鍵盤堂独占インタビュー! 『”Vアコーディオンの産みの親”ルイジ・ブルーティ氏、大いに語る!』
アコーディオン界に一石を投じた、革命的デジタル楽器『Vアコーディオン』の開発責任者ルイジ・ブルーティ氏が本場イタリアより来日。鍵盤堂へお越し頂きました!自らも屈指のアコーディオン・プレイヤーであり、稀代のデジタル製品開発者でもある氏に、『V-アコーディオン』を開発するに至った経緯、その魅力を存分に語って頂きました。

ワールドチャンプ獲得、その後・・・
鍵盤堂(以下K): まず、ルイジさんがアコーディオンを始めたきっかけを教えてください。
ルイジ(以下L): 初めてアコーディオンに触れたのは、私が6歳のときです。
祖母が私にアコーディオンを始めるよう、強く勧めてくれたのです。
まもなく私はその魅力に取り付かれ、めきめきと上達していきました。
(K): そしてそのままアコーディオン・プレイヤーの道に進まれたのですね?
(L): はい。1974年にアコーディオンの学校を卒業したあと、数々のコンテストに参加しました。
1976年にはイタリア国内でのチャンピオンになり、翌77年には何と、ワールドチャンピオンになることができました。
しかし、それから間もなく、私はアコーディオンを弾くのを止めてしまったのです。
(K): ワールドチャンプ!アコーディオン世界一って事ですよね。素晴らしい!
・・・しかし何故、そんな輝かしい経歴にも関わらず、アコーディオンから遠ざかってしまったのでしょうか?
(L): まず、イタリアに限らず、世界的にアコーディオンのブームが去ってしまったという事が理由に挙げられます。
アコーディオンを使った音楽は、クラシックや民族音楽など、オールドファッションなものばかりであり、そうした曲を演奏しても、何というか「ダサい」とみなされてしまう風潮になってきたのです。
(L): また、バンドなどに入って演奏しようにも、マイキングに伴うハウリングや音量不足などの問題は多く、また音色のバリエーションがなかなか得られないことも重なって、私の興味は次第にシンセサイザーに移っていきました。こうしてその後しばらくの間、私はピアノやオルガン、シンセサイザーなどを演奏するキーボーディストとして活動していました。
(K): なるほど。しかし、そうした方面に進んだからこそ、電子楽器業界との接点が生まれたのですね。
(L): そうです。その後私は、『SIEL(シール)』というイタリアの電子楽器メーカーに就職し、シンセサイザーのデザインを担当していました。その後、その会社は『Roland Europe』となり、日本とは別の、イタリア独自企画の製品設計に携わっていくのです。1988年のことでした。
(K): ここでローランドのスタッフとしてのキャリアが始まるのですね。最初に手がけたのはどんな製品だったのでしょう?
(L): ローランド初のアレンジャー・キーボード(自動伴奏機能付きキーボード)、E-20という製品です。日本では馴染みの薄いジャンルの製品ですが、イタリアをはじめヨーロッパでは非常にポピュラーな存在で、現在もローランドからは欧米向に様々なアレンジャー・キーボードが生産されているのですよ。


Vアコーディオンの開発経緯
(K): いよいよ本題に入らせてください。
デジタル・アコーディオン、つまり『V-アコーディオン』のプロジェクトは、いつ頃から始まったのでしょうか?
(L): 遠ざかっていたとはいえ、アコーディオンという楽器は自分にとっての原点であり、いつかまた戻って来たいと思っていたものでもありました。ローランドの梯(かけはし)会長(現、特別顧問)とも、アコーディオンをデジタルで再現したいと言う点で意気投合し、1996年にデジタル・アコーディオンのプロジェクトが立ち上げられました。折りしも、イタリアをはじめヨーロッパではアコーディオンの再評価の機運が高まっており、様々な分野で活躍するアコーディオン・プレイヤーも出現し、若者にとってアコーディオンは再び「カッコいい楽器」になってきていたのです。
ビョークとのツアーで一躍有名になった、素晴らしい日本人アーティスト、cobaの存在も大きいですね。
しかし、当時の技術では私たちが理想とするアコーディオンを生み出すことが困難であるということが判明したのです。十分な技術を蓄積し、プロジェクトが本格的に動き始めるには、2001年まで待たなければなりませんでした。
(K): 最初から高い目標を掲げていたわけですね。
しかし、これまでにデジタル・アコーディオンやライン出力付きのアコーディオンは存在しなかったのでしょうか?
(L): そうした製品は、これまでにも存在しなかったわけではありません。しかし、通常のアコーディオンにただマイクを取り付けただけのハウリングに弱い製品だったり、音源をそのままオルガンのような分周回路に置き換えた結果、昔のコンボオルガンの様な、およそアコーディオンとは似ても似つかない音色だったり、ベローズ(蛇腹)のレスポンスも正確ではなかったりと、それは酷いもので、そのまま市場からもフェードアウトしていったのです。
私たちとしては、絶対にそんな製品を出すわけにはいかないのです。
(K): なるほど。では、一番こだわった部分、一番技術的に難しかった部分はどこだったのでしょうか?
(L): まず、アコーディオンは「単体の楽器」として完結していなければならないと考えました。
電子楽器の様に、電源コードと音声ケーブルを引っ張り、外部のスピーカーから音を出していては、歩き回りながら演奏することなんてできません。バッテリーでの駆動と、十分な駆動時間の確保、そして十分な音量のアンプとスピーカーを内蔵することは開発において何よりも重視しました。アコーディオンはベース(左手のボタン部)とトレブル(右手の鍵盤部)それぞれから音が出ていますが、音とはリードの振動でもある訳でして、その振動が抱えた胸に伝わってくることが非常に大事なのです。これは、スピーカーを内蔵しなければ実現できないものなのです。
技術的には、ベローズのフィーリングとプレッシャーセンサー(ベローズの動き=空気の流れを感知するセンサー)の開発がいちばん苦労しました。本物のアコーディオンと変わらない抵抗感や強弱のニュアンスを再現するために、非常に多くの時間を掛けて試行錯誤したのです。その成果は、『Vアコーディオン』を弾いていただければ納得していただけると思います。

”デジタル”によって得られた恩恵
『FR-7 RED』 : 【自分のスタイルに合わせた設定へ、細部に至るまでカスタマイズ出来る41鍵120ベースのフラッグシップモデル『FR-7』。25W×2のスピーカーにより、アコースティックに迫る迫力の演奏を可能にします。】

↑【マウスカーソルを合わせますとアコーディオンの
蛇腹が伸びる様子がご覧頂けます。】
(K): 『Vアコーディオン』の初代モデルであり、フラッグシップ機である『FR-7』は2004年のフランクフルト・ムジークメッセで大々的に発表されました。世界で唯一のデジタル・アコーディオンとして、当初から大きな注目を浴びたのは記憶に新しいところです。
私もメッセのブースで熱心に試奏する来場者が絶えないのを見て、ヨーロッパの層の厚さを実感しました。『Vアコーディオン』がこれほど歓迎された理由、デジタル・アコーディオンならではの利点について教えていただけますか?
(L): まず第一に、誰でも手軽に様々な音色で演奏できることです。アコースティックなアコーディオンは、非常に複雑で繊細なメカニズムを持った楽器であり、その製造やコンディションの維持にも大きな手間を必要とします。
アコーディオンといっても地方によってその音色やボタンの配列などに多くのバリエーションがあり、それらの音楽を厳密な意味で本来の音色で演奏するためにはジャンルに合わせて持ち替えなければならず、金銭的、物理的な負担や奏法の違いによる演奏上の負担も無視できません。この結果、これまでは音色に妥協して中庸的な楽器を使用するしかなかったわけですが、デジタル楽器である『Vアコーディオン』を使えばイタリアの伝統的なサウンド、幻想的なフランスのミュゼット・トーン、牧歌的なドイツ風、アルゼンチンタンゴで有名なバンドネオンなど、高度なモデリングにより再現された様々な国のアコーディオンの音色をスイッチ一つで切り替え、演奏できるのです。

第二に、音量を自在にコントロールできることが挙げられます。外部への音を完全にミュートして、ヘッドフォンで音を聴いて練習することができますし、適度な音量に調節して家の中で演奏すれば、隣の部屋からの苦情の心配もありません。また、ライン出力からPAやアンプに接続すれば、ハウリングの心配をすることもなく大音量での演奏が可能になります。トランスミッターを使えば、客席の中を歩き回りながらコンサートもできますね。いわゆるバンドの中でも、他のパートに埋もれずに演奏できるのは、『Vアコーディオン』ならではの魅力といえるでしょう。

第三に、アコーディオンの奏法で、他の楽器の演奏ができるのも魅力です。アコーディオンの左手のボタンは、指一本で様々なコードが演奏できる上に、すぐ近くのボタンでベース音を弾くことができます。このため、ピアノやオルガンなどの鍵盤楽器よりもはるかに簡単にコードバッキングを演奏することができるのです。この機能で、たとえばウッドベースとオルガンの音をアサインすれば、本格的なジャズが演奏できます。またベローズによる音量コントロールはフルートやサックスなどの管楽器、ヴァイオリンなどの弦楽器の生き生きとしたニュアンスの再現にも非常に適しており、クラシック音楽においても驚くべき表現力を持っています。

アレンジャー・キーボードの原点、アコーディオン
(K): 生楽器だと妥協せざるを得なかったよりオリジナルに忠実な音色を『Vアコーディオン』ならば1台で網羅できてしまう訳ですね!
また「簡単に伴奏が弾ける」という点で、先ほどお話いただいたアレンジャー・キーボードとの接点も見えてきました。
(L): そうです!左手の指1本でコードを演奏して、右手でメロディを弾く、といったアレンジャー・キーボードの原点は、オルガンやピアノではなく、むしろアコーディオンがルーツなのです。イタリアでは教育用の楽器として、昔からアコーディオンに慣れ親しんできました。アコーディオンを40台ほど使った「アコーディオン・オーケストラ」もポピュラーな存在です。そうした土壌があるから、イタリアはアレンジャー・キーボードに人気があるのです。

(K): やはりそうだったのですか。話をアコーディオンに戻します。
日本では昨年ラインナップに加わった「ボタン式」アコーディオン。我々日本人にとっては、全く馴染みがなく、得体の知れない(笑)楽器なのですが、ヨーロッパではどんな存在なのでしょうか?
(L): ボタン式のアコーディオンは、もともとフランスが発祥の地とされており(ピアノ鍵盤タイプのルーツはイタリア)、意外かもしれませんが、これからアコーディオンを始めるという若者がボタン式、ピアノ鍵盤式を選ぶ比率は50:50くらいなのです。
(K): えっ?そんなに多いのですか?
ボタン式はこれまでの楽器の技術が通用しない様に見えるのですが、何がメリットなのでしょう?
(L): 難しいのは実は最初だけで、慣れてしまえば実はボタン式の方がテクニカルなパッセージの演奏は簡単なのです。
たとえば、1オクターブ以上の音域にわたるフレーズを弾く場合、ピアノ鍵盤では指を一杯に開いたり、腕を大きく移動させなくてはいけませんが、ボタン式は音域が密集しているため、少ない移動距離で幅広い音域のフレーズを弾くことができるのです。
また、白鍵と黒鍵の区別が無いため、同じ運指で移調が簡単にできるのです。特に、歌の伴奏では非常に便利ですよね。
あと、何よりその外観が「ユニーク」なことも大事です(笑)
『FR-3sb WH』 : 【鍵盤タイプとは印象が大きく異なるボタン式アコーディオン。高級感溢れる外装。存在感を際立たせるホワイトカラー。ボタン式ならではの機能性と美しさが融合した1台。】
(K): (笑)ユニーク!!確かにそれは大事です!機能性にも優れ、見た目にも凄いインパクト。
これは僕ら好みな楽器ですよ!展示品、注文します(笑)!
(L): ありがとうございます(笑)。
(※その後まもなく、鍵盤堂にボタン式Vアコーディオン『FR-3sb WH』展示機が導入されました。店頭にて、是非、御試奏下さい!)
(K): ボタン式のアコーディオン・プレイヤーでは、どんな方が有名ですか?
(L): 『Vアコーディオン』のデモンストレーションもお願いしている、Ludovic Beier氏はフランス人のジャズ・アコーディオニストとして大変有名です。美しいミュゼット・トーンで奏でられるジャズは一聴の価値がありますよ!
他にも、面白いところでは『ホワイトスネイク』の前座もつとめたアコーディオン3人組『FRATRES』。
ギターレスのバンドでアコーディオン3人(!)でハードロックを演奏していたりします。
他にも、様々なジャンルで幅広い層のプレイヤーがヨーロッパでは活躍しています。
(K): 最後に、日本のどんな人たちに『Vアコーディオン』を弾いて欲しいと思いますか?
(L): 私たちがターゲットとしているユーザー層は、大きく分けて2種類あります。まず、ヨーロッパ各地の伝統音楽を演奏する、トラディショナルなプレイヤーです。
『Vアコーディオン』は、ボタンを押して音色を切り替えるだけで、花の都パリ・セーヌ川の畔、焼け付くような南米の日差し、のどかなイタリアの田舎町など、様々な場所に連れて行ってくれます。
↑【マウスカーソルを合わせますとアコーディオンの
蛇腹が伸びる様子がご覧頂けます。】
(L): もう一つは、新しい音楽を創造し、バンドで演奏するキーボード・プレイヤーです。要塞のような大掛かりなセットを組んだ上に、ヴォーカルやギタリストが飛び回るのを指をくわえて見ている必要はありません。
アコーディオンを抱えて、ステージのフロントに降り立ってみましょう!
(K): (笑)まったく同感です!今日はとても有意義なお話が伺えました。どうもありがとうございました!


■Roland V-Accordion シリーズ
FR-3s WH(White)
イケべ特価\SOLD
鮮烈なパールホワイトのボディ。
アクセントを加える赤の配色。
より存在感をアピールするワンランク上の仕上がり。
FR-3s
税込販売価格 \SOLD
スピーカー付きでは最軽量。わずか8.3kgのボディに
無限の可能性を秘めた最新機種。
120ベースでしか味わえない世界がある。
FR-7 GREY
イケべ特価\SOLD
この価格で最高峰を手に。
合計50ワット/4ヶのスピーカーから流れる音は、
デジタルの域を超えた表現を可能にした。
FR-7 RED
税込販売価格 \SOLD
鮮烈な赤を胸に抱え、演奏は熱くなる。
V-アコーディオンのイメージを象徴するパッション・
レッドがステージに、ストリートに映える。
FR-3sb WH(White)
イケべ特価\SOLD
アコーディオンならではの特権、「ボタン式」。
調性(キー)に捕らわれずに指がメカニカルに走る。
本場欧州で過半数を占める理由は、
弾くほどに身に染みてくる。

Roland Vアコーディオンのお問い合わせは
鍵盤堂
tel/03-5728-6941
担当:アベ
e-mail:kenbando@ikebe.co.jp
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