
|
ではまず、アコーディオンを本格的に始めてからどれくらいになるのですか? ●マルカート: そうですね、だいたい15、6年になります。 ○鍵盤堂: では、アコーディオンを始められたきっかけをお聞かせください。 ●マルカート: 私は北海道の出身で、旭川にいた小学校の頃アンサンブルクラブに入って3年間ほどアコーディオンを弾いていたんです。音楽室に色とりどりのアコーディオンが沢山置いてあるのを見て、凄く可愛いと思って。 ○鍵盤堂: 左手ベースの無い、合奏用アコーディオンですね。 ●マルカート: そうです!色によってちょっとずつ音域が違っているんですよね。その後、アコーディオンからは一旦遠ざかり、電子オルガンの仕事をしていたのですが、やはりアコーディオンが好きだったのでしょうね。ある日、無性に「もういちど弾きたい!」と思ってしまって、そうなるといてもたってもいられず、本格的にアコーディオンを始めよう、と。でも、当時北海道では楽器屋さんでアコーディオンを見つけることですら大変なことでした。 ○鍵盤堂: 初めてアコーディオン購入されたアコーディオンはどのようなモデルだったのですか?
アコーディオンを初めて購入したのは、探し回った末にようやく見つけた北海道の楽器屋さんでした。でもその楽器屋さんが実にお上手なのです〜(笑)。当初のわたしの予算で買えるものと、もうひとつ、その倍の値段ですが、本当にうつくしい銀色のデコレーションの見事な1台を持って来てくださって。2台並べて「どう?(ニコニコ・・)」と(笑)。 ○鍵盤堂: 予算内でシンプルなものを選ぶか、本当に気に入ったものを選ぶか。 ●マルカート: ええ!本当に長い時間迷って迷って。そして結局買ったのはその銀色の方。イタリアのアコーディオンでした。 ○鍵盤堂: 思い切りましたね! ●マルカート: 一大決心ですよ!男の人ならば黒くて重厚な感じの楽器に惹かれるのかもしれないけれど、女の子はやっぱり可愛いのに目が無いんですよね。
やっぱりちょっと無理をしてでも、本当に気に入った楽器を手に入れたほうが練習にも力が入りますもんね。その後は、どこかの教室に入られたのですか? ●マルカート: 最初は独学でした。電子オルガンの仕事をしていたのだし、同じような鍵盤楽器だから弾けるだろう、と思ってたんです。でも甘かった(笑)。やはり独学ではどうしても上手く弾けなくて。特に左手ベースが駄目でしたね。そこで、先生探しが始まったんです。 ○鍵盤堂: 先生はすぐには見つからなかったのでしょうか? ●マルカート: そうなんです。最終的には、さっきお話した楽器屋さんのご紹介で、幸運にも、ニセコの久保達男先生に出会うことができました。札幌時代に3〜4年教えていただき、東京での12年間も、一緒にコンサートをしていただいたり、今ではデュオ演奏でも大変お世話になっています。 ○鍵盤堂: なるほど。良い先生との出会いも重要ですね!一方で、伝統的なアコーディオン奏者の枠に捉われないスタイルもマルカートさんの魅力なのですが。 ●マルカート: アコーディオンに夢中になりながらも、それと並行して、バンド活動にのめり込んでいったのもこの時期です。特に、歌を作って歌うことに関しては、とてもしっくりとくる感じがあって、この道にも進みたいと強く思うようになりました。 それらの活動をする中で、東京に拠点を移すことにしたのですが、「東京は大都市だから、その分アコーディオンのお仕事もたくさんあったりして・・」という、下心(?)もちょっとありました(笑)。今思えば甘かったなあ・・と思うのですが〜。 ○鍵盤堂: 確かに、アコーディオンって凄くヨーロッパの文化や風土に根付いた楽器だと感じます。日本のような文化の異なる国では、たとえ東京といえどもまだまだメジャーな楽器とは言えないのが実情ですよね。 ●マルカート: そのとおりですね。東京に移ってからの活動でも、最初のうちは、バンドのメンバーにがっちり支えてもらって、アコーディオンの出番はイントロや間奏などすこしだけでしたが、続けていくうちに、だんだんその比重も増えていって、今のアコーディオン弾き語りの形になりました。ひとりでステージを務めるというのは、苦労もありますが、大きなやりがいも感じています。活動をしてゆく中で、ジェマティカ・レコーズとのいい出会いがあり、1999年に「マルカート」の名でCDデビューができました。 なるほど。それでは、最新作「アコーディオン日和」についてお伺いします。この作品は、マルカートさんの大きな魅力である「歌」が登場しない、アコーディオンのみのインストゥルメンタル作品ですよね。こうしたアルバムをリリースするに至る経緯をお聞かせいただけますか? ●マルカート: 今までもライブの合間に、「箸休め」的にこうしたインスト曲を演奏していたのですが、あるときファンの方からこんなことを言われたのです。「歌詞のある歌はその世界を見ることができるけれど、インスト曲はそうした要素が無い分、純粋に音から感じる自分なりの世界が見られるから面白い」と。これは新鮮な驚きでしたね。こうしたファンの方からのリクエストをきっかけに、この「アコーディオン日和」は何年も温めていた企画なんです。 ○鍵盤堂: ファンの方の声から生まれた作品なのですね。音を聴くだけで、本当に色んな情景が浮かんでくる、暖かな作品だと感じました。 ●マルカート: ありがとうございます! ○鍵盤堂: ちなみに、影響を受けたアーティストの方などは、特にいらっしゃるのでしょうか? ●マルカート: パット・メセニーはずっと大好きです!アコーディオンでは、ニセコの久保先生と、東京時代に教えていただいた江森登先生から大きな影響を受けています。 ○鍵盤堂: では、今後どんな活動を行っていきたいとお考えですか? ●マルカート: そうですね。12年東京で演奏活動を行った後で、1年半前から北海道に戻って活動を続けているのですが、これからはもっと他の楽器とも積極的に交わって、アコーディオンという楽器の可能性をどんどん見つけてゆきたいと思っています!
さて!いよいよ機材のお話です。まずは、アコースティック・アコーディオンの話題から。普段はどんなモデルを使っていらっしゃるのですか? ●マルカート: 何だか日本では殆ど見ないのですが、IORIO(イオリオ)というイタリアのメーカーのアコーディオンを使っています。小型の41鍵/120ベースのモデルでして、弾き語り時の私の声量や声質との兼ね合いで、このサイズのこの楽器に落ち着きました。でも、このIORIOって周りの方に訊いても誰も知らないのですが、ご存知ですか? ○鍵盤堂: (汗)うーむ・・・残念ながらちょっと心当たりは無いのですが(後日慌てて調べてみました。19世紀のイタリアを起源に持ち、その後はニューヨークに拠点を移したアコーディオン会社でした。マルカートさんのモデルはイタリア製です)、毎年フランクフルトで開催されている楽器の見本市(ムジークメッセ)でも、数え切れない数の会社が膨大な量のアコーディオンを展示しているんですよ。 ●マルカート: うわぁ!それは是非見てみたい!! ○鍵盤堂: 毎年3月に開催されていて、最終日は一般公開日ですから誰でも見学できますよ! ●マルカート: そうなんですか。いつか行ってみたいですね。 ○鍵盤堂: ご一緒したいですね〜。その時はドイツで一緒に記念写真ということで...(笑) 今回のインストアライブでデジタル・アコーディオン「ローランドV-Accordion」を演奏していただいたのですが、率直な感想を聞かせていただけますか?まずは、普段お使いの通常のアコースティック・アコーディオンと比べててみると、如何でしょう? ●マルカート: うーん、アコーディオン自体の音を比べると、音の奥行き的なものなのでしょうか・・・やっぱりちょっと違う、という印象はありますね。何て言ったら良いのでしょう・・・
蛇腹の動きに対する反応、とか? ●マルカート: そうそう!あと鍵盤を沢山弾けば生のアコーディオンは蛇腹が軽くなっていくのに、Vアコーディオンはいつも一定の重さなんですよね。 ○鍵盤堂: と、言うことはVアコーディオンの蛇腹の重さは一番軽い設定にされているのですか? ●マルカート: いえ、逆に一番重い位置に合わせています。 ○鍵盤堂: 一番重い!それは何故でしょうか? ●マルカート: まだこの楽器に慣れていないせいもあるのでしょうけど、極力蛇腹を切り替える回数を少なくするためです。 なるほど。VアコーディオンにはVアコーディオンならではの弾き方がある、という事なのでしょうか? ●マルカート: そうだと思います。今回1ヶ月ほど前からVアコーディオン(FR-3s WH)を使わせていただいているのですが、可愛い楽器ですね!基本的に私、あの(アコーディオンの)形をしているものに弱いですしね(笑)。あとやっぱり、周囲に気兼ねなく夜弾けるのがVアコーディオンの一番の魅力です! ○鍵盤堂: やっぱり、元々が音の大きな楽器ですから、いつでも練習できるメリットは計り知れないですよね。 ●マルカート: あと、とても役に立っているのが、メトロノームが入ってること!今までメトロノームを使って練習しようとすると、いったん「よいしょ!」とアコーディオンを置いて、メトロノームを設定して、そしてまたアコーディオンを持ち上げて・・・そんな煩わしさがありましたから、これは本当に嬉しいですね。 あとはもちろん、色んな音色で弾けることも嬉しいですね。オルガンの音で弾けるし、あとハーモニカの音も可愛いですね!あと、左手でオーケストラのベース音が出ることも魅力です。通常のアコーディオンだと、ベース(左手側)をちゃんと鳴らすのが難しかったりするのですが、Vアコーディオンはそつなくベース音が出るんです。初心者の方でもすぐ楽しむことのできる楽器とも言えますね。 あ、ベースといえばフリーベースに切り替えられるのも凄いですね! ○鍵盤堂: デジタルならでは、の魅力は沢山ありますね。では、Vアコーディオンからアコーディオンを始める方にとって、アコースティックなアコーディオンに持ち替えたときも違和感を感じると思いますか?
うーん、そうですね、やはりイメージ通りの音色を出すために蛇腹を繊細に自在に操る、という部分では苦心されるかもしれません。でも、アコーディオンならではの左手ベースの運指などはVアコーディオンで慣れてしまえば、上達も早いと思いますよ! ○鍵盤堂: では、アコーディオンの基礎を身につけるための教材としても、Vアコーディオンは安心してオススメできますね!先もありましたが、やはり夜もヘッドフォンを使って気兼ねなく弾けると、沢山練習も出来るし、ライブ直前の控え室でも他の人の音とかぶらないのは良いですよね。 ●マルカート: そうですね!普段生のアコーディオンを使っている方々にも、この便利でカワイイ「Vアコちゃん」に是非触れてみて欲しいですね。 ○鍵盤堂: では最後にアコーディオンを始められた方〜という方にメッセージをお願いします。 ●マルカート: アコーディオンって、小学校の音楽室には必ず置いてある楽器のはずなのですが、棚に大事にしまってあって弾く機会が少ない、少々残念なケースもあるようです。 アコーディオンは音色を聴くだけでも楽しいし、ソロ楽器としても、どんなジャンルでも演奏できる楽しい楽器なので、どんどん弾いてほしいですね! ご年配の方にとっても馴染み深い楽器だと思いますし、山でも船でもキャンプでもどんな所にも連れて行く事ができるのも大きな強みですよね〜。幅広い世代の皆がアコーディオンを囲んで楽しい時間を共有できると素敵だな、と思ってます。 ○鍵盤堂: 今回は本当にどうもありがとうございました! |
|
![]() |
●マルカート(タテヤマユキ/ボーカル・アコーディオン) 北海道在住。1999年アルバム「マルカート」でデビュー。 3枚のアルバムをリリース後、2000年12月にタテヤマユキのソロユニットとなり、現在までに5枚のアルバムをリリース。 柔らかなアコーディオンの音色と優しさあふれるヴォーカルで女性の心を日常の風景にのせて表現し、ポップでカラフルな音楽を作り続けている。 NHK教育テレビ「わんパーク」に出演した実績もあり、子供から大人までとファン層は広い。 また、アコーディオンプレイヤーとしてもさまざまなミュージシャンのレコーディングに参加している。 2006年8月にはライブ会場限定で初のアコーディオン・インストゥルメンタルアルバム「アコーディオン日和」を発売。 2007年、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)のオーケストラ演奏会にアコーディオンパートとして参加。 現在は”アコーディオン弾きがたり”というめずらしいスタイルで、全国各地で積極的にライブを行なっている。 |

![]()
|
![]() | ||
![]() |
![]() | ||
|
| ||