フィンガーピッカー田中彬博 YAMAHA Lシリーズセミナー ヤマハアコギ1本で超絶弾きまくり!
「田中彬博氏はミュージシャンです!」と言うと、ファンの方から、「そんな事はわかってます!」と言われてしまうかもしれませんが、フィンガーピッキングコンテストでの最優秀賞受賞やアメリカ・カンサス州で開催される38th Walnut Valley Festival「International Fingerstyle Guitar Championship」で2位を受賞などの華々しいプロフィールからは“ギターリスト”と見る方が多いのではないでしょうか。

当然、アコースティックギター1本で素晴らしいテクニックで弾く姿を見てしまうと、どのように弾いているんだろう?とその演奏に興味が行ってしまうのですが、この“ミュージシャン”の真骨頂はその手から紡ぎ出される楽曲に有ると思います。

いや、その楽曲の音楽性の高さからはミュージシャンと言うよりも“アーティスト”と言う方がより相応しいかもしれません。今回のイベントで、この若きアーティストの演奏を生で体感し、その事を実感しました。

前日は大阪でのライブ、そして朝一に新幹線で上京というタイトなスケジュールにも関わらず、イベント当日のリハーサルにニコニコと登場した田中さんは、いかにも好青年という感じの方で、若干23歳と聞いておりましたが、年齢よりも落ち着いた感じの雰囲気を持っております。

リハーサルがスタートしても、テキパキとセッティングをこなしていき、サウンドセッティングまですんなりと終わらせておりました。

PAのセッティングもたいがい終わった後、「もう少し弾いてもイイですか?」とギターを弾き始めたあたりから、だんだんと真剣な眼差しになっていきます。ピッキングのタッチ感と出音のバランスを確認しつつ、ギターを弾く姿は職人的で、客席にどのようにサウンドが届くかをジックリと吟味しているようでした。リハの後の雑談では、ニコニコと話す音楽好きの青年でしたので、その差に音楽人っぽさを感じてしまいました。

午後2時を少し回りスタートしたイベント。場内アナウンスの後、登場した田中氏は気負い無く落ち着いた雰囲気で、既にアーティストの風格を醸し出しております。軽く交えたトークでイベントスタートの雰囲気を作り出した後に弾き始めた音はクリアーで軽快に響き、グルーブ感を持った曲を奏でておりました。

ストロークとフィンガーを交え、所々に小技を交え構成していく楽曲には、始めは「どのように弾いているのだろう?」としげしげと観察していたのですが、だんだんとその曲に耳を奪われ、最後には音楽に聞き入ってしまいました。田中さんと競演したアコギ界の大御所、吉川忠英氏が絶賛したリズム感、タイム感はやはり素晴らしく、絶妙な間の取り方や微妙なタッチなどで曲に表情を与えており、これはテクニックと言うよりも感性が音となって表れてきているのではないかと思いました。イベント前の打ち合わせでツアー先での出来事やギターの話など楽しそうに話していた田中さんが奏でる曲からは、それらの話から見える風景が音楽として表れてくるような感じがして、鋭い感性とそれを表現するテクニックを持ったアーティストだな!と感じてしまいました。

何曲か演奏し、合間にトークを交え、また演奏して頂くような感じで進んだイベントでしたが、ユッタリとした雰囲気で聞いていると、優しいバラードの曲も心地良く聞き入ってしまいます。
田中さんがInternational Fingerstyle Guitar Championshipで2位を受賞した時、表彰式のアンコール演奏では、あえて緩やかでしっとりとした曲を選んで演奏したそうですが、その演奏の後、大きな会場がブワーッとスタンディングオベーションに包まれたそうです。このエモーショナルな演奏を聞いていると、それも凄く解る様な気がします。現在発売中の田中さんのアルバム「harukazeharmonics」に収録されていない曲も何曲か演奏しておりましたが、オリジナル曲は勿論、カバー曲なども興味深いアレンジがあったりして、ここ数年の濃密な音楽活動から得た感性が更に磨かれている様に感じてしまいました。

ミュージシャンの使用機材も気になる点の一つだと思いますが、田中さんはYAMAHA LシリーズのエレアコLJX36C AREを現在はメインで弾いております。

イベント中は演奏用のイスも用意しておりましたが、弾き始めるとストラップを使って立って演奏しておりましたので、やはりライブではエレアコ仕様が必要なのでしょう。このギターはピックアップシステムが優れており、エレアコのサウンドもナチュラルで生のようなサウンドを出力しており、そのあたりも気に入っているポイントだそうです。

ボディートップの振動を拾うコンタクトタイプのピックアップを、メイン、トレブル、ベースの3系統で拾い、それぞれの音量バランスを調整してサウンドメイクをおこなう凝ったシステムで、コンタクトタイプでありながらもハウリングに強いところも魅力の一つです。
また、このギターは噂のA.R.E.処理を施されておりますので生鳴りも良く、セミジャンボのサイズはサウンドバランスが良く、ふくよかなのにタイトさも有るトーンで、更にくびれの深いボディーシェイプが体にフィットする感じから演奏性の高さをも両立されており、カッタウェイボディーですのでハイフレットでの運指も楽なところも気に入っているそうです。
田中さんとYAMAHA Lシリーズの出会いは4年ほど前らしく、アコギに慣れてきて、長く使える良いギターを探している時に、その弾き易さとサウンドの良さに惚れて手に入れたようです。ヤマハのギターは丈夫な所もミュージシャンとしては嬉しい所で、海外のツアーにもバンバン持っていって弾きまくっても、大きなトラブルは全然無いそうです。

イベントの途中で、事前にお客様からの質問事項を募っていたのですが、件数が多くその中から何点か選んで田中さんに答えて頂こうと思っていたのですが、「いやいや、せっかくですから全て答えますよ」と言いつつ、一つ一つ丁寧に答えてくださいました。

よくある爪の手入れやギターのセッティング、使用している弦などの質問などから、ギターを選ぶ時のポイントや練習方法などまで、丹念に説明していただきました。練習方法の質問では、実際に「こんなフレーズを弾いてますよ。」と言いながらギターを弾き始めたり、今後はどのような曲を演奏するのですか?みたいな質問にも「今、アレンジを考えている曲があるのですが、少しだけ弾いてみますね。」などとパラパラ弾き始めたりとサービス精神旺盛な方でした。

また、話し方も上手く比喩を混ぜたりと説明のしかたも分かり易く、合間にご自身の経験談なども織り交ぜてのトークでしたので、このQ&Aコーナーだけでも聞き所満載です。現在ではヤマハの新製品開発で新しいギター等に関する意見を求められたり、先日発売の「Acoustic Guitar Magazine Vol42」で「ピックアップのSound Check!」コーナーでは、様々なマグネットタイプのピックアップを弾き比べコメントを残したり等も、説明が丁重で的確だからだと思います。

個人的にも非常に興味深いアーティストの一人でしたので、司会進行の立場を忘れ、曲間の合間でドシドシと質問や話をふってしまい、気が付くと2時間ほども経っておりました。

そんな中でも、田中さんは最後にはアンコールにまでこたえて頂き、ありがとうございました。

このイベントでの演奏を聴いて、海外ツアーや様々なアーティストとの競演で磨かれた感性から、田中さんの描く音楽世界はより幅を広げ大きくなっていると実感しました。今一番熱く要注目のアーティスト田中彬博氏、彼の手より紡ぎ出される音楽世界を是非体感してください!


田中彬博
<プロフィール>
京都府出身。1986年1月2日生まれ。 京都を拠点に、国内外のさまざまなステージを飛び回っている。
フィンガーピッキングスタイルのアコースティックギタリスト。幼少より音楽に目覚め、13歳からエレキギターを独学で始める。
18歳の時にアコースティックギターで出場した‘04 TEENS’MUSIC FESTIVAL 京都大会で大賞を受賞し、関西・沖縄大会(なんばHatch)に出場。以来、アコースティックギタリストとして本格的にソロ活動を始める。奏法に収まらない生き生きとしたリズム感と、鮮やかな音色から溢れ出すオリジナリティは聴く人の瞼にありありと情景を映し出して魅せる。

2007年9月 スペイン・ポルトガルで初海外公演。
2008年4月 待望のファーストアルバム『harukazeharmonics』が全国発売。
2009年8月 『窓からゆれるサトウキビを見せたい』を京都と宮古島からリリース。
2009年9月 アメリカ・カンサス州で開催される世界規模のギターコンテスト
        38th Walnut Valley Festival「International Fingerstyle Guitar Championship」に出場2位を受賞。

田中彬博氏ホームページ http://tanakaakihiro.com/

田中彬博
『harukazeharmonics』

税込定価 \2,625
収録曲
1. 中庭 / 2. Good morning train / 3. 太陽のエチュード! / 4. 学園天国 / 5. call / 6. 夕凪 / 7. 赤のDUENDE / 8. 三月の雨 / 9. 君と夢の間の銀の翼 / 10. flower / 11. 別れの朝に
 
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