~Analog-Digital Crossover Synthesizer~
Roland JD-XA開発の舞台裏に迫る!




先日の新製品発表会にて、国内で初お披露目されたローランドの最新シンセサイザー「JD-XA」。
アナログ×デジタルのクロスオーバーシンセである点、その名前からJD-Xiとの関連がイメージされますが、実際は全く別設計のシンセサイザーなのだとか。
今回はキーボーディスト/シンセサイザー・プレイヤー的な立場、そしてアナログシンセという観点からこのシンセサイザーを掘り下げてみるべく、JD-XAを生み出した第一開発部 製品リーダーの山里尚和氏、プロモーション担当石井宏平氏のお二人にお話をお伺いしました!


鍵盤堂(以下鍵):今日はよろしくお願いします!今回の新製品であるJD-XA、まず現在発売中のJD-Xiとの関係性をまずは教えて頂けますか?

Roland石井氏(以下石):コンセプト、ターゲット、全てにおいて全く違う製品となります。JD-Xiは「非キーボーディスト向け」、DJやトラックメイカーをターゲットとした製品であり、ローランドでは初のミニ鍵盤搭載シンセサイザーとなりました。パネル上でコントロールできるパラメーターもあえて限定しており、誰でも簡単に判り易い効果が得られる製品となっています。

対してJD-XAは既にシンセサイザーのサウンド、操作を理解しているキーボーディスト向けの製品です。ヴィンテージアナログシンセを熟知しているベテランは勿論、例えばGAIAの操作に慣れ親しんだ方なら違和感なくステップアップできるレイアウトを持っています。GAIAを数年使って、次のステップに進みたいという人にもぜひ触ってみてもらいたいですね。


鍵:ピッチベンド&モジュレーションもローランド伝統のレバー式とホイール式両方が用意されていますね。

Roland山里氏(以下山):レバーとホイール、それぞれじゃないと出来ない奏法がありますからね。あと、このレバー周辺のコントロール。ポルタメントやオクターブ/トランスポーズ等をこの位置に纏めたインターフェイスは好評を頂いております。


鍵:プレイヤーにとって、こうしたリアルタイムコントロール関係の位置や感触は大切ですもんね。そして、これだけのスペックのシンセとしては(手に取って)軽い!



山:ええ、約6.5kgしかありません。とにかく、軽さは大事です。ローディーさんが居るプロの方にとっても、軽い方が絶対に良いでしょう、と。

鍵:ですね。で、この軽さ、このデザインでこの音。良い意味で期待を裏切られてビックリします(笑)。
石:(笑)ええ、既に有名なキーボーディストの方々に先行して使って頂いているのですが、この見た目と出てくる音のギャップに少々混乱している、という意見も頂いておりまして・・・(汗

鍵:そうそう。何というか、絵に描いたようにデジタルな外観なのに、ちゃんとアナログの音がするんですよね。
石:これまでは、「ローランドのシンセって、あと一歩、ここがもうちょっと○○だったらねぇ・・・」的な意見を頂くことが多かったのですが、今回はそうした部分を徹底的に潰していきました。まず聴いて頂きたいのが、このLFOです。

(Pitch Modulationデプスを上げて)LFOのレートを上げていくと・・・


(12時辺りの位置で)今まではこれ位が上限でしたが、今回は(グイっと上げる)


鍵:おお!FM(※1)的なトコまで行きますねぇ。周波数レンジは最高でどれ位ですか?
山:上限は150Hz位、可聴帯域まで行ってますね。もっと上げることも出来るんですが、この上はもう余り変化がありませんから。

鍵:なるほど。アナログモジュラーシンセでFM掛ける感じに近い感じですね!
山:ええ、メモリー付きのアナログシンセで、ここまでのスピードと滑らかさでモジュレーションできる製品は無いと思います。Jupiter-8(※2)だって、ここまで速くはありませんでした。

鍵:と、いう事は、LFOはアナログではなく?
山:デジタルです。アナログ回路のLFOでは、なかなかこれだけのワイドレンジで安定して発振させるのは難しいですから。多くのアナログシンセではLFOやエンベのレンジ切り替えスイッチがありますよね。JD-XAではレンジ切り替えの必要なく、超低速からオーディオ周波数まで一気に変化させられます。


音源チップ&2基の自社製DSP(※3)が搭載された緑色のデジタル基板


鍵:低速域での変化も非常に滑らかですし、コントロール系統に関してはデジタルならではの安定感を活かしている訳ですね。
山:ええ。同様に、エンベロープ・ジェネレーターもデジタルです。

鍵:JD-XAを弾いてまず感じたのが、エンベロープの速さでした。
アタックをゼロにした時の立ち上がりのスピード感、ディケイを絞った時のパツパツ感がちゃんと出てるんですよね!大音量だとスピーカー壊しそうな、危険な匂いのするあの感じ(笑)

山:ここは一番時間を掛けてこだわった部分です。昔は処理速度の問題で実現できなかったんですよね。

鍵:しかも、よく聴くとアタック時の「パツッ」というインパルス成分が一定じゃないんですよね。常に発振しているオシレーターを切り出すタイミングによりアタックが変化する感じ、アナログ音源で鳴らすキックとサンプル音源で鳴らすキックの一番の違いだと思ってます。

石:そうですね。試しに同じセッティングをデジタルパートの方で試してみると・・・
鍵:おお。ディケイ:0近辺の反応が全然違う。 しかもアタックのインパルス音が、アナログパート程バラついていないですね。コレでも今までのアナログモデリングシンセとしてはスピード感ある方だと思いますが、こうして比べてみると・・・

山、石、鍵:全然違いますね。


石:そしていよいよ・・・
鍵:フィルター行きましょうフィルター(笑)。このフィルター、凄く攻めてますよね。



R:ええ、順を追って説明していきますね。JD-XAに搭載されているアナログフィルターは3系統ありまして、LPF1がローランド伝統の、素直な特性を持つ4Pole(※4)のローパスフィルターです。

鍵:お馴染みの、扱いやすいフィルターですね。レゾナンスの発振も素直で、思ったとおりに反応してくれる印象です。


山:次に、トランジスタ・ラダー(※5)タイプのLPF2。同じく4Poleのローパスフィルターですが、もちろんあの・・・
鍵:みんな大好き(笑)Moogフィルターですね。ブリッとした感じ、よく特徴が出ています。そして何と言ってもビックリしたのが・・・
山:ええ、完全新設計のフィルター3(LPF3/HPF/BPF)です。2Poleのマルチモードフィルターで、ローパス/ハイパス/バンドパスの切り替えが可能です。

鍵:これ、レゾナンスがもの凄く特徴的ですよね。12時の位置辺りまではLPF1に近い素直な感じなんですが、発振させるレンジまでレゾナンスを上げていくと物凄い暴れ方をしてビックリしました。これ、ノイズモジュレーション的な細工をしてるんですか?
山:いいえ、普通のフィルター回路です(笑)。

鍵:じゃあ、レゾナンスのフィードバックレベル(※6)をア○みたいに高くして突っ込んだりとか?
山:いえ、元々は意図してやったんじゃないんです。入力信号に反応してカットオフが動いちゃってるんですよね(笑)

鍵:ていうか、こんな暴れん坊のじゃじゃ馬フィルター、よくこのまま製品化しましたよね(笑)
山:ちゃんとしたフィルターが2基用意されている分、3つ目は攻めることができました。実はというか予想通りというか、このフィルターはちょっとしたミスでこんな動きをしちゃったんですよね。担当エンジニアが「すぐ修正しますっ!」と言ったのを、私が「いや、面白いからこのままで行こう!」と押し留めて詰めていったんです。

鍵:まるでどこかのガレージメーカーの開発秘話を聞いてる感じになってきました(笑)。


山:アナログ回路って、こうした予測不能な部分が大切だと思ってます。アナログならではの動きといえば・・・(4パートのアナログをユニゾンさせて、全てに同じLFOによるピッチモジュレーションを掛ける)
鍵:おぉぉ!ズレてるズレてる(笑)。
山:それぞれのパートのモジュレーションソースに対しての反応が、微妙に揃ってないんですよね。ちょっとディレイが掛かったような、不思議な効果が生まれます。

石:そして、コレが何時も起きるとは限らないんですよ(笑)。新製品発表会の
時は割と揃っちゃってました。
鍵:温まってくると抵抗値も変わってきますからね・・・。この不確定要素、正真正銘の
アナログシンセです(笑)


石:同じく、ユニゾンでポルタメントを掛けても・・・
鍵:ズレてるズレてる(笑)。良いですね、この感じ!
山:結局、揃わないんです。
石:逆に100%の再現性が要求されるようなシビアな現場では、デジタルパートを使うという選択肢が用意されている訳でして。
鍵:デジタルパートにはお馴染みの波形がズラリと入ってますね。
山:"Super-SAW"はもちろん、各種PCM波形も一通り入っているので、極端な話コレ1台をバンドに持っていってもある程度は対応できるハズです。
石:ジョン・ロードのオルガン(※7)だって入ってますからね(笑)
鍵:ホントだ(笑)。一応ピアノも・・・
石:ピアノはあえてJD-800のアレ(※8)だけとしました。
鍵:アレですね(笑)。このアタック感、一気に90年代にタイムスリップします(笑)
石:もちろん、こうしたデジタルパートはアナログパートとミックスして使うことができるので、アタック成分を足してみたり、隠し味程度に薄く重ねてみたりと、アナログシンセメインの音作りでも色々活用できると思います。


山:あと、ライブ向きといえば、マイクレベル対応の外部入力も用意されています。JD-Xi相当のボコーダーが搭載されているのは勿論、外部入力専用のリバーブも搭載されていたりするので、JD-XA一台で弾き語りなんて事も可能なんです。実際にやる人が居るかは置いといて(笑)
鍵:何て先回りした細かい配慮・・・!勿論、ラインレベルの信号を突っ込んでフィルターに送って、という事も・・・
山:フィルターセクションに「MIC」という入力が立ち上がってますから直ぐに使えます。もちろんラインレベルの信号にも対応しますが、入力レベルの設定によっては・・・
鍵:いい感じに歪みますね(笑)。
石:同様に、デジタルパートからフィルターに送るレベルコントロールもあえて高めのゲインに設計してあるので、レベルを高めにすると歪みます。これまでは最大値でも歪まないように設計していたのですが、そうすると音色によっては聴感上の音量が小さくなりすぎて扱いにくくなっちゃうんです。
山:歪ませたくなければレベルを絞れば良い、という事ですね。レベルが足りないものを大きくするのは大変ですが、大きいものを小さくするのは簡単ですから。
鍵:ここ、大事ですよね。何だか色々懸念してた部分が全て先回りされてちゃんと対策されているというか・・・(笑)
石:(笑)徹底的にやりましたからね。リアパネルにも、AD/DA(※9)を一切通さない「ANALOG DRY」出力なんて付けちゃいましたから。


鍵:ついつい聞き比べたくなっちゃいますね。実際、どうですか?
山:それなりの環境で、それなりの音量で比較してちょっと違うかな?程度の違いです。搭載されているAD/DAの質も非常に高いですから、通常のオーディオ出力のサウンドだって充分良い音ですよ。

石:純粋にアナログだけの出力なので、もちろんデジタルパートを使う時は音が出ませんし、エフェクトも効かない、マスターボリュームも効かないです。多分現場で使うことは殆ど無いかと思うのですが、そこは、まぁ・・・


鍵:マニアにはこういう部分は嬉しいですよ(笑)。あと、最近はCV/GATE(※10)の出力が当たり前のように付いてきますね。
山:ユーロラックをはじめ、CV/GATE入出力を持つ機材が盛り上がってますからね。DAWとのインターフェイスとしても使える設計です。
鍵:ゲート信号の仕様は?
山:+5V固定です。あくまで最近のユーロラック等のシステムとの連携用として考えているので、+10V以上の高い電圧やSトリガー(※11)採用のヴィンテージ機器のコントロールは想定していません。
鍵:なるほど。あと、このクリック出力も面白いですね。
山:ここからは本体のクロック信号に合わせてクリック音が常時出力されています。
鍵:モジュラーシステムのクロック入力に入れても引っ掛かりそうですね。アイディア次第で色々使えそうな面白い機能です。
石:使い勝手という点では、派手なイルミネーションが特徴的なこのパネルも、セクション毎に点灯/消灯が簡単に設定できるんですよ。更に、ステージで操作する部分だけ、任意のコントローラーのみを設定させることも出来るんです。


鍵:これは判り易くて良いですね。この設定はパッチ単位で?
山:いえ、システムに16セットまで保存できる構造です。
鍵:パッチ単位でイルミネーション設定できるとライブでの使い勝手が更に上がりそうですね。こうした部分はシステムのアップデートで対応できるのですか?
山:技術的には可能です。要望が多ければアップデートで実現するかもしれません。システムの更新はUSBメモリ経由です。
石:あ、ついつい当たり前すぎて説明するのを忘れちゃうんですが、4パートのアナログシンセは4音ポリでも演奏できます。あと、もちろんベロシティも効きます(笑)


アナログ回路は赤い基板。それぞれが1台分のモノシンセとして機能する、4系統の音源回路が並んでいるのが判ります。


鍵:ついついアナログシンセだとモノシンセで考えちゃう部分ありますからね(笑)。フラッグシップのポリシンセとしては、個人的には8音ポリ、せめて5音ポリが欲しいところだったりするのですが・・・。
石:よく皆様に言われる「フラッグシップ」なんですが、実はJD-XAに関しては私達としてはフラッグシップだと思っていないんです。あくまでやりたい事を追及した一台のシンセサイザーに過ぎない訳でして。
鍵:あ、失礼しました(笑)。と、いう事はこのJD-XAの売れ行き次第で8音ポリ&61鍵(76鍵?)のスーパーシンセの登場も期待しちゃって良いですか?
石:可能性としてはあります。作りたいですね!
鍵:期待してます!・・・それにしても、AIRAのACBテクノロジー(※12)がフィーチャーされている中で、よくアナログ音源、しかもこんな攻めたシンセの企画が通りましたね・・・!


Roland 「AIRA」シリーズ(外部サイトへジャンプします。)


山:よくご存知で(汗)。実際、大変でした。やはりローランドという会社はデジタル、モデリングのイメージが社内でも根強く、先ほど申し上げたようなアナログ回路の利点を根気良くプレゼンし、説得していった訳ですよ。もちろんACBはACBのメリットや面白さがあり、そこは対立するものではありません。それぞれ適材適所、という事ですね。アナログ技術とさらなるデジタル技術の追求を行っているといったメーカーイメージも作れたらとも思っています。

石:昨今様々なメーカーがアナログシンセをリリースしている状況も大きいですね。「ローランドにアナログは無理じゃないのか?」という世間のイメージを払拭し、「ローランドだってアナログの技術がある」ことを示したかったという意地もあります。加えて、かつてJUPTER-8の開発のキーパーソンであるエンジニアが今年の3月で定年を迎えることもきっかけの一つでした。昨年暮れの段階で、このタイミングを逃すと当時のアナログ回路のノウハウが失われてしまう恐れがあったのです。
鍵:よくぞ動いてくれました!
山:プロトタイプの段階から、製品について色々と貴重なアドバイスを受け、開発に活かしていきました。ギリギリ間に合った・・・と言いつつも本人は引き続き浜松に住んでおり、「いつでも相談しに来てよ」と言われてるんですけどね(笑)
鍵:それはそれで心強いですね(笑)。サウンド、方向性は全く異なる新しい製品ながら、名機JUPITER-8のデザインだけでなく、アナログ回路のDNAが受け継がれた製品が世に出た事、本当に嬉しく思います。是非、このJD-XAを皮切りに、ローランドならではのアナログ回路をフィーチャーした製品が広がっていくことを期待しています。今日は本当にありがとうございました!





如何でしたか?開発者の意気込みとこだわり、伝わったでしょうか。
アナログならではの細かな振る舞いや特徴の数々は、実際に操作して体感してみないと理解しにくい部分も多々あるかと思います。とにかく、オシレーターの発振音、フィルターの動き、その他諸々、本物のアナログの音を存分にお楽しみ頂ける製品です。その上で、斬新なデザインとデジタルならではのメリットが織り込まれた、使い込んで非常に面白い楽器に仕上がっております。JD-XAは、これからのローランドの方向性の舵を大きく切った記念碑的作品になるのではないでしょうか!?

Roland JD-XAは7月発売予定、ご期待下さい!


Roland JD-XA」好評発売中!



お問い合わせ
池部楽器店 鍵盤堂
03-5728-6941
kenbando@ikebe.co.jp



(※1)FM:Frequency Modulation(周波数変調)・・・音として聞こえる速さ(オーディオ周波数)の信号でピッチ等のパラメーターを揺さぶることで、元の信号には無い攻撃的な倍音成分を生み出すシンセサイズ方式。ヤマハDX7等のFM音源に代表される、金属的な倍音が特徴的。ちなみにFMラジオの「FM」も同じ原理です。

(※2)Jupiter-8:1980年に発売された、ローランド最高峰のアナログポリシンセ。8基のモノシンセを内蔵し、8ボイスポリでの演奏やレイヤー/スプリットに対応、64音色のメモリーを搭載するなど、当時としては圧倒的なスペックを誇った名機です。近年、そのデザインを受け継ぎ圧巻のライブパフォーマンス性能を実現したフラッグシップ機Jupiter-80/50が発売されています。

(※3)DSP:Digital Signal Processor:デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサ。特定の演算処理を高速に行なうことを目的に作られており、アナログモデリングシンセやデジタルエフェクトのオーディオ信号処理を担当する心臓部です。ちなみに、楽器はレスポンスの速さが何より大事。汎用のDSPにとって、楽器に求められるスピードは相当特殊であるため、ローランドでは低レイテンシーを実現する、楽器専用DSPを自社開発しています。

(※4)4Pole:フィルターのカットオフカーブの角度を示します。数字が高くなる程フィルターの「キレ」が良いと解釈できます。1Poleが6dB/Oct.のカーブとなります。ローパス/ハイパスが4Pole(24dB/Oct.)、バンドパスフィルターが高/低それぞれ2Pole(12dB/Oct.)のカーブを持っているのが一般的。TB-303はちょっと特殊で3Poleだったりします。

(※5)トランジスタ・ラダー:梯子(はしご)型トランジスタ・・・Moogの有名なフィルターで使用されている回路で、1対のトランジスタを梯子のようにレイアウトしている回路図/基板パターンからこう呼ばれています。

(※6)レゾナンスのフィードバックレベル:フィルターのレゾナンスは、自身の信号を再度フィードバックさせることにより生み出しています。このフィードバック成分に何らかのイタズラをしているのかな?と思ったのですが・・・

(※7)ジョン・ロードのオルガン:かつて、ローランドのキャンペーン用拡張ボードとして、公式にジョン・ロード氏本人愛用のハモンドC-3と改造レスリーのサウンドを緻密に収録した波形データ。

(※8)JD-800のアレ:硬いアタック成分を含んだ、独特のピアノ音源。90年代のハウスミュージックやTKファミリーの楽曲のバッキングパターンで多用された、時代を象徴するサウンドです。

(※9)AD/DA:アナログ(A)-デジタル(D)コンバータ/デジタル(D)-アナログ(A)コンバータ・・・アナログ信号をデジタルに変換するAD、デジタル信号をアナログに変換するDA。アナログシンセのサウンドにデジタルエフェクターを施す際には一旦デジタルに変換される訳ですね。逆に、デジタルシンセの音をアンプで鳴らすためには、アナログ信号に変換する必要があります。この際、どうしても失われる成分が存在し、サウンドに影響する部分となるのです。

(※10)CV/GATE:MIDI登場以前のアナログシンセのコントロール/同期演奏で使われていた原始的な信号。CV(Control Voltage)は電圧の高低でパラメーターを制御、GATEは打鍵/離鍵のタイミング等スイッチ的なコントロールを行います。

(※11)Sトリガー:ショート(Short)トリガーの略。ゲート電圧の高低ではなく、端子間のショートを感知して動作するトリガー回路。電源を必要とせず、機械的なスイッチのみでコントロールできるメリットから、往年のMoogシンセサイザーなど一部のヴィンテージ機器で採用されていました。

(※12)ACB:Analog Circuit Behavior・・・アナログ回路とその振る舞いをシミュレートする、回路レベルでのモデリングテクノロジー。AIRAシリーズでは現存するTR-808や909、TB-303のサウンドをシミュレートするのではなく、当時の設計図&仕様書からオリジナルの回路そのものを復元することで、あの音を再現することに成功しました。


Author Kenbando, Ikebe Musical Instruments, May 2015