが選んだ素材は“C”。

実は、何も手を加えていない素材でした。

“A”では柔らかめの、“B”では硬めのそれぞれ異なるトリートメントを施し、そちらに手を加えない素材を混ぜることで、お客様ごとの嗜好を測っていらっしゃるのでした。

今回、“素”の素材を選んだことで、マスタリングの方向もナチュラル志向に決定しました。

ここから本格的な「音のお化粧」に入ります。
物をいうのは「匠」の大切なツール、幾千もの楽曲をまとめ上げて来た「匠の耳」。
曲中、何度もじっと目を閉じ、もうとつの“目”となる愛機JBLからの音に耳を傾けます。

少しずつ、少しずつ、「匠」の目指す音像が形成されてゆきます。




音の響きにたおやかな抑揚、そして精細な彩りを加えるべく、もう一つの無くてはならない愛機「Kotetsuコンソール」に幾度も手が伸ばされ、微細なトリートメントが何度も加えられます。

「こういった感じでいかがでしょうか?」

再度、特等のリスニングポイントで試聴を終えた小鐵さんのお化粧が施されたサウンドに、プロデューサー沢口さんも大納得。

いよいよこのサウンドが、オリジナル・マスターとしてマスターレコーダー『PCM-9000』に記録されます。

「それでは」、とおもむろに席を立つ小鐵さん。


そして部屋中の灯りを消し始めます。

不要な電源は全て落とし、

「全ての電源を録音機器に集中させます。」

とは小鐵さんの弁。

「音の為に良いことは、全部取り入れてみます。」

と続ける小鐵さん。

名言です。



暗闇の中で進められるマスタリング・ダウン。

入念に注意を払われた電源が、プレイヤー、ミキサー、そしてレコーダーに集中します。
マスタリング・ダウンのフォーマットは24bit96kHz。

『K2マスタリング』の最大の要、マスター制作の瞬間です。
タイミングを何度か確認した後、手動でスタート・スイッチが押される録音機器群。
デジタル音声フォーマット技術の粋を行く技術、そしてその作業は意外にも「匠の手作業」で進められてゆくのです。
間違いの無い高品位を集約された“音”が、今、記録されてゆきます。
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手許灯りは懐中電灯です。

同様の作業をたっぷり5曲分、じっくりと時間をかけて小鐵さんにマスタリングされた珠玉の音作品達。

沢口さんと最終確認を終え、実に6時間以上をかけ、本日の全行程が終了しました。

「スタジオで録音された音のようでした。」と小鐵さんも沢口さんが録音/ミックスされた素材に驚嘆されていました。

最後に、今回の「色付けの無いお化粧」と称されたEQポイントをお伺いしたところ、

・ 19kHz +1dB
・ 1.7kHz +1dB
・ 1.2kHz +1dB
・ 75Hz +1dB
・ 50Hz +5dB
・ 25Hz -4dB

意外にも、上記の様な思いの他、多岐に渡るポイントが、細やかに、あるいは大胆に処理を施されていました。

上記EQと『Kotetsuコンソール』のナチュラルなリミッティング&コンプレッションにより、更なる艶とハリを与えられた『UNA MAS JAZZ』の極上素材。
CD化に向けた、最終マスターが完成しました。


今回、はからずも実現した、現代最高峰の「匠」と「匠」のコラボレーションに立ち会える機会。

取材を通して、お二人の「匠」に、音に対する取り組みの厳格さ、そして良質に対する飽くなき姿勢を共通して感じると共に、技術のみならず、人に、あるいは自分に対する“品格”を持って世に接していらっしゃる、そんなお二人の姿に、深い印象を受けました。

“音楽”の水準を高め、技を“音”として残す、二人の「匠」。
我々は、その“姿勢”にこそ、受け継いでゆく命題がある、と感じます。



今回収録のCD、大好評販売中!
UNA MAS JAZZ
『原 大力 & His Friends VOL.2 2008-0701』

featuring ユキアリマサトリオ 
(原 大力:drums ユキ アリマサ:piano 佐藤“ハチ”恭彦:bass )

税込販売価格 \3,465

録音、MIX:沢口真生
マスタリング:小鐵 徹(JVCマスタリングセンター)

Live BAR 『UNA MAS』にて繰り広げられる、一夜限りのインタープレイ。
今回紹介のエンジニア/沢口真生さんにより丁寧に記録された一期一会の瞬間の連なりの中から、選りすぐられた至極の「音」。
ミュージシャンの意思、音、そして聴衆の感覚が重なり、会場の空気が一体化するその奇跡的な瞬間を見事な臨場感で再現、圧倒的なサウンドクオリティーで聴く者にせまります。


沢口真生さん自らの手により「No Comp、No EQ」でMixされた録音芸術の極み。
更に、業界の重鎮、小鐵 徹氏によるマスタリングが施された本作は、最高品位のCDフォーマット「XRCD 24」にてリリース。

「音の匠」達の競演を、是非、ご自身の耳で!

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