WSRより愛をこめて第15回



『チタンブリッジのお話』

レキギターはその歴史の中で数多くの開発が行われ、今もなお進化し続けている楽器であり、その中には50年代から型、材質を変えずに生き続けた物もあるし、途中で消えてしまったものもある。又、それらは楽器メーカー、制作家、ミュージシャンのアイデアから生まれた物も多いが、他の業界、いわゆる“楽器を弾かない人達”から生まれ、それが今や当たり前となっているものも非常に多い。(レオ・フェンダーはもともとラジオの修理屋だったし、ネッド・スタインバーガーは工業デザイナーだった。)今回はそんな他の業界からの“可能性の提示”のお話です!
●なんとチタン合金でチューン・オー・マチックのコマを作ってしまった人がいる!
チタンというのは化学の元素記号表にでてくる“Ti”だ。
この材質はみなさんご存じの様にとても軽く磨耗性に優れ(すり減りにくい)、耐触性に優れ(錆びない)、非常に硬いという性質を持っている。
 ではなぜこの材質が今までギターの金属パーツ等に使用されなかったかというと、単純に“加工が実に難しい”からである。反対に、鉄、ブラス、アルミといった材質は切削、曲げなどの機械加工が容易なのだ。
もちろんこれらの材質や製法がエレキギターの歴史の中で果たした役割は大変大きいが、50年前と違い金属加工技術がめざましく進歩した現在、新しい素材がギターパーツを始めとするあらゆる楽器に試されても良いのではないかと思う。
 木材に関してはこの約50年間、いろいろ試行錯誤され、木材の違い、または質量の違いによってギターの音色が大きく変わるのはみなさん既知の事実だが、金属パーツ類に関しては木材ほどいろいろなバリエーションが無いように思える
のだ。

●画期的音響特性を誇るチタンブリッジ!
こうした考えから生まれたチタン製チューン・オー・マチックサドルを実際にギターに取り付けて弾いてみると、私の聴感上、少しハイ上がりな感じになり、タイトで音の輪郭がはっきりし、サステインも伸びるように聞こえた。
人間の耳の聴感上の感想は人それぞれなので頭から“これが良い”とは言わないが一聴の価値は絶対にあると思う。
さらに科学的に検証するため、従来のブリッジとの比較を、日本音響研究所に持ち込みんで周波数比較分析(ソナグラフ、長時間FETスペクトラム)した結果、チタンは従来品に比べ残響時間が長く、振動が安定している事が判った。ここで私が驚いたのが、従来品は、1度音が途切れ、また振幅するというデータが出ている事。
つまり意外にも振動が安定していないのだ。(詳しい鑑定書、グラフデータを見たい人はWSRまで……)では何故この様な違いが出るのかというと、材質の違いは勿論の事、製法による結晶密度の違いによるものではないかと考えられる。


●チタンブリッジは何故優れているのか?

従来のものは金属、または樹脂を溶かし、型に流し込んで成型する為、どうしても空気やガスによって結晶の密度に限界が生じる。
ところがこの度開発されたチタンブリッジは1本の棒をどんどん潰して圧縮していくという手間のかかる加工法により非常に高密度なものに仕上がっている。
軽量かつ高密度な素材は、木材の場合においても音質的に良い結果をもたらすことはみなさんご承知の通り。


●チタンブリッジの今後

現在はまだチューン・オーマチックのサドルしか出来上がっていないが、ST用のサドルや、ベース用のサドルも開発中なので、きっと各店でお目にかかれる日が来るはずです。
また、サドルに限らず、チタン材で色々なパーツが作られ、それが当たり前になる日も来るかも知れない。WSRはその可能性に注目し、期待しています。

次回からは、電機パーツのお話をします。まずは「ポットのお話」です。お楽しみに。


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