Toshinori Kondo / 近藤等則

エレクトリック・トランペット奏者。
日本国内のみならず、世界中に伝播する、その名前。
1978年、単身渡米、NYで活動。
1983年、Tibetan Blue Air Liquid Band = 後のIMAバンド結成。
1993年、アムステルダムへ活動拠点を移す。「地球を吹く」開始。
2012年、再び拠点を日本へ。

Bill Laswell / ビル・ラズウェル、John Zorn / ジョン・ゾーン、
Fred Frith / フレッド・フリス、Bill Frisell / ビル・フリーゼル、
Derek Bailey / デレク・ベイリー、Herbie Hancock / ハービー・ハンコック、
Jim O'Rourke / ジム・オルーク、山下洋輔、山木秀夫、Reck、
酒井泰三、富樫春生、渡辺香津美、高橋悠治、清水靖晃、
DJ Krush、アナーキー、布袋寅泰、大友良英、エレファントカシマシ、栄芝、中村達也、
DJ Sahib、SUGIZO、中里介山 etc.etc. その共演者リストの高い先鋭性。
一方で、ダライ・ラマ14世の依頼による音楽活動プロデュース、そして"地球を相手に吹く"、
ライフ・ワーク的活動まで、一見すると相反するかに見えるその幅広い活動歴。
その全てに一貫するのは、"未踏の領域"への飽くなき訴求。
そして、2015年秋、近藤等則が仕掛ける新たな音世界。

"3D"オーディオによるライブ・パフォーマンス。

11月28日、29日に開催された、"3D"音響ライブ初演。

この数年間、音の面から近藤等則を見つめてきた
(株)池部楽器店 パワーレック:沼田によるレポートでお届け致します!
行って参りました!

【3D Sound Installation Live by 近藤等則】~夢 宙 Dream Space

2015年11月28日、29日の両日行われた、かけはし芸術文化振興財団主催、
Red Bull Studio 東京 Hallでの"3D音響"ライブ・パフォーマンスです!
演ずるはこの方!

近藤等則さん!

今回のライブ・イベントには、様々な新たな試みが!
まずは、その"3Dサウンドシステム"!
その音響を集中制御する、こちらのシステム!
『Marging Technology Pyramix』をミックス・システムとした、3Dシステム!

バックアップ機もスタンバイされ、ズラリ並んだPyramixマシン&I/O!

コントローラーの『SMART AV TANGO 2』と、モニター上にPyramix!
そしてそのシステムを操る、DSP JAPAN代表:柳瀬智史さん!
その両手は、常時TANGOとマウスに!通常のPAオペレートでは、まず見ない図です(笑)
そして、用意されたアウトプット…
【フロント】に ・上下 ・左右 ・サブウーハー 計5本、
【リア】にも同じく ・上下 ・左右 ・サブウーハー 計5本、
総計10本のスピーカー群!
今回のスピーカーは…
日本上陸間もないUSの新進SRスピーカー・ブランド『VUE/ビュー』社の製品が並んでいました!
今回の3Dセッティングは、フロント、リア共に配置された上下の「上」がポイントになっており、Pyramix上の3Dパンナーでも「上下」軸のモニタリング/コントロールが可能となっています!
画像中の2つ並んだ四角枠、左側が一般的な上から見たサラウンド・パンナー、右側が横から見た上下軸を含んだパンナーです。
オペレートの柳瀬さん曰く、従来の環状サラウンド・スピーカー配置では、

「花火が下から上に上がっていく表現」

が困難であったところが、こちらのシステムでは表現出来る様になったと。
実際の近藤さんのパフォーマンスでも"上から音が降って来る"瞬間が多々あり、より立体になった音響を実感!
そして、リアのスピーカー群の中の「サブウーハー」の設置は、近藤さんの発案とのこと!
通常、フロント、あるいは任意の1ポイントのみの設置で完結するこの低域補完を背面にも配置するその試み、見事に的中!
座ったシートから来る重低音振動が"腰に"来ましたよ!(笑)

※画像はフロント設置のサブウーハー。
そして、更に!
ステージ、及び後部システム・オペレート席付近に配置されたこの電源装置!
Inter BEEでもブース展示されていた『ELIIY Power/エリーパワー』社のリチウムイオン電池!
1台あたり2.5kWhの容量を確保する蓄電システム『POWER YIILE PLUS』です!
2.5kWhの容量で、250W使用で約7時間、500Wで3時間強の電気供給が可能とのこと!
今回の『POWER YIILE PLUS』は、可搬稼動(キャスター付き!)サイズの蓄電システムですが、エリーパワー社は、ダイワ・ハウスに標準搭載(?)される住居用、更には施設、工場等の産業用に対応した大型蓄電システムもラインナップ!というか、むしろ、こちらがメイン(笑)

エリーパワー社の蓄電池は、大型リチウムイオン電池としては世界で初めて(!)、ドイツ「TUV」、米「UL」、2つの世界最高水準の安全基準をクリアしており、運用面でも極めて高い安全性を実現!
そんなスーパーな新世代蓄電池が大々的に使用された"クリーンな電源"環境も、今回の見どころ(聴きどころ)!
"3D"システムの使用は、本2015年7月頃から開始されたプロジェクトとのこと。
今回のライブ・イベントは、様々な人のご縁とタイミングが重なり、実現。
10本のスピーカーでのライブ、では、そのリハーサルは?
専修大学にて、実際にシステムを組んでの数度のセッションが行われたそうです。

前日入りでセッティングされ、当日も入念なセッティング、リハーサルが行われます。
そして、本番。
そのパフォーマンス。
客電が落ち、音が次第に会場の空間に満ちてきます。

音が漂い、浮遊する中、不意に轟く、近藤さんのからの一音。
音で満たされた客席の真ん中を突き抜ける、愛機『spiri daCarbo』(※1)からの一閃。
そして、"こだま"が、さざ波の様な残像として、あたり一面から届きます。
いつの間にかその音場に埋没し、近藤さんのエレクトリック・トランペットと対峙する自分。
周りの多くの観客も、目をつぶり、じっと音に耳をすませ、音のうねりに身をゆだねています。

このライブ、一言、"これまで体感した事の無い音場"でした!

映画館でのサラウンド音響、5.1chをはじめとするサラウンドシステム、先日のInter BEE 2015会場で体験した、次世代3Dサウンドシステムの試み。
これまで聴いて来た様々な立体音響は、"自然な音場の創出"がテーマとされて来ました。
もちろん、それは正解であり、まったくの正論。

では、今回のこのパフォーマンスは、一体何が違っていたのか?
それは、アーティストのみならず、オペレーター、そしてスタッフが一丸となって作り出した、"積極的な音場の使いこなし"。
包み込む音場、だけではない、アーティストが思い描く"意図"が反映された3D空間。
空から降りて来る音。
体に伝播する響き。
不意に背後から訪れる情報。
その全てに"意志"があり、聴く者の五感をダイレクトに刺激します。
演奏を終えた近藤さんがステージで語ります。
「20年間大自然を相手に吹いてきて(※2)、こうして人間の住む場所に再び戻ってきて演奏活動を始めた訳ですが、そうしたステージでライブをしても、どうもしっくりこない。
大自然の中だと、鳥のさえずりや川のせせらぎといった様々な音に360度サラウンドで囲まれている。
それが、ステージ横のスピーカーだけだと、どうも音が平面的になる。
これが何とかならないかなぁ、と考えていたところに、柳瀬さんの3Dサウンドシステムを知った。」

この10本のスピーカーでの3Dライブは、今回が初演とのこと。
そして、通常のホールとは異なり、比較的デッドに調音された今回のRed Bullイベント・スペース。
ゆえに、スピーカー・システムの素の鳴りがより良く確認できます。
そして、そのシステムの目的である、「前後・左右・上下」に拡散された3D音場は、初めの一音が鳴ったとたん、見事にそのスペースを埋め尽くしたのです。
360度の音響創出。
そして、更なる音響演出の創造。

新たな"ライブ・パフォーマンス"の誕生を目の当たりにしました。
ただし。
以下、今回見つかった課題:
  • スピーカーのサイズと会場の横広がりな独特な形から、会場の席の位置によっては、一部スピーカーの音がスポイルされ、完全な3Dの音像とはなりませんでした。
    こちらは、場所に応じたスピーカーの選定、あるいは、音を繋げる為の更なるスピーカーの配置の追い込みで改善されるのでは、とスピーカーに詳しい専門家とのお話し合いから。
    もちろん、それでも、今回のライブでの、会場の様々な場所に散開した、音のパフォーマンスの"新たなる"局面は、観客の皆さんに十分に伝わった事と思います。
  • 演奏上、近藤さんも、どの様に3Dの音をモニタリングすれば良いのか、まだ試行錯誤中のご様子。
    初日終わりのミーティングでも、翌日の公演時に、近藤さんの演奏位置を微妙にズラしてみるプランが出ていました。
    いっその事、演者さんのステージを会場のセンターに配置すれば?等の意見も。
  • そして、今回は、エフェクト音、バックトラック素材の一部は3Dパンニングされた"動き"を見せていましたが、近藤さんご本人の音は、まだ、(聴感上の観点から、今回はあえて)"動いていません"でした。
    もちろん、近藤さんは、今後、ご自身の音も動かしたいご希望、満々のご様子(笑)
    今後の更なるパフォーマンスに期待!
そして、話題はもうひとつ。
約1時間の本編終演後、ステージサイドの蓄電装置、
エリーパワー『POWER YIILE PLUS』をチェック。
その残量!
Yes、実用範囲!
今回は、商用電源からの充電でしたが、もちろん、太陽光発電装置からの充電も可能。
そしてその可搬性。
これまで、発電機に頼ってきた野外でのライブへの応用も想定できます!
発電機と比して、確実に「静か」な駆動音!
ステージ上での配置も問題ないので、広範囲な設置に対応出来そうです!

そして、理論上のクリーン電源の音への効用は?
近藤さんから「確実に音が良い」と太鼓判!
クリーンな高品位電源が求められるレコーディング環境への応用も見えて来ます!

この新世代・蓄電システム、ご興味のある方、ご一報を!

音、自然、環境。
様々な驚きと発見、そして未来へ繋がる道が見えた、とてもとても有意義なイベントでした!
今後も是非、続けて頂きたいプロジェクトです!
※1
『spiri daCarbo Vario』:30年近く使い続けた先代機を継ぎ、2014年よりメイン機として、近藤さんの様々なパフォーマンスを支えている、カーボンファイバー採用、スイス・メイドのニュータイプ・トランペット。
(株)池部楽器店 トランペットステーションのスタッフ:林に訊きました!
TS林:カーボン製のベルを採用したこのトランペットのサウンドの特徴は、普通の金管ベルのトランペットよりも中低域で太い音が鳴ってくれます。 加えて、近藤さんは、浅めのマウスピースをご利用で、浅いマウスピースですと、通常、高域が「キンッ」となりやすいんですね。それが、このカーボン製のベルだとカーボンの効果で「キンッ」が和らぐんです。実際、近藤さんもその点を非常に喜ばれていました。近藤さんと共演された方からも「中低域がベルベットみたいなしっとりした音になった。」との評を頂きました。
あと、カーボン製のベルという事で、ベル材がしっかりしていますから、遠鳴りがイインです。やはり、トランペットは音を遠くまで届ける楽器ですから。
画像は、スタッフ:林の個人所有、近藤さんと同型モデル機!
実際に、パワーレック店頭で吹いてもらいました!
なるほど、「キンッ」が少なく、ボディのしっかりした独特なサウンドです!
なかなか国内に入って来ない稀少モデル。
気になる方はトランペットステーションにお問い合わせを!

トランペットステーション
tel.03-3780-8155
trumpet_station@ikebe.co.jp
※2
「地球を吹く」プロジェクト。その模様は、映画「地球を吹く IN JAPAN」で見ることが出来る他、一部音源は、TOSHINORI KONDO RECORDINGSで販売されています。http://tkrecordings.com/
2013年「地球を吹く in Japan」LIVE & 映画上映 フライヤー掲載文より

「ネーチャンからネーチャー」へ、「子宮を吹くから地球を吹く」へ、音楽活動の次元を変えてから20年経ちました。
人間同士のコミュニケーションツールだけに成り下がった20世紀の音楽を、原点に立ち戻らせたかったのです。「はじめに言葉ありき」と言った聖書のように、人間が発するサウンドの大本を探り当てたかったのです。

都市の人工空間の中でしか音楽は花開かないのか、人に向けてしか音楽は表現されないのか。
1993年12月イスラエル・ネゲブ砂漠で演奏したのを皮切りに、 ペルー・アンデス山脈、ヒマラヤ・ラダック、沖縄・久高島、アラスカ・マッキンレー、バリ島・アグン山……………と、世界の大自然の中でエレクトリックトランペットで即興演奏してきました。
「人が聴いてくれないようなところで演奏してどうするんだ」と仲間のミュージシャンからも冷やかされました。人工空間の中でのコンビニな生き方よりも、大自然の中でのネーキッドないのちの方がどんだけ気持ちイイか、もっと試す必要がありました。

2007年夏から、「地球を吹くin Japan」を始めました。
2011年秋までかけて、日本列島の四季を三廻り吹いて廻りました。
日本の四季は地球の呼吸です。日本の四季が日本人の力の源です。日本の四季こそ日本人のインスピレーションの源です。日本の四季と感応しあう感覚・生活を我々日本人が今こそ取り戻さなければ。そして日本の四季の素晴らしさを世界に見せたい。地球に生きる喜びを共に分かち合いたい。Nature-Spirit-Technologyの三位一体こそ21世紀の表現ではないか。

2011年3月11日の東日本大震災も体験しながら、映画「地球を吹くin Japan」を完成させました。
ほとんどの映画は人間がかいたシナリオで、人間が主人公です。
でもこの映画は日本列島の四季がかいたシナリオで、日本の自然が主人公です。我々人間は地球に寄生させてもらってるだけなのですから。
自然といのちと音の響命、がこの映画の主題です。
地元の自然の中でのライブと共に、映画「地球を吹く in Japan」をお楽しみください。
世界の人間社会を覆う難題は、自然という変数をどう扱っていいか分からないから解けないだけなのかもしれないのです。
Fuck & Free, あるいはHere & Smileへ。

2013・9 近藤等則

今回の近藤さん機材セット

上段:
・BOSS SY-300 ギターシンセサイザー
・BOSS RC-30 ルーパー
・Eventide SPACE リバーブ
・Line 6 ECHO PRO ディレイ
フットボード:
・RMC Picture Wah ワウ
・Fulltone OCD ディストーション
・Ibanez AF-9 オートフィルター
・Lehle Julian ブーストEQ
・digitech Whammy 4 ワーミー
マイクは、近藤さん考案のマウスピース・ソケットに仕込まれた『DPA 4060』。
ラック内に、レコーダー『KORG MR2000S』も入っていましたが、今回は電源が入っていませんでした(笑)
『Lehle Julian』は、使い易さで最近気に入って頂いている機種。EQ的にご利用中とのこと。
ワウは、前回のレポートよりも一部入れ替わっていますね。
そして、『BOSS SY-300』 も早速ご利用中!

それにしても、常にシステムの更新が行われているところが流石です!
Toshinori Kondo / 近藤等則 official web site | http://www.toshinorikondo.com/
TOSHINORI KONDO RECORDINGS | http://tkrecordings.com/
お問い合わせ

トランペットのお問い合わせは、

tel.03-3780-8155
trumpet_station@ikebe.co.jp
■店舗詳細ページ

ギターエフェクターのお問い合わせは、

tel.03-5459-6550
amp_station@ikebe.co.jp
■店舗詳細ページ

Pyramix、マイク、スピーカー、電源装置、
レコーダーのお問い合わせは、

tel.03-5456-8809
power_rec@ikebe.co.jp
■店舗詳細ページ