T's Guitarsロゴ

80年代以降、伝統的なギターとは一線を画すような華やかで美しい杢目、アクティブピックアップなどの新機能の採用、そして非常に高精度かつ安定性に優れたカスタムメイドギターがスタジオミュージシャン達を中心に人気を博すこととなりました。外注による半加工済みのボディやネックを厳選し高精度な組込みを行うその製作スタイルから「コンポーネントギター」と呼ばれ、超一流のプレイヤー達が手にし残した名演は数え切れません。
多くのギタリストにとっては憧れの一本となり、現在も製作スタイルにかかわらずハイエンドなカスタムメイドギター全般の代名詞として今も使われております。
そしてここ日本にも「コンポーネントギター」と呼ぶに相応しいまさにハイエンドなカスタムギターを製作するブランドがあります。
それは長野県中央部、諏訪湖のほど近くに位置する塩尻市に工房を構えるT's Guitars
その名を知る人はまだあまり多くはないながら鋭い感性を持ったギタリストの間で近年急速に知れ渡り、当店でも随一の人気を誇るカスタムギターブランドです。
その生産本数は非常に少なく、市場へも多くは出回らないため「幻のブランド」とも言えるこのT's Guitarsの秘密に迫りたいと思います。


高橋 謙次氏
高橋 謙次氏

about T's Guitars

1987年に創業し2011年には25周年を迎えたT's Guitarsですが、その生い立ちを語るにはさらにもう少し歴史を遡る必要があります。
T's Guitarsにおいてエレキギター製作のまさにキーマンであるマスタービルダー高橋 謙次氏は学生時代にプロギタリストを目指していましたが、ギターという道具に魅せられ、長野県内のギターメーカーに一時在籍。
その際に得たギター製作に関する知識をもとに楽器店に勤務し、リペアやメンテナンスを行うこととなります。

そこで才能を遺憾なく発揮する氏の元に届いた、アメリカ西海岸に位置する老舗ギターメーカーのスタッフ募集のチャンス。
そこでの仕事は主に検品やそれに伴うメンテナンスでしたが自らのステップアップのためにこれを逃さず単身渡米した氏は、まさに本場ならではのリペア技術、メンテナンスなどのノウハウと共にその空気や風土を感じとり、感覚の鋭敏さやセンスをも身に付けるに至るのでした。
やがて帰国した氏は1985年から単身でギター工房を開設していた兄の信次氏と合流を果たし、遂にT's Guitarsが誕生することとなりました。


近隣の楽器店からの依頼でリペアやギター製作を行う傍ら、そこに出入りするメーカースタッフなどから口コミが広まり、大手ブランドからOEM製作の依頼を受けるようになります。
バブル期の好景気による量産機の受注が時代とともに減っていく業界内でもその高い実力を買われプロトタイプや契約アーティストに向けたワンオフモデルの製作依頼を託されるカスタムギター工房としての業務が主となりました。現在も名は明かせないながら国内外の一流ブランドからハイエンドモデルの製作依頼が舞い込む、実は業界内では非常に有名なカスタムギター工房、それがT's Guitarsなのです。

工房
工房
工房1
工房
工房2
工房
工房3

工房
工房4
工房
工房5
工房
工房6
工房
工房7

国内では殆ど知られていなかった、理想的なチューニング理念であるBuzz Feiten Tuning Systemの噂を聞きつけ強い興味を抱いた高橋氏は2003年に再び単身渡米、発案者であるBuzz Feitten氏に直接師事し国内で最初のレベル2レトロフィッター(組込技術者)「トレイナー」資格を受け、T's GuitarsはB.F.T.S.社に全ての弦楽器にB.F.T.S.の組み込みを行うことを許された、世界でも数少ない公認ワークショップとなりました。 また、日本のみならず世界各地のウッドサプライヤーへもその厳しい目を向け、入手困難な銘木を絶えずストックするべく供給ルートを確保しており、 2011年には創立25周年を記念するスペシャルスペックのアニバーサリーモデルが発表され非常に好評を博し、ますます勢いを増すT's Guitars
今後も目が離せない日本を代表するコンポーネントブランドとして成長を続けていくことでしょう。

極上材
極上材
極上材ストック1
極上材
極上材ストック2
極上材
極上材3


Buzz Feiten Tuning System搭載の証
Buzz Feiten Tuning System搭載の証。

Buzz Feiten Tuning System

国内でも指折りのレトロフィッター、高橋 謙次氏がマスタービルダーを務めるT's Guitarsではその作品の殆どにBuzz Feiten Tuning System(以下BFTS)が採用されております。
超一流ミュージシャン達にもこぞって採用され、高い評価を得ております。

当店でも今なお多数のお問い合わせを頂くこのBFTSとは?
フレットの間隔は、,その楽器の弦長に対して平均律に基づき決められ非常に正確に打たれておりますが、押弦の際に弦高の分だけ「チョーキング」され、ピッチが上がってしまいます。このために殆どのエレキギターで可動式のブリッジサドルにて各弦ごとに弦長を補正(によるフレット位置の移動)できるようになっています。
ですが、このオクターブ調整と呼ばれる補正もナットに対してフレットが等間隔であることや弦のゲージや張力の違いからなるピッチの上がり幅が異なること、また押弦されていない開放弦とのピッチのずれにより実際には和音が乱れ、不安定な揺らぎが発生してしまいます。
ギターでポジションを問わず美しい和音を響かせることの難しさが長年に渡りギタリストや製作家の悩みの種となっていたのです。

自らもラーセン・フェイトンバンドなどで活躍し辣腕プレイヤーであるバズ・フェイトン氏はこの和音の不整合に着目し、非常に体感しにくく違和感を感じることのない4度・5度・オクターブ音を僅かにずらすことで人間が最も敏感となる3度・6度のシャープを抑えるという聴感上の特性を利用した補正の度合いを公式化し、0フレット位置およびオクターブ調整による補正を行うと同時に、僅かな補正値を加えたチューニングを施すことでどのポジションにおいても整合間のある揺らぎのない和音を実現する画期的なチューニング方であるBFTSとしてまとめ上げました。
実際にこのBFTSがインストールされたギターを手にコードを鳴らしてみると、和音の不整合についてよく引き合いに出る「Aは合うのにDは合わない」という現象がなくなりポジションを選ばずに整合性のある美しい響きを堪能していただけることでしょう。
平均率による数値上のチューニングではなく人間が最も美しいと感じる和音の響きに着目したチューニング補正、これがBFTSなのです。


シェルフ・ナット
シェルフ・ナット
指板に乗る部分の厚みで0フレット位置補正を行うシェルフ・ナット
ちなみに、専用チューナーを用いず通常のチューナーで調弦した場合も完全ではないながらその恩恵に与ることができ、何ら不具合をもたらすことなく演奏していただくことが可能です。
大掛かりなシステムを想像させる名を持ち、ギタリストが演奏に集中できるための僅かな加工ながら、非常に大きな効果を得ることができる「工夫」でしかない点もまた魅力のひとつと言えるでしょう。
ちなみに、多くのT’s Guitars製品にこのBFTSがインストールされておりますが、トラッドなスタイルのSTタイプなどに搭載されないケースもしばしば見受けられます。「ヴィンテージライクなサウンドメイクなどにおいてはコードトーンに揺らぎがあった方がサウンドに雰囲気が出ることもある。コードの整合性が全てではないと考えています。」とは高橋氏の弁。
まさに適材適所にそのスキルを振るう、超一流の実力が垣間見えます。

ヘッドストック
特徴的なヘッドストック

主軸モデルのDST & ARC

T’s Guitarsのラインナップは決してバリエーション豊かではありません。
年間製作本数の少なさなども影響しているかと思いますが、裏を返せば限られた時間の中で高いクオリティの維持が優先されているということに他なりません。
そしてそれは製作者が最も自信のあるモデルを送り出すことのプライドの表れと言えるでしょう。
いくつかのスタイルの中でもT’s Guitarsの人気の双璧を成すのは伝統的ボルトオンネックジョイントのDSTシリーズ、そしてセットネック・アーチトップスタイルのARCシリーズです。DSTは氏がかつて憧れた西海岸系カスタムギターブランドを意識した、コンポーネントスタイルを彷彿させる先鋭的な仕様に纏め上げられているまさに「仕事道具」
対するは美しいアーチを描くボディが印象的なARC。芳醇な生鳴りを生む精緻かつ計算された作り込み、そして演奏時の収まりの良いデザインで特に近年絶大な人気を誇っております。 対照的なスタイルの二機種ではありますが、いずれもT’sイズムとも言える洗練されたデザインと練り上げられた演奏感、そして何よりもそれぞれのサウンドがクオリティを雄弁に物語ります。 また、日本のみならず世界各地のウッドサプライヤーへもその厳しい目を向け入手困難な銘木の供給ルートを確保しており、スタンダードなアルダー・アッシュなどのプレーン材から5Aクラスのキルテッドメイプルや「エキゾチック」グレードのフレイムメイプルをはじめとする銘木から、ハワイアンコアやスポルテッドメイプルなどの希少材まで、プレイヤーの期待に応えるストックを揃えております。
各部の画像を交え対比にてご紹介いたします。 随所に職人の技が光るそのこだわりをご覧下さい。


工房
DSTヘッド
DSTヘッド
ARCヘッド
ARCヘッド


ヘッド

ナット部に不要なテンションを掛けない浅めのヘッド角度により「弦が振動したいように振動させる」絶妙なテンション感を実現。


DST指板
DST指板
ARC指板
ARC指板

指板

各モデルに合わせた絶妙な指板ラディアスにミディアムハイのフレットが抜群の演奏感を約束。エッジ処理の滑らかさは言うまでもありません。

DSTネックジョイント
DSTネックジョイント
ARCネックジョイント
ARCネックジョイント


ネックジョイント
ボルトオン・セットネックを問わずヒールカット形状の工夫により強度の安定感と振動の伝達を向上し高い演奏性と一体感に溢れた生鳴りを生んでいます。


DSTピックアップ
DSTピックアップ
ARCピックアップ
ARCピックアップ

 

ピックアップ
T’sオリジナルのみならず一本一本の個性に合わせて選択され、サウンドへの貪欲までの追及が垣間見えます。


DSTボディ
DSTボディ
ARCボディ
ARCボディ
ボディ形状
バランスに優れたディンキーサイズのDSTボディ、美しく削り出されたアーチトップのARC。対照的ながらいずれもT’sイズムを体現する完成度を誇ります。



プレミアムギターズ入口
プレミアムギターズ

後記。


カスタムグレードのOEM製作で鍛えられた手腕が存分に発揮された実力派、T’s Guitars。
さりげないクオリティを追求しながらも奇を衒うことなく纏め上げられており、スペックの追求よりもサウンドに重きを置いたその姿勢に職人魂を感じさせられます。

派手さよりもひたむきさを、そしてブランドよりもクオリティを重視する方にオススメしたい逸品達。
ご興味をお持ちの方はぜひプレミアムギターズまでご相談下さい。