Vアコーディオンの故郷を訪ねて
世界最大級の楽器&音響機器の展示会、フランクフルト・ムジークメッセ終了後、当店スタッフ・安部と安藤の両名はそのままイタリアへ。

イタリアには、世界中のアコーディオンの生産量の大半を占めるアドリア海沿岸の城塞都市「カステルフィダルド」があります。そして、当店でも大人気のデジタル・アコーディオン「ローランド・Vアコーディオン」も、カステルフィダルド近くの「サンベネデット」にて開発&製造が行われています。
そんな「アコーディオン大国」イタリアで、アコーディオンの歴史に触れ、Vアコーディオンへの理解を深める旅が、始まります。

昼過ぎ・・・到着

ローマからは車で移動。ローマはイタリアの西海岸。目的地(サンベネデット)は東海岸。これから3時間ほど掛けて、イタリア半島を横断です。

安部はそんな風景を横目に、完全に寝落ちしています(笑)。

日も大分傾いてきました。目的地はもうすぐです!
ルフトハンザ便にて、ローマ空港に到着。3日間歩きとおしたメッセの翌日のため、既にお疲れモードですが、目的地はまだまだ先。

所々にこんな古い城塞都市が。何だかジ○リ映画みたいですね(こっちが本物ですから!)。

目的地は、この山の向こうです・・・。
夕方・・・ホテルにチェックイン

ようやく到着!サンベネデット郊外のホテル「I CALANCHI 」は、小高い丘の上にありました。眼下に広がる雄大な景色に思わず時間を忘れて立ち尽くす二人。そして、ホテルの壁の色は何とピンク!

サンベネデットは、アドリア海に面したリゾート都市。普段は人口2万人程の小さな町も、夏場には10倍近く増えるそう。リゾート気分満載の浮かれた人々が溢れかえるサマーシーズンは、ローランド・ヨーロッパの皆さんは仕事へのモチベーションを維持するのが大変だそうです(笑)。
夕食は、ローランド・ヨーロッパの尾田さん、物流担当・ナザレノさんと町の中心部のレストランにて。新鮮な魚介類に舌鼓を打ちつつ、水代わりの飲み物はやはりワイン!
2日目・朝
朝食を済ませたら、迎えの車が来るまで雄大な景色を楽しみます。
おはようございます。ヨーロッパは時差の関係で自然に早起き。健康的な毎日です。
高速道路の右手に見えるのが、憧れのアドリア海。日本を発つ前に「紅の豚」を見てきた二人、無駄にテンション上がってます。安部なんて、「ジーナ・・・」とか訳の判らないことを口走る始末。

カステルフィダルド・・・アコーディオンの町。
ホテルから車で約1時間。アコーディオンの聖地「カステルフィダルド」にやってきました。

市内に入ると、大小様々なアコーディオンメーカーの看板が目に入ってきます。右端の「PAOLO SOPRANI」は、カステルフィダルドの栄華を極めた老舗中の老舗。残念ながら現在では衰退してしまい、ブランド名のみが別メーカーの傘下で存続しています。
イタリアの小都市の例に漏れず小高い丘全体が小さな町を形作っています。中心部はひたすら石畳の坂道が複雑な路地を形勢しています。
安藤が大好きなクルマの一つ、FIAT 500も現役で走ってます!
アコーディオン博物館
そんな「坂の街」の中に、今回の目的地の一つ「アコーディオン博物館」がありました。入り口の前にはカステルフィダルドの英雄「パオロ・ソプラーニ」の胸像が。彼こそ、旅人から譲り受けた黎明期のアコーディオンを研究、複製、改良し、アコーディオンの生産を一大産業にまで発展させた「アコーディオンの父」なのです。
ローランドの創業者、梯郁太郎さんの姿も!
1862年、家に泊めた旅人によってアコーディオンという楽器を知ったパオロ・ソプラーニ青年は、彼から譲り受けた楽器を研究、複製し、ここカステルフィダルドでアコーディオンの製造を開始します。右の写真は、1872年にパオロ・ソプラーニによって生み出されたダイアトニック・アコーディオン。
こちらはパオロ・ソプラーニによる1909年の製品。既に左手のベース部分も含め、見慣れたシルエットに進化しています。
カステルフィダルド「FICOSECCO」の1900年代初頭の製品。彫金や螺鈿を施した豪華な装飾です。
ご存知日本の「トンボ」です。1933年製の素朴なアコーディオン。戦時中の日本兵も、こうしたアコーディオンを奏でて遠い故郷に想いを馳せていたのでしょうか・・・。
こちらは「アコーディオン・オーケストラ」という合奏用のアコーディオン。左手ベース部分は省略されており、音域別にさまざまなサイズのバリエーションが存在します。低音用は大きいですね!
エントランスには、様々な来場者の写真が飾ってあります。その中に・・・
館内には、様々なアコーディオンが展示されています。アコーディオンの原型となる蛇腹を用いたリード楽器が生まれたのは1800年代初頭のこと。オーストリアのシリル・ダミアンが「アコーディオン」という名前を考案したのが1829年。1800年代中盤はフランス製のアコーディオンが市場の大半を占めていました。
その後、続々とカステルフィダルドにはアコーディオン工房が登場、様々なアコーディオンが生み出されていきます。
「押引異音」のため演奏が難しく、半音階が演奏できないダイアトニック・アコーディオンは、1800年代半ばに考案された「押引同音」のクロマチック・アコーディオンに移行していきました。
一方、こちらは本家(?)フランス製。「ピエルマリア」は、現在でも存在する老舗ブランド。ボタンアコーディオン奏者「かとうかなこ」さんの愛器としても有名なメーカーですね。
19世紀に入ると、ヨーロッパ以外の国でもアコーディオンの製造が盛んになりました。案内して頂いた博物館の方が指差すアコーディオンを見ると・・・
1900年代半ば頃から、ようやくピアノ鍵盤タイプのアコーディオンが登場します。ボタンアコーディオン奏者ルドヴィック・ベイヤー氏のインタビューにもある通り、フランスではクロマチック(ボタン式)アコーディオンが主流ですが、ここイタリアではピアノタイプも急速に普及し、現在では50:50程度の比率で演奏されているとの事です。
こちらは変り種、足踏みアコーディオン。足踏みオルガンの様にペダルを踏んで空気を送り、両手で演奏します。左手部分がちゃんとアコーディオン式なのが面白いですが、アコーディオンの「可搬性」を犠牲にしたメリットは果たしてどこにあるのでしょうか・・・。

こちらは昔のアコーディオン製造現場を再現したディスプレイ。右の写真では、鍵盤から伸びたリンケージがリードを開閉するメカニズムが見て取れます。

他にも、歴史的名機から変り種、大小様々なアコーディオンとそれにまつわる資料が決して広いとはいえない館内に所狭しとディスプレイされていました。
そして、アコーディオンの歴史を辿った順路の最後に展示されていたのが、お馴染みローランド・Vアコーディオン「FR-7」!20世紀に入ってから、様々な電気/電子アコーディオンが生み出された歴史の中でも、その決定版として誇らしげに鎮座しています。

最後に、博物館の館長さんと、パオロ・ソプラーニの肖像を囲んで記念撮影。
小さな街、カステルフィダルドには、飲食店が2件しか無い(!)との事。ちなみにこちらで普通に「コーヒー」を頼むと、特濃エスプレッソが出てきます。エスプレッソ=EXPRESS・・・せっかちなイタリア人は、腰掛けてゆっくりお茶、という習慣はあまり無い様です。普段は飲みきりサイズのコーヒーを立ったままクイッと飲むのがイタリア人への第一歩(砂糖入れずに飲んでいたら胃が荒れました・・・)!?
館長さん:「折角遠くから来てくれたんだから、ちょっとそこでコーヒーでもどう?」


次に向かった先は老舗のアコーディオン工場。アコーディオンの脅威の構造に迫ります!


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