新生スタジオ・モニタースピーカーPioneer RMシリーズ・インタビュー圧倒的スペックを産み出した開発者に訊く。

モニタリング・スタンダードの変革期を迎えた今、シーンに提示された“超新星”。
『Pioneer RMシリーズ』。

- アルミダイキャスト・ボディ。
- HSDOMトゥイーター搭載同軸ユニット。
- 50kHzに達する超高域再生能力。
- 独自の内部チューニングによる、定在波、共振音から解き放たれたクリアな再生音。

それは、日本の名門ブランドが挑んだ、“理想的再生”。
完成された、“パイオニア”の名を体現する革新のスタジオ・モニタリング・ギア。

数多の競合から一歩抜きん出た“性能”を実現させた、Pioneer DJ(株)開発・設計のキーマンに訊く。

●Pioneer RM-Series Interview
Pioneer DJ (株) / 三橋 孝
(株)池部楽器店 / 沼田 進

■同軸であること。

沼田:同軸ユニットは、私も昔からニアフィールド・モニタースピーカーのひとつのキーワードにしていまして、古くはTANNOY/タンノイ、そして現在主流となっているMusik Electronic Geithain(MEG)/ムジーク・エレクトロニック・ガイザイン等、いずれも高価な品が多く(笑)、そして、いずれも次なるスペックが望まれ始めている時期ではあります。

TANNOY Ellipse 10 ■TANNOY Ellipse 10
Musik Electronic Geithain RL904■Musik Electronic Geithain RL904

三橋:なるほど。

沼田:同軸に慣れると、2way、3wayに戻り難く(笑)ですので、多くの方々もポストTANNOY、ポストMEGの同軸モニターを望まれていらっしゃいます。 パイオニア RMシリーズは、そうしたタイミングでのリリースとなる訳ですが、同軸で行こうと決められたのはどの段階でしょう?

三橋:初期の段階です。ニアフィールド・モニターは、ユーザーさんが近い距離でお使いになるので、すべての音源が同じところから出る、出ないが重要になるのでは、と考え、距離を置いてリスニングするときはわずかな差異でも、近くなれば大きくなりますので、同軸で行こうと決めました。 もちろん、コスト的には不利になるので、簡単な選択ではありませんでした。周囲からも色々言われましたが、2wayじゃないな、って。

沼田:ちなみに今回のプロジェクトには、以前のTADモニタースピーカー(『TSM-2201-LR』 パッシブ型2wayモニタースピーカー)の開発に携わった方々は関わっていらっしゃるのですか?

■TAD TSM-2201-LR

三橋:現在は独立されているTAD出身のエンジニアさんにもご協力頂きました。

沼田:TAD『TSM-2201-LR』の時は、例えばウーハーコーン部の素材を紙とする事に拘っていたり、ボイスコイルに独特な技術が採用されていたりといった、TADブランドがプロ現場で培った技術をパイオニアさんがいかに小さくパッケージするか、という部分に注力されていたと思うのですね。ですので、今回のRMシリーズは、TADのそれと比べるとかなり異なるアプローチに感じられ、でも、それはそれで面白いと思った事も事実です。

■ウーハーユニット:アラミドと紙。

三橋:これは本当に初期でまだ決めていなかった段階の話ですが、ウーハーコーンの素材に関しては、紙だったらTADと同じオーブン製法で、新素材だったらアラミド繊維(ケブラー等)で行こうかと思っていました。まだ決めかねていた時の話ですね。 そして、今回のRMでは、かなり初期の段階から“現代性”をキーワードにしていました。それは、このRMシリーズはDAWを使っているホームスタジオを持つユーザーが対象であり、そうすると、例えばウーハーコーンの素材にしても、“紙は古臭い”という意見が販売店から出たこともありまして(笑)紙で突き詰めるTADのようなアプローチとは別のアプローチ、つまり、多くの他社さんでもやっている、カーボンやケブラー系の新しい素材を使う、という方向で行こうと決めました。

沼田:紙は見た目が古臭い、という部分はあるかもしれませんが、新素材に比べて弱点はあったのですか?

三橋:新素材と比べると、紙は剛性ができにくい、ということが挙げられますね。振動板は、「硬いこと」と「損失を持つこと」という、相反する2つの物性が必要なのです。

沼田:「硬いこと」はイメージし易いのですが、「損失を持つこと」とは?

三橋:はい。損失というのはロスですね。機械的なロスをもつこと。

沼田:制振に関わる部分ですね。以前、TADプロ『TSM-2201-LR』の時にお伺いしたのですが、紙は、“軽くできる”という事と、そして“止まりやすい”という事を開発の方がおっしゃっていたかと思うんです。“紙イズNO.1”ぐらいに言い切られていたので(笑)

TSM-2201

三橋:なるほど(笑)

沼田:ところが、今回のRMで、紙ではないアラミドを使っているので、あれ?この伝統の文化はどこに行ったんだろう、と個人的には思いました(笑)

三橋:あの~、アラミドを使っているのですが、実はこれ裏に紙を貼っています。

沼田:あ、じゃあ紙を使う文化は残っているのですね!

三橋:えぇ、残っています(笑)

沼田:なるほど!では、良い所取りというか・・・


三橋:そうです。剛性を出しつつも、損失を活かすような。

沼田:それで解決されたということですね。貼っているだけですか?アラミドと紙を混合した素材という所までは行っていないのですか?

三橋:それが出来れば、理想なんですけど、そこまではさすがに・・・。こうしたアラミド繊維材も素材としてシートでメーカーさんが作っているので、そこに「紙を入れてください」ということもなかなか(笑)実際に、「プリプレグ(prepreg)」と言う作り方、「損失を科学する」様な作り方はあり、最初はそれを試そうとしたのですけれど、それができるメーカーさんが無くなっていたりしていて・・・。 (※Pre-preg = “pre-impregnated” composit fibers / 炭素繊維、アラミド繊維等に、予め樹脂を含浸させて成形させる製法)

沼田:あぁー、そうなんですか。そうしたメーカーさんは、日本にあったのですか?それとも海外に?

三橋:日本のメーカーさんが海外でやっていたのですけれど、廃業されてしまったのですね・・・。

沼田:失われた技術なんですね。

三橋:そういうお話、色々ありますね。そして、我々は紙を貼ろうと。

沼田:他社さんで同様にアラミドをコーンに採用している所が何社かありますよね?表面上の見た目はほとんど一緒で。

三橋:一緒です。見た目は変わらないのですが、裏を見ると違いが分かります。

沼田:“裏に紙”という手法は他のメーカーさんも取られている手法なのですか?

三橋:裏に関しての処理は、色々ありますね。まったく気にしてないところもたくさんありますし、何かしら貼っているものも無い訳では無いです。 剛性と損失の話で、これはツィーターの振動板ですが、何十年も前に、パイオニアでダイヤモンド振動板というものを出したことがあるんです。ダイヤモンドといえば、単結晶の綺麗なものを思い浮かべられますが、多結晶体のものがありまして。表面はダイヤモンドなのですごく硬いのですが、結晶と結晶の間は弱い結合なので、そこでロスが生まれる。それが理想の振動板です。たった1世代だけ作りました。(『S-5000twin』)

沼田:なぜ、今は無くなったのですか?

三橋:コストがすごく高いんです(笑)加えて、材料メーカーさんの実験室で作ってもらっていたので、数も作れないという事もありました。最近ではB&Wさんが出していますけれど。

沼田:そうですね。そして、やはり高価です(笑)

三橋:うちのほうがよっぽど早くやっていて、そして誰も知らないうちに止めていた・・・(笑) あと、他社も採用しているベリリウムに関してもTADでずっと使っていましたね。

沼田:パイオニアさんは、昔から凄い技術をお持ちだったのですね!(笑)

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Pioneer Studio Monitrors
Active Reference Monitor Speakers RM-05, RM-07
50kHzに達する極めて高い高域特性を生み出す独創のツイーター。
TADの血統を受け継いだ新開発の同軸ユニット。
定在波の抑制コントロールを実現した、独自の内部アーキテクチュア。
高い剛性と回折ノイズへのアプローチを併せ持つ、アルミダイキャスト製ボディ。
細やかなウェイブ処理が施された、音離れの良い低域特性を実現するフロント・バスレフ。 日本の技術の粋が集結した、“攻め”と“守り”を兼備する、そのたたずまい。 全てのテクノロジーは、より正確なモニタリングの為に。

【周波数特性(-10 dB)】
RM-05 : 45 Hz~50 kHz
RM-07 : 40 Hz~50 kHz
【最大音圧レベル】
RM-05 : 104 dB SPL (ピーク時、1 m)
RM-07 : 109 dB SPL (ピーク時、1 m)
【クロスオーバー周波数】
RM-05 : 1.7 kHz
RM-07 : 1.6 kHz
【アンプ出力定格出力】
RM-05 : 100 W ABクラスバイアンプ (LF:50 W 、HF:50 W)
RM-07 : 150 W ABクラスバイアンプ (LF:100 W、HF:50 W)
【最大外形寸法(W×H×D)】
RM-05 : 203 mm x 281 mm x 225 mm
RM-07 : 244 mm x 337 mm x 260 mm

Pioneer RM-05 Pioneer RM-07
Reference Monitor Headphones HRM-7
精細な音情報。 より広い周波数特性。 当たり前に望まれる“モニタリング”性能を、圧倒的な高次元で実現させるその手腕。 更に。 耳あたりの良いサウンド。 絶妙な空間が確保されたイヤパッド形状。 量感あるハウジングを軽妙にホールドするヘッドバンド構造。 そして、軽量である事。 使い手になって初めて判る、この、数値にならない“性能”。 音楽制作環境の情報の向上、そして長時間に及ぶ作業のストレスの軽減の両立。 ここにも、パイオニアのブランド力が宿る。

Pioneer HRM-7
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