WSRより愛をこめて〜第34回

 

「配線してみよう」その1

皆さんお元気すか?先回までで配線に使う工具のお話をしてきましたが、今月からは実際の配線についてのお話をしていきましょう。
 恐らくみなさんは学生時代の技術科の時間等(多分トランジスタラジオを作ったと思う。)で1度はハンダ付けを経験したことがあると思いますが復習の意味で今月は基本的なハンダ付けの仕方を紹介していきましょう。
・配線材にはハンダメッキ
 これは基本中の基本なのですが、意外と忘れられていることが多い工程の1つです。ワイヤーストリッパーで被膜を剥いた配線材はそのまま端子にハンダ付けしようとしてしまいがちですが、ちょっと待って下さい。配線材によってはハンダが乗りにくい物やビニールの被膜が熱に大変弱い物があり、これらの物を端子等にそのままハンダ付けすると後々にトラブルの原因を引き起こすことがけっこうあります。内容としては見た目には端子にハンダ付けされているように見えても引っ張ると抜けてしまったり、配線材の中にまでハンダがしみこんでいない為に経年変化で表面が酸化したときに接触不良を起こすというものです。

・待つ
 ポットの上やトレモロハンガーなど体積が大きく、はんだごての熱がハンダ付けされるものに伝わるまで時間がかかる物はハンダが溶ける温度になるまで「待つ」事が大切です。そうしないで仕上げられたハンダ付けはいわゆる”芋ハンダ”になりやすく、ハンダが丸く玉のようになってしまい、ヘタすると手で引っかいただけでとれてしまう。もし、正しくハンダが乗せることが出来たならばスーッとハンダが溶けて行くはずです。

・敏速に
 前項とは相反する内容ですがポット、SWの端子、配線材等には必要以上に熱を加える必要はなく、ハンダ付けする物が熱で溶けてしまう物に隣接している場合にはそれが溶けないように敏速なハンダ付けが必要になります。例えば、DMシリーズやVLXシリーズのレバーSWは端子が樹脂のシャーシから伸びているためこれを溶かしてしまうと接触不良を起こしてしまいますし、配線材の被膜を溶かしてしまった場合には見た目にも悪いですし、むき出しになった配線材が何かしらの原因でショートが起こるかも知れません。これらのハンダ付けの際、実際にはんだごてで熱を加える時間は熟練すれば1秒はかからないと思います。

・削る
 一般的に市販されている電気パーツの多くはハンダが乗りやすいようにあらかじめコーディング?されていますが、そうでないものや酸化してしまっている端子はハンダをはじいてしまいます。その場合はペーパー等で削ってからハンダ付けするとうまくいくと思います。ただし、削った部分は時間が経つと錆びていってしまうのでハンダを乗せる必要がある部分だけを削るということです。

・はんだごては熱を加える道具
 最後になりましたが、はんだごてはハンダ付けの際にハンダが溶けないからといって力で押しつけたり、溶けたハンダをこねくりまわしてはいけません。ハンダは熱せられた端子等で溶けるのであって、はんだごてによって溶かされるわけではありません。ですからハンダを溶かす時に動かすのははんだごてではなくハンダ線の方になります。こうすることによって仕上がりに凹凸がなく、艶のあるハンダづけが行えるわけです。



WSRより愛をこめて〜第35回

 

「配線してみよう」その2
 

みなさん今日は!今月は1ヶ月空いてしまいましたが「配線してみよう」の続編です。”テクニック”を身につけると今まで自分でやっていた配線も1ランク上の美しい配線になると思います。美しい配線にするというのは見た目の問題だけではなく、何らかのトラブルが生じた時に原因の特定がしやすいといった機能性を兼ね備えています。では本編に入りましょう。

・配線材、PUのリード線は適度な長さにカット

 これはシンプルな配線を行う上で最も基本的な作業になります。例えば、ポットからポットの配線が必要以上に長ければどの線がどこからどこにつながっているのか?というのが分かりづらくなりますし、複雑な配線を行ってトラブルが生じた場合、配線同士がこんがらかっていると、頭の中ももこんがらかってしまいますよね?(笑)又、PUのリード線にいたっては長すぎるが故にコントロールキャビティーに収まりきれなくなってしまう可能性もありますよね?

・配線の取り回し

 適度にカットされた配線材がキャビティー内のどの辺を通ってはんだづけされるかという問題で適度にカットされた配線材もよい取り回しがされていないと、機能的にもなりませんし、美しくもなりません。ただし、それをするためにはそれなりのセンスが必要で、「プロ」の仕事とみなさんが決定的に違うところなのかも知れません。(詳しくは次回)

・アース線の処理

 当然の事ながらアースがHOT(ポットの端子等)に触れると音が出なくなってしまいます。実際の配線ではギブソンのハムバッカーの様な2芯(まわりが網線シールド=コールド+アース)の場合、網線が端子に触れた時や4芯シールドのPUDiMarzio,Duncanなど)の場合では裸線が端子に触れた時に上記のトラブルが発生しますので、2芯シールド線はその可能性がある配線の取り回しをする場合は、必ずハンダづけする部分を残して収縮チューブで網線を覆いましょう。4芯シールド線はコールド線(DiMarzio,Duncanなら普通はミドリ)と一緒にポットの背中に落とす際にはんだづけに必要な部分と若干の余裕をもたせてそれ以外をカットしてどう間違っても端子に触れないようにすることが大切です。

 


WSRより愛をこめて〜第36回

 

「配線してみよう」その3

 みなさんあけましておめでとうございます!WSRは今年も気合いを入れて突っ走って行きます!また、このコラムのほうも内容を充実させて頑張っていきますので宜しくお願い致します。さて、今回も「配線してみよう」の続編なのですが、より機能的で美しい(毎回しつこいですが、美しさは額田のコダワリなので………。)配線をするための取り回しや手順についてお話をして行きましょう。
 
・パーツ類を取り付ける前に
 
配線のために新しく買ってきたパーツ類をボディーやコントロールパネルに取り付ける前にやっておくことがちょっとあります。まずは念のためそのパーツ類が正常に機能するかどうかチェックし、さらに接点部にガリが出ない様に「setten no.1」等を塗っておくと安心です。そして、酸化して黒くなっている端子を研摩し、パーツを固定してからでは配線しにくい部分(ポットのアースに落ちる端子の折り曲げ等)のハンダ付けはあらかじめ行っておきましょう。

 ・配線材の色分け  
配線材はアース線ならば黒か緑、ホットに関係する線ならば白というように目的によって色分けされていると分かりやすくなります。複雑な配線をすればするほど、その配線の役割が違ってくると思いますのでさらに色を変えておくと後々に何らかのトラブルが起こった場合、対処がしやすくなると思います。

 ・下から上へ奥から手前へ  
配線材は基本的にコントロールキャビティーの底に近い方から配線していき、ハンダゴテを持つ手から遠い方(奥)から近い方(手前)に向かって配線していくと不注意で配線材を溶かしてしまう事故を最小限に防ぐ事ができると思います。具体的にはストラトキャスターの場合、ポットどうしを結ぶアース線が一番最初で、その次にSWからトーンやボリュームに向かう線、最後にPUの配線といった感じになります。

 ・配線材は底に這わせる  
配線材は適度にカットするということを前回のコラムで書いたと思いますがその配線材は空中を浮遊(^_^)しているよりはキャビティーの底を這っていた方が不思議ときれいに見えます。これは機能としてはこうすることによって得られるものは何もなく、あくまでも美的な問題であると感じてしまうかもしれませんが、適度な長さを保って配線するためにはこの方がシンプルで分かりやすくなると思います。

 最後に、リペアと言われるものの中で配線というのは最も簡単で誰にでも出来そうに見えますが、実際にやってみると実に奥が深く大変な作業だと思います。私のほうもできるだけ分かりやすく解説したつもりですが、技術を文章で伝えると言うのは大変難しく、内容が重複してしまったりでみなさんも分かりにくかったかもしれません。しかし、テクニックは実践してみないことには磨かれませんのでぜひこれを機にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


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