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IKEBE:
(以下IKB) |
E・ギター/ベースを製作される"きっかけ"になった事がありましたらお教え下さい。 |
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MAS
HINO氏:
(以下M.H) |
16才位の頃にVAN HALENを良く聞いていたんだけど、彼がギターを自分で組み立てているって聞いて興味を覚えて。自分は66年のムスタングBASSを持っていたんですけど、ジャコのファーストアルバムを聞いた時に"何コレ!"ってなって、自分でフレットを抜いたんですよ。 | |
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IKB:
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ムスタングのフレットレス、凄いですね。(笑) | |
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M.H.:
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そう(笑)、それをそのまま弾いていたんですけど、その頃週末になると必ずN.Y.の48丁目の楽器店を巡っていて、そのベースをルディーズ(※1) に見せに行ったら「ちゃんとフレットの跡を埋めないとだめだよ。」と言われて、やり方も教わって。 |
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IKB:
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"やってあげるよ”では無くて”こうやるんだよ”なんですね。 | |
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M.H.:
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そうそう、ウッド・パテっていうのがあってどこどこで売っているから、やれって(笑)。若かったのでお金も無いと思ったんじゃないかな。それで指板を削って、ナットも切って、ハーモニクスも出にくかったのでバダス・ブリッジも付けて、JBのピックアップをリアに付けて。 | |
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IKB:
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ムスタングを超えていますね(笑) | |
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M.H.:
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(笑)ちゃんとポールピースの幅が合うように取り付けて。雑誌のインタビューで指板にエポキシ・コーティングをしているって読んで、早速買ってきて塗りました。一週間掛けて削って、本当にエポキシが硬くて(笑)。やっとツルツルに出来上がって、指板が硬いからスラップも出来るし、バダスも付いていたし(笑)。嬉しかったですね。 | |
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IKB:
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工具はどうされていたのですか? | |
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M.H.:
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親父(※2) のものが、ノコギリからドリル、鑿まで揃っていました。それからもルディーズに頻繁にポットやナット等を買いに行っていたら、19才位の頃「おまえ、ここで働かないか。教えてやるぞ」と誘われてね。それから4年間ジョン・サーの下で修業させてもらって、その後僕がヘッドでトータル15年間位働いたかな。 | |
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IKB:
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その間、様々な事を吸収されるのですね。 | |
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M.H.:
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そう、ジョン・サーからはもちろんだけど、J.W.ブラック(※3) がFenderに移るまでの期間アルバイトみたいな形で一緒に働いて。以前から知っていたけどそれでより仲良くなって。彼からも色々な事を教わりました。それから、もう手に入らないのだけれど、マーチンで修理をやっていたダン・ピーターさんという方の本が出ていて、そういうところからも学んでいました。ジョンもそれを見て「こうやったら良い」とか「もっと良い方法がある筈だ」とか、やっていましたよ。逆に、マルキオーネ(※4) に僕が教える事もありました。 | |
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IKB:
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そうなんですか。 | |
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M.H.:
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彼はこの仕事をはじめたばかりだったから、ギターの製作は出来たんですけど、リペアの経験があまり無かった。最初にジョンが教えて、そこからは僕が教えていました。 | |
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IKB:
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リペアを多く経験している事は、現在E・ギター/ベースを製作する際に影響はありますか? | |
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M.H.:
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製作中に何か間違えた時、直す事が出来る(笑)。ヴィンテージ楽器を扱う事も多いから、古い楽器の良さも分かるし、この楽器はどうしてこんなに良いのだろう、どうして弾き易いのだろうと思うと、全部計ってデータをとっておく。そうすると自分の好みのギター/ベースも見えてくるし、色々な楽器の音も分かってくるよね。だから、よくお弟子さんと曲を聴いて「このギターは何だ」って当てっこをするんですよ。(笑) | |
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IKB:
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(笑)当たるんですか? | |
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M.H.:
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当たる事は当たりますよ。ベースの場合も、JBかどうかとか、これはEMGの音だなとか、これ絶対プレベとか(笑)。分かり易い録音だと良いですね。 | |
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IKB:
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当時関わりのあったミュージシャンをお教え下さい。 | |
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M.H.:
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色々な人(笑)。ジョンがいた時はエリック・クラプトンやジェフ・ベック、ストーンズのギターとか。あとはスティーブ・スティーブンスや、ロベン・フォードも良く来てくれたし、マイク・スターン、ホール&オーツのジョン・オーツとか、ショーン・レノン、チャック・レイニーもやったし、ヴィクター・ベイリーから、(リチャード)ボナも勿論、テニスの左利きの...ジョン・マッケンローとか。きりが無いよ(笑)。 | |
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IKB:
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すみません。(笑)では、ここで"プレミアム・ショップ"BASSのコンセプトについてお伺いしたいのですが。 | |
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M.H.:
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アトリエZのラインナップの中で、僕の個性が出せるベースです。ボディとネックを見て、これはこのP.U.にしようとか。ボディはこの色に塗ったからパーツはこれにしようとか。マチーノの名前は、僕の名前”MAS HINO”をイタリア風に読むとこうなります。(笑) | |
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IKB:
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(笑)リチャード・ボナ氏のシグネチュア・モデルについてはいかがでしょう。 | |
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M.H.:
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彼が、僕の作ったマチーノのフレットレスを弾いたら”これだ!このネックだよ”ってなって。それがペンザの頃から使っているワーモスのネックだったのでじゃあそれを使おうと。指板も厚いし、トラスロッド以外にスチール・バーが2つ入っているからね。 | |
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IKB:
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カーボン等ではなく、スチール・バーなんですね。 | |
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M.H.:
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そう、ネックを叩くとフェンダーみたいな鳴りはないんだけど、実際にアンプで弾いてみるとジャリっ、という良い響きがありますね。特にフレットレスの場合はデッド・ポイントもあるのだけれど、その辺りも良く鳴ってくれますし、サスティーンも良くなる。厚みのあるエボニー材指板なので質量はあるんだけど、軽量なゴトー製のペグでバランスをとっています。 | |
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IKB:
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ボディはアルダー材で。 | |
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M.H.:
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そう、マチーノのシェイプで、アルダー材だけだとちょっと物足りないからメイプル材を貼って。ピックアップも本当は一つで良いと言っていたのだけれど、普段から使い慣れた2P.U.の方が良いのじゃない、とアドバイスをして。Baritoliniを選んだのは、サウンドもあるけどフィンガー・ランプ的な意味合いもあって、ロウ・アクションにした時にポールピースが鋭角だと指が削れてしまうんですよ(笑)。P.U.を上げた時にあまり弦を引っ張らない(干渉しない)という利点もあります。ROLANDのV-BASS(GK Control KIT)も欲しいって言っていたから、じゃあ入れちゃおうかって。(笑) | |
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IKB:
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他にリクエストはございましたか? | |
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M.H.:
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弦高を低く。彼の弦高は普通の人では弾けないですから。E弦とA弦はそれ程ではないのですが、D弦とG弦の低さがポイントなんです。この2本に僅かにバズが乗る程度。それで各弦のテンション・バランスを整えます。 | |
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IKB:
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苦労された点は? | |
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M.H.:
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サウンドは判っていたから問題無かったんですが、うーん、V-BASS(GK Control KIT)を入れる最初の段階で、コントロールのレイアウトが大変だったかな。使い易い位置にデザインする為に、プラスティックの板にダミーを差し込んで操作してみて、どう設定したら良いか試しました。”この幅だとどうかな”と言いながら、何度かやり直しましたよ。 | |
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IKB:
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今後の製作予定をお教え下さい。 | |
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M.H.:
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マチーノはもちろんだけど、今手掛けている”MAS HINO”ギターもどんどんやっていきますよ! | |
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IKB:
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普段聞いている音楽をお教え頂けますか。 | |
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M.H.:
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えーと、これも多いよ(笑)。スコット・ヘンダーソンやアラン・ホールズワーズ、ジョン・スコフィールド、スタンリー・クラークはフリークだよ!CHICのサウンドも好きだしマイルス、コルトレーン、ウェイン・ショーター。そう、フュージョン大好きなんですよ。ヴィクター・ベイリー、ゲイリー・ウイルス、勿論、JINO(※5)、ボナも良く聞いています。ヴィクター・ウッテンなんかも凄いよね。ジャコは、好きなのが当たり前(笑)。ケンジが弟子だった事もあるけど、もしジャコが生きていたら僕のベースを使ってくれている筈。そう信じています。 | |
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IKB:
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ありがとうございます。では、最後にこれを読んで頂いた皆さんにメッセージをお願いします。 | |
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M.H.:
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楽器は面白いですよ。もっと音楽を演りましょう!楽器をやっている人はやっていない人に伝えて下さい(笑)。楽器は一人だけではつまらないですから、仲間とコミニケーションをとってもっと楽しくしましょう。若い時でも、年をとってからでも、楽器をはじめるのに年齢は関係ありません。音楽は本当に楽しいものですから。 | |
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IKB:
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今日は本当にありがとうございました。 | |
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M.H.:
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ありがとうございます。 | |
| ※1
:後にMAS HINO氏が修業をする事となる楽器店。ジョン・サーをはじめ著名なビルダーを輩出している事でも知られております。 ※2 :皆様もご存知の通り、MAS HINO氏のお父様はトランペッターの日野皓正氏。 ※3 :昨今、ジョン・サーとのコラボレートによるギターが話題を呼んでいる、Sadowsky、Fender Custom Shop等にて多大な実績を残すビルダー。 ※4 :現在、自らの工房にてE・ギター、アーチドトップ・ギター等の楽器製作を行なうビルダー、ステファン・マルキオーネ氏。 ※5 :こちらも皆様ご存知の通り、MAS HINO氏の実弟はベーシスト/コンポーザーの日野"JINO"賢二氏。 |
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| 協力 : 本橋氏 、 島田氏(デイズ・コーポレーション) / インタビュー・構成
; 井田武彦(池袋店) ※画像、記事内容の無断転用を一切禁じます。 |
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