1964年に亡くなられるまでに1,164本のギターを製作したとされるディアンジェリコ。最も知名度が高いのが、エクセル、スタイルA、B、ニューヨーカーと呼ばれる4モデルですが、中でも17インチスタイルボディをもつアーチトップ・ニューヨーカーはジャズミュージシャンのために受注生産された中でも特に実用的で人気も高く、現在はコレクターズアイテムの中でも、最も高額で取引される楽器の一つになってしまいました。今となっては実物を拝める確率は、ある意味、59LPの本物を見るより低いかもしれません。1988年より復刻版の製作が椎野氏(現Vestax会長)監修の元にすすめられ、日本を代表するアーチトップビルダーの一人、辻氏の協力等により現在の国産ニューヨーカーの基礎スタイルが出来あがった様です。
初期型の復刻番は現行のモデルと比較すると今ほどラージヘッドではなくネックグリップも、もう少し太めだったと記憶しております。テールピースにはまだD'Angelicoの刻印もはいっておりませんでした。その後生産を重ねるたびに細かい改良がなされ90年半ばにはほぼ現在の仕様と変わらぬ物になっていたと思います。

ダキストは1952年よりディアンジェリコのもとで修行を積み、ディアンジェリコ没後の1965年より工房を継承本来ならディアンジェリコU世の名を継ぐはずでしたが、諸事情によりかなわぬ事になってしまう。そんな失意の中から、次第に自身のアイディアを師の作り上げた物に付け加えていくようになった。ダキストの前半期を代表するニューヨーカーは、特にテールピース、ピックガード、fホールなどの大幅な見なおしによりデザイン上だけではなく楽器の鳴り方のコンセプトまで変えてしまったと言って良いと思います。95年に師ディアンジェリコと同じ59歳で亡くなられるまでさまざまなカスタム・ギターを作り上げ、そのスタイルは数多くのルシアーに多大な影響を与え続けています。
復刻版ダキストは2001年に発売され現在では、JazzLine, Avant−Garde, Solo, Centura, 等‥多彩なラインナップになっています。

今回とりあげる17インチのニューヨーカースタイルは1943年から作り始められたラインナップです。トップにスプルース、サイド&バック、ネックにメイプル、指板とブリッジにはエボニーという組み合わせが確立されたのはディアンジェリコの功績と言われております。 


ディアンジェリコNYL-2

ダキストDQ-NYE
まず全体をトップ正面から見た画像を比べてみてください。ディアンジェリコはヘッド回り、ピックガード、テールピースなどに当時一世を風靡したアールデコのデザインが取り入られているのが特徴です。最近のモダンアーチトップ系と比較してもナットから21cmはあるラージヘッドが目を引きます。当時やはり人気の高かったストロンバーグなども、当時のギブソンと比較するとかなりヘッド回りの装飾はこっております。ビッグバンドオーケストラ全盛時代、プレイヤーが求めるクオリティと優雅さを兼ね備えていたモデルとして人気が高かったのも納得できます。

画像のNYL-2とDQ-NYE ほぼ同シェイプですが、カッタウェイ付近など微妙なカーヴの違いを確認頂けるでしょうか。ダキストはヘッドも2cm程小振りで、FではなくSタイプのホール形状、エボニーのテールピース&ピックガード、ブラケットを使用せずにピックガードを固定、17Fとブリッジの台座にインレイが入っていないこともあり見た目にはきわめてシンプルに見えるのではないでしょうか。


ディアンジェリコNYL-2

ダキストDQ-NYE

ディアンジェリコNYL-2

ダキストDQ-NYE
ボディ・ネック裏
ディアンジェリコのネックはセンターにエボニーをラミネートしており、ヘッド頂上部に迄、そのラインは確認できます。ダキストは1ピースで出来ております。


ディアンジェリコNYL-2

ダキストDQ-NYE
ピックガード
ディアンジェリコはブラケットにて固定され、PUもピックガードに固定されています。
ダキストは指板に固定され、Vol、TonePotの間にポールが接着され持ち上げられるようになっています。
PUはU字型金具にて固定されています。表面上1本もネジが使用されてない様に見えるところが強いこだわりを感じさせます。(指板エンドの形状にも注目!)



ディアンジェリコNYL-2


ダキストDQ-NYE

ールピース
ディアンジェリコは伝統的なブラスのトラピーズスタイル、ダキストはエボニーの削り出し、弦交換はこちらの方が非常に簡単です。ただしオリジナルスタイルに忠実に作られている為、アースが取れていません。クリーントーンで使用する分には問題は殆ど感じませんが、気にされる方は、弦アース加工も受け賜ります。

 

このような同サイズでしかも同じボディ成形のギターでも音の違いはかなりでます。私の個人的な主観で言わせてもらえばディアンジェリコの方がよりファンキー、レンジも広くブライトな感じが強く、ダキストはより力強く、金属パーツが少ない分ビビリ等、余分な共振も少なく、非常に良くまとまった扱いやすいサウンドだと思います。もちろん様々なフィンガー&ピッキングスタイルによって感じ方は当然異なると思います。

まだまだ細かい違い、ご説明したいことはあるのですが、このコラムを読んでアーチトップに興味をもたれた方ぜひ御試奏、またお問い合わせ等ございましたら担当/花田までご遠慮なくどうぞ。

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