WSRより愛をこめて第16回

 


『電気パーツのお話』第1章・ポットのお話-1

恐らくこのコラムを読まれている皆さんが一番“知りたい”と思っているのは電気パーツとその配線についてではないか?と私は予想しています。
パーツや配線の仕組みをわかっていればある程度のトラブルにも対応できますし我々の凝り固まった頭からではなく読者の皆さんから新しい発想が生まれるかもしれません。ですから今月から数カ月に渡って電気パーツのお話をしていきたいと思います。


まずは、「ポットのお話」からです。
当たり前ですが“ポット”はEギターにおいてシャフトを回すことによって抵抗値を変化させボリュームやトーンを変化させる役割を担っています。
そのため日本語では「可変抵抗器」と言われています。ポットを分解して背中(シャフトの突き出ていない側)から見て下さい。
1の端子から3の端子まで丸く伸びてつながっているのが抵抗体で普通は炭素被膜でできています。この炭素被膜の抵抗の大きさがそのポットの抵抗値になります。(普通、Eギターに使われるのは25kΩ、50kΩ、250kΩ、300kΩ、500kΩ、1MΩ)2番の端子はこの皮膜の上を動き、1と2、2と3の抵抗の割合を変化させます。例えば500kΩのポットの場合、1と2の抵抗値が100kΩならば2と3の抵抗値は400kΩ、1と2が250kΩなら2と3は250kΩになります。
実際にポットをボリュームとして使う時には普通1から入った信号が2へ出る様にし、3はアースにつなぐ。したがってフルボリュームの時は1と2が直結し、ボリュームを絞りきった時は2と3が直結する仕組みになっている訳です。
ここで「フルボリュームでも1と3の間の抵抗はアースへ落ちているじゃあないか?」と思った読者はスルドイ!そうなんです。
いくらフルボリュームにしていても、そのポットの抵抗値はそのままアースへ落ちていってしまいます。抵抗には低い周波数をよく通す性質があるんですが、この場合も同様に抵抗を伝ってアースへ落ちていきます。そしてその抵抗値が大きくなればなるほどその周波数帯が広がっていくようで25kΩの物より1MΩの物の方がより多くの低い周波数帯をアースへ落とします。
従って耳に聴こえる音は1MΩの物の方がハイ上がりのシャリシャリした音になるはずです。一般的にはシングルコイルには250kΩ、ハムバッカーには500kΩの抵抗が使われていますがポットの抵抗値を変えることによってそのサウンドを変化させることも可能なワケです。(第13回/LPのちょっとした配線のお話を読んだ方はわかるよね!)
又、上の理論から考えるとボリュームポットを絞っていった時に音がコモっていってしまう原因が、ボリュームを絞る事によって1と2間の抵抗が大きくなっていくからだとお分かり頂けたと思います。
次回は、ポットのお話-2です。


WSRより愛をこめて第17回
 

『電気パーツのお話』第1章・ポットのお話-2


さて今回はポットのお話の2回目です。
みなさんご存じのように普通楽器屋さんで売られている国産ポットには、“Aカーブ”と“Bカーブ”の2種類が存在します。又、輸入物には“LINEA”とか“AUDIO”と書かれて売られており、これらはシャフトの回転量と抵抗値の変化の関係を表しておりギターのボリューム及びトーンに使用する場合におけるポットの操作性を示すモノと考えてもらえればいいと思います。  
では一体どういう事なのかというと……。
“Bカーブ”=“LINEA TAPER”のポットはシャフトを時計回りの回転をさせた時、抵抗値も同様に変化していきます。 一方“Aカーブ”=“AUDIO TAPER”のポットはシャフトを時計回りに回転をさせても、最初のうちはあまり抵抗値の変化がみられずに、後半になって激的な変化をしていきます。じゃあ「スムーズな音量やトーン変化を得るにはBカーブがいいんだ!」と思うでしょ。
実はそうではないんですよ。今、説明したシャフトの回転と抵抗値の関係は、あくまで電気的な抵抗値のカーブであって音量のカーブではないんです。実際、耳に聴こえる音量は回路内の電圧(抵抗値と比例)との指数関数(みなさん苦手でしょうが私も苦手)になるので、音量、トーン共にスムーズな変化を得られるのはAカーブの方なんです。
逆にBカーブのポットはVoに使った場合もToneに使った場合も0〜4ぐらいで急に変化してそれ以降は殆ど変化しないものになるワケです。Aカーブ、Bカーブのどちらを選べばいいのかというのは皆さんの使い勝手や好みの問題なので自分の使用状況をよく考えて選ぶのが良いと思います。
楽器店にポットを買いに行くと、普通CTS(MADE IN USAでギブソンやフェンダーに使われている物)と国産のポットが売っていると思います。
両者とも本体の大きさ(24mm)はあまり変わらないんですが、シャフトのパイ(径)とロレット(ノブを固定するためのギザギザ)の形が違うので気を付けて下さい。アメリカ製のポットは取り付け穴が9.5mm〜10mmですが、国産のものは8mm〜8.5mmぐらいで取り付けます。だから交換に当たっては工具が必要という事もあるのです。
又、アメリカ製のポットは国産のポットに比べてロレットの歯が細かくなっているのでノブを取り付ける際にはそれぞれに合ったものが必要になります。交換用パーツとして売られている日本製ポットは本体径が24mmのものが殆どですが、国産ギター装着のものに16.5mmのものが増えてきていたりしてシャフト径の種類はややこしくなってきています。コントロールザグリやコントロールプレートの取り付け位置の関係上24mmのものが使用できない場合もあるので、くれぐれも気を付けて下さい。 次回はポットのお話-3「特殊なポット君達のお話」です。



WSRより愛をこめて第18回
 

『電気パーツのお話 』第1章・ポットのお話-3

さて今回はポットのお話の3回目です。
前回、前々回はボリュームやトーンに使われるポットの構造について説明いたしましたが、E・ギター&ベースにはそれだけでなく様々な“ポット君”たちが活躍しています。今回はそんな“ポット君”たちの様子を種類別に探っていきたいと思います。
●センタークリック付きポット
ポットのツマミを回していくと真ん中で一端カチッと止まるタイプを指します。これは先月号で紹介したポットや次の項目で紹介する2連ポットやバランサーポットにカチッと止まる機能を持たせたもので電気的にはこれが付いているからといって特別な役割を果たすワケではありません。
例えば普通のパッシヴのトーンにこのポットを使った場合、センタークリックの位置を基準として考えると「0方向に回していくとハイカットで10方向に回していくとローカットなのか?」と解釈しがちですが実際にはただのトーンだという事です。

●2連ポット
前回紹介したポットを2つ重ねて1つにしたもので、2つの抵抗を1つのつまみで同時に変化させるものと、それぞれの抵抗をそれぞれ上下のツマミで変化させるものが存在します。(図1参照)
両方ともあまり多く使われる事はないと思いますが前者の方は'97/10月号当コラム「LPのちょっとした配線のお話」でも紹介したコイルタップボリュームであり、2つのP.Uをタップするのに使用しましたし、某有名ギターメーカーの「○×△……」回路にも使用されています。
“2つの抵抗を1つのツマミで変化させることができる”というのがキモです。後者の場合は改造の際にコントロールザグリの都合上、“2つのポットを配置するスペースが無い”“ポット穴を空けたくない”といった理由から使われることが多いようです。なにせこのポットを使おうが普通のポットを2つ使おうが役割は同じですから……※ちなみに前者、後者共に“センタークリック付き”が存在します。
 
●SW付きポット
これはポットにON-ONの6ピンのミニSWが付いた物で、シャフトを押したり引っ張ったりすることによってSWを切り替えます。
ミニSWを増設しなくても同様の役割をポットが兼ねることによりルックスが変わらないという利点があります。しかし6ピンよりピン数の多いSWポットは存在しない為このSW部に6ピン以上の複雑な機能は期待できません。このSWポットにはPUSH-PUSH、PUSH-PULL(図2-1)の2タイプがあり、操作は文字どおり“押す-引く”、“押す-押す”で切り替わるようになっています。
後者の方が操作性が良いとは思いますが耐久性はあまり良くないです。
又これらは取り付けるノブの種類をしっかりチョイスしないと逆に使いづらい物となっていまいます。PUSH-PULLの場合、STのノブやベルノブをチョイスすると妙に引っ張りづらいですし、その時に“スポッ”とノブが抜けてしまう可能性があるので横からネジでノブを固定するタイプの方がトラブルが少ないと思われます。(図2-2)
PUSH-PUSHの場合は金属製の重いノブを使うと、その重量のためSWに内蔵されているスプリングの寿命を短くしてしまいます。又、これらのSWはSWが切り替わる際に、定位置よりもさらに一旦下がるアクションを起こす為、ボディトップとノブの底辺との間に充分な“すき間”が必要になり、さらにシャフトとノブの奥までアソビなく差し込んで置かないと、次第にノブがずれてSWが切り替えられなくなってしまうので注意が必要です。(図3)



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